ミラ 【1990,1991,1992,1993,1994】

新規格対応でゆとりと安全性を磨いた実力派



“全身フルモデルチェンジ”を合い言葉に開発

 1990年3月、ダイハツの主力モデルに成長したミラがフルモデルチェンジし3代目に移行した。「排気量660cc以下、全長は従来比100mmプラスの3300mm以下」という軽自動車の新規格に適合させた3代目は、バブル期の開発プロジェクトだっただけに、すべてが意欲的だった。

「全身フルモデルチェンジBIG MIRA」をキーワードに、軽自動車の常識を超えた走行性能、安全性、静粛性を達成する。ちなみに1989年の消費税導入で物品税が廃止されたため、税制面のメリットがなくなった商業車のボンバンが脇役に退き、ラインアップは5ナンバーの乗用車がメインとなった。

 3代目ミラはエンジンが新世代化された。旧型の547cc直列3気筒エンジンをベースにボアアップにより排気量を659ccに拡大したものだったが、1気筒当たり4バルブの12バルブ仕様の新設定や、クロスフローレイアウトによる燃焼効率の徹底的なリファインによって、パワーと経済性の両面でクラストップを目指した。

 ラインアップは64ps/7500rpm、9.4kg・m/4000rpmを発揮する12Vインタークーラー付きターボ仕様(EF-JL型)を筆頭に、61ps/7000rpm、8.6kg・m/4000rpmの6Vインタークーラー付きターボ(EF-XL型)、主力となる50ps/7500rpm、5.3kg・m/4500rpmの12V自然吸気(EF-HL型)、ベーシックな40ps/6500rpm、5.3kg・m/3500rpm)の6V自然吸気(EF-CL型)の合計4タイプ。トランスミッションは5&4速マニュアルと3速ATをグレードによって使い分けた。ちなみに3速ATは、フロアセレクタータイプの他にコラムセレクタータイプも一部グレードで選べた。

入念な安全対策でクラスを超えた安心を提供

 スタイリングは先代モデルが好評だったため、基本的にキープコンセプトだったが前後に大型バンパーを採用し、塗装のクオリティを上げるなど大幅にクオリティをアップしリッターカーと並んでも上質なイメージを与えるほどのレベルに到達した。またボディの基本骨格もコンピューターによるFEM(有限要素法)解析によって従来比1.5倍に剛性をアップ。サビを防ぐ防錆鋼板を構造材から外板にまで広く使用することでロングライフなボディを作り上げた。

 静粛性対策でも贅沢なサブフレーム方式によるフルフロートエンジンマウントや、マフラーの振動を抑えるポールジョイントの採用によって、クラス水準を抜くレベルを実現していた。

 特筆ポイントは入念な安全対策だった。全車に軽自動車としては初となるサイドインパクトビームを採用。一部グレードには安定性を高める4輪操舵システムや、ABSブレーキを組み込んだ。ハイマウントブレーキランプや、シートベルトを装着しやすくするシートベルトフィーダー、ブレーキ大型ブースターなど身近な安全装備も充実させ、リアルワールドの安全性を高めたのが特徴だった。軽自動車は事故のときに不安があると敬遠するユーザーの声に応え、小型車以上の安全配慮をしたことは3代目ミラの大きな魅力だった。

世界初のインパネ格納テレビも設定

 快適面の配慮も万全で、一部グレードにはシフトノブ位置を3段階に調節できるアジャスタブルシフトレバー、足踏みパーキングブレーキ、シート組み込みチャイルドセーフティシート、世界初のインパネ格納型液晶カーテレビを標準、またはオプションで装備した。

 3ドアと5ドアの2種から選べた標準シリーズのほか、スポーティな走りが自慢のターボXXシリーズ、アウトドア・テーストを盛り込んだRV-4など多彩なラインアップから選べた3代目ミラは、ファーストカーとして軽自動車を捉えた先駆と言えた。質感が高く、走りに余裕があり、装備の充実した3代目ミラは、新たな軽自動車の基準を構築した存在だった。

TR-XXアバンツァートの衝撃

 市場で好評を得た3代目ミラは、1992年5月にパワフルでしかも装備が充実したTR-XXアバンツァートを追加する。従来からのTR-XXシリーズの頂点に位置するモデルで、パワーユニットは64psを発揮する直列3気筒OHC12Vターボ。5速MTとともに軽自動車初の4速ATもラインアップしていた。

 装備は目を瞠るものがあり、フルエアロパーツ、前後バケットシート、ピレリ製ラジアルタイヤ、フロント・ベンチレーテッドディスクブレーキなどの走りを支えるアイテムはもちろん、電動パワーステアリング、エアコン、パワーウィンドーなどの快適装備も満載していた。装備内容は2リッタースペシャルティに見劣りしなかったのだ。TR-XXアバンツァートは軽自動車であっても各種装備の充実が必須というマーケットの流れを決定づけた存在。軽自動車のフル装備化はTR-XXアバンツァートから始まった。