カローラFX 【1987,1988,1989,1990,1991】

“スピンドルシルエット”に進化した新鮮HB

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フレッシュさが魅力のカローラの新個性

 ベストセラーモデルのカローラ・シリーズの新顔として1984年10月に加わった3ドアハッチバックのスタイルを持つカローラFXは、母体となったカローラ・シリーズがフルモデルチェンジされたのにともない、1987年5月に第2世代へと進化した。車名となった「FX」とは、英語で未来を意味するFutureの頭文字と未知数を意味するXを組み合わせた新造語である。狙いとされるユーザーは3ドアモデルが若者層向けであり、小人数の子供のいるファミリー向けが5ドアモデルと見込まれていた。

 第2世代FXの基本的なスタイルは2ボックスで、オリジナルモデルから受け継がれる3ドアおよび5ドアハッチバックだが、全体に角が取れて「スピンドル(紡錘)シルエット」とメーカーが呼ぶ曲面を主体としたスタイルとなった。プレス技術の飛躍的な発展と素材の質的な進歩により、こうした曲面を多用したスタイリングが可能となったのだといえる。

 全体のイメージとしては、小型車にありがちな背の高さを感じさせるアンバランスなものではなく、幅広さと低さを強調したスタイリングデザインとなっている。FXは同じくカローラの兄弟車となるスプリンターに存在するシエロ(5ドアハッチバック)とは別のボディースタイルを持つ。

トップグレードは120psのスポーツDOHCを搭載!

 フロントに横置きに搭載され、前輪を駆動するエンジンは、すべて直列4気筒でガソリン仕様のみの設定。排気量は1295ccから1587ccまでの4タイプとなった。バルブレイアウトは、1300ccがSOHCとなる以外はすべてDOHC16バルブ化されていた。

 トップレンジであるFX-GTが積む4A-GE型では、排気量1587ccの直列4気筒DOHC16バルブに電子制御燃料噴射装置を装備、9.4の圧縮比から120ps/6600rpmの高出力を発揮していた。トランスミッションはマニュアル型が4速および5速の2種、オートマチックも3速と4速(4速ATは通常タイプと電子制御タイプの2種を設定)がエンジンタイプ別に選べた。スポーツ仕様のFX-GTは3ドアのみの設定だったから、キャラクター的には3ドアモデルがスポーツ型、5ドアモデルはファミリー型と区分けしていた。

 サスペンションは、前後ともストラット/コイルスプリングの組合せで、スタビライザーを備える。ブレーキは前・ディスク/後ろ・ドラム(GTモデルはディスク)でサーボ機構を持つ。車重は880kg〜1050kg程度で今日の水準からすれば十分に軽量だった。

海外工場でも生産された国際派モデル

 インテリアのデザインは基本的にカローラ系で共通の仕上げとなるが、スポーティーさを強調したものとされていた。快適装備もカローラというよりも、ひとクラス上のコロナやカリーナにも匹敵するほど充実したものとなっていた。価格はFX1300Dの88万2000円から1600GTの149万1000円まで。装備の充実ぶりや性能の高さからすれば相当なお買い得であった。

 第2世代のカローラFXシリーズは、海外進出を狙った現地生産の車種にも打ってつけと考えられ、南アフリカ共和国に設立された生産工場をはじめ世界各地で生産されていた。スタイルの良さや高性能で現地での評価も高かったという。

 マイナーチェンジは1989年5月で、内外装の変更などが行われ質感はさらに高くなった。1992年5月に第3世代に進化し、7世代目のカローラに準じたモデルとなる。同時に国内向けモデルは5ドアモデルが消滅、3ドアモデルのみとなった。また、1995年以降は輸出専用モデルとして2001年まで生産を続行、ヨーロッパを中心にWRC(世界ラリー選手権)のベース車両となっていたことはあまり知られていない。