ランサー 【1988,1989,1990,1991】

スポーティ志向を強めた新世代



ランサーEXとフィオーレの統一

 5代目のランサーは、基本メカニズムを共用する3代目ミラージュの登場から8カ月ほどが経過した1988年6月に市場デビューを果たす。新型はそれまでのランサーEX(FRレイアウト)と、ランサー・フィオーレ(FFレイアウト)を統合した新世代モデルだった。目指したのは、ランサーの伝統である活発な走りと機能美あふれる内外装の融合である。

 基本シャシーは、開発中の3代目ミラージュ用を流用しながら独自のチューニングを施す。ボディは、“オーガニックフォルム”と称するダイナウエッジ(くさび型)ラインを基調とした5ドアハッチバックに1本化。ただし、5ドアハッチバックは日本市場では人気薄なことから、セダンルックのスタイリングにまとめる。ほかにも、薄型4灯式ヘッドランプや、ロング&トールのルーフ、ドリップチャンネルのないフルドアなど、各部でオリジナルのアレンジを敢行する。インテリアについても、基本造形を3代目ミラージュと共通としながら、専用のカラーリングやシート地などを採用して独自性を強調した。

キャッチコピーは“アクティブセダン”

 新しいランサーのキャッチフレーズは“アクティブセダン”“新セダン類”。リアゲートを組み込んだ5ドアハッチバックながら、ノッチ付きのセダン風ルックスを有する新種のスポーティセダンであることを、ユーザーに主張したのである。

 搭載エンジンは、4G61型1595cc直4DOHC16Vインタークーラー付きターボ(145ps/21.0kg・m)を筆頭に、4G61型1595cc直4DOHC16V(125ps/14.0kg・m)、4G15型1468cc直4OHC(73ps/11.9kg・m)、4G13型1298cc直4OHC(67ps/10.6kg・m)、4D65型1795cc直4OHCディーゼル(61ps/11.3kg・m)という計5機種をラインアップする。駆動機構はFF(フロントエンジン&フロントドライブ)のほか、4G61型ターボ用にビスカスカップリング付きセンターデフ方式のフルタイム4WDを設定した。

 新世代ランサーの車種展開は、イメージリーダーでターボ付きの4G61型エンジンを採用する“GSR”シリーズのほか、自然吸気の4G61型を積む“SR”、4G15型エンジンを搭載した“ETRANGER”“SXサルーン”“SZ”、4D65型を組み込む“SZディーゼル”、営業向けに受注生産する4G13型エンジン搭載の“S”グレードを用意する。さらに、ラリー用のベース車両として“GSR RS”を受注生産の形で販売した。

圧倒的なパフォーマンスを誇った新GSR

 数あるラインアップの中でユーザーの注目を最も集めたのは、ターボ付き4G61型にフルタイム4WDの駆動機構を組み込んだ“GSR 4WD”だった。デュアルモードのサスペンションに60扁平のワイドタイヤ、アグレッシブなエアロパーツ類、サポート性を高めたスポーツシート、握りを太くした3本スポークステアリング、カメレオン機構のメーターなどを標準装備したGSR 4WDは、スポーツ派ドライバーを中心に好評を博す。また実用性を重視するユーザーには、使い勝手のいいリアゲートやラゲッジルームが高く評価された。

 新しいセダンの形を提唱し、その存在感を高めようとした3代目ランサー。しかし、GSRグレードを除いて販売成績は伸び悩んだ。
 最大の要因は、皮肉にも兄弟車のミラージュの存在にあった。当時のマーケティングスタッフは、「“セダン”を主張したとはいえ、5ドアハッチバックのランサーはミラージュの4ドアセダン(1988年1月に市場デビュー)より人気薄だった。やはり5ドアハッチバックは、日本市場には受け入れられにくかった」と語る。また、当時のチューニングショップのメカニックによると、「5ドアハッチバックのランサーGSRより4ドアセダンのミラージュや3ドアのミラージュ・サイボーグのほうがリア側のボディ剛性が高く、補強も少なくて済んだ。コアな三菱ファンにはミラージュのほうが人気が高かった」そうだ。

わずか3年4カ月でモデルチェンジ

 ランサーは販売成績を引き上げるため、1989年9月にはマイナーチェンジを行って内外装のリファインや4G15型および4G13型エンジンの12バルブ化(1気筒当たり3バルブ化)を、1990年1月にはディーゼルターボ4WD仕様の追加を、1990年10月には新グレードの“エリナ”と“エスパーダ”の設定などを実施するが、人気回復には至らなかった。

 結果的に3代目ランサーは、ミラージュのフルモデルチェンジと同時期の1991年10月に4代目に移行。その4代目は、再び4ドアセダンのボディ形状を採用したのである。