コペン 【2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012】

世界最小・電動開閉式HTオープン

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コンセプトは“最小のボディに、最大の夢を”

 ダイハツは、1999年と2001年の東京モーターショーに、コンセプトカーのコペン(Kopen)を出展。2002年6月にネーミングをコペン(Copen)と綴りを変え、市販モデルとして発売した。車名のコペン(Copen)は、コンパクト(Compact)とオープンカー(Open-Car)を組み合わせた造語。とはいえ、そのスタイリングから、“コッペパン”をイメージした人も多いと聞く。

 ダイハツ・コペンは、大量販売を目的としたモデルではない。少数の限られたユーザーを対象にしている。開発コンセプトは“最小のボディに、最大の夢を”。開発陣は小さなクルマでしか味わえないときめきと、小さくてもここまで出来るという驚きを大切にした。操る楽しさと、持つ喜びを高次元で実現した「世界最小の電動開閉式ハードトップ・オープンスポーツ」というコペンの個性は、スモールカーの可能性につねに挑んできた開発陣の熱意が生み出した。
 トップは、センターコンソールにあるスイッチ操作で約20秒でフルオープンに変身。信号で停まっている間にトップの上げ下げも可能となる。周囲の人たちを驚かすのもコペンに乗る楽しみでもあった。

スタイリングは超ラウンディッシュ!

 コペンのスタイリングは、洋風バスタブを伏せたような形で見方によってはレトロな雰囲気を感じさせるものとなっている。ハイバックシートの背面には強固なロールバーがセットされているが、ほとんど目立たず、スタイリングを邪魔することはない。また、一部のセダンやクーペのボディをベースとしたカブリオレのように、Aピラーの傾斜が強すぎて乗り降りの邪魔になるようなこともない。この辺りは最初からオープンモデルとしてデザインされていることが分かる。

 面白いのはボディ前後のデザインが同じイメージになっていることで、フロントのヘッドライトとポジション/ウィンカー・ライトの位置関係が、後部のテールライトとバックアップライト/ウィンカーの位置関係にも反復されている。デザイナーの強いこだわりを感じさせる部分だ。2名乗車と割り切っているために、コックピットのスペースは十分以上で、軽自動車の狭苦しさはほとんど無い。

ダイハツ最強ターボユニットを搭載

 エンジンは量産モデルであるムーヴ用の改良版。直列4気筒DOHC16バルブにターボチャージャーを組み合わせた高性能ユニット。排気量659ccから64ps/6000rpmの最高出力と11.2kg・m/3200rpmの最大トルクを引き出す。エキゾーストマニホールドは排気干渉を避け、低回転からターボの過給効果を高めるデュアルフロー方式とされ、ターボ本体にはレンスポンスに優れた小径ターボを採用。さらに専用開発のアブレダブルシールの追加により、僅か2000rpmで最大トルクの約9割を発生した。

 これだけのパワーとトルクがあれば、アクティブトップの装備やそれに伴うボディ強化などで車体重量が増えても、性能的に大きな影響はない。車重は電動アクティブトップ仕様で840kg、デタッチャブル・ハードトップ仕様では810kgだ。トランスミッションは電子制御4速オートマチックと5速マニュアル型が選べる。駆動方式は前2輪駆動で4輪駆動の設定は無い。

 サスペンションもムーヴから流用しており、前がストラット/コイルスプリング、後はトーションビーム/コイルスプリングの組み合わせ。ブレーキは前がベンチレーテッド型ディスク、後がドラム型となる。タイヤは165/50R15サイズ。軽自動車には明らかにオーバークオリティと思われるが、性能に対処すると言うよりもスタイル上の見た目のバランスで選ばれたようだ。

2.0Lクラスに匹敵する高い質感を実現

 インテリアはとても軽自動車とは思えないほどしっかりした造り込み(生産は熟練工による殆ど手作業)が印象的。造形もスポーティーカーとして魅力的だ。このまま2.0Lクラスのスポーツカーに使っても違和感は無いほどだ。電動アクティブトップの装着を考慮して、トランクスペースに制約があるため、コックピット内部にはあらゆる場所に細かな物入れや簡単なラゲッジ・スペースが設けられている。アクティブトップ仕様では、トップを畳み込んでしまうと、後部のトランクは事実上使えなくなってしまうのだ。

 これだけ凝ったデザインと造りであれば、価格的にも軽自動車の範疇を超えてしまうのは仕方のないところ。とはいえ、コペンはアクティブトップ仕様でもデタッチャブルトップ仕様でも価格に差は無く、ともに149万8千円となっていた。品質の高いことや独特のスペシャリティから考えれば、なかなか魅力的な価格と言える。如何にも軽の老舗、ダイハツらしいスペシャルモデルである。