パルサー 【1995,1996,1997,1998,1999,2000】

上質さと快適性を求めてひと回り大きくなった5代目



3ドアHBと4ドアセダンを設定

 1995年1月、日産は5世代目となるN15型パルサーを発売した。小型乗用車であるパルサーは、1978年5月にそれまでのチェリーFⅡに代わるモデルとして登場したモデルである。そのルーツは1969年にデビューした日産初の前輪駆動車であるE10型チェリーに遡る。車名がパルサーとなったのは1978年5月であった。パルサー(Pulsar)とは、定期的に電波を発している小天体のことで、小型だがインパクトのある存在を象徴したもの。

 5代目は生産性向上のため、同クラスの兄弟車であるサニー系との部品共通化が一層促進され、ボディサイズはさらに大型化されていた。ボディバリエーションはパルサーセリエと名付けられた3ドアハッチバックと4ドアセダンの2種となり、4WDスポーツのGTI‐Rと5ドアハッチバック仕様はカタログから落とされた。スタイリングは先代モデルのイメージを巧みに残しながら、よりスタイリッシュなものとなった。ボディサイズはセリエで全長4120㎜×全幅1690㎜×全高1385㎜、ホイールベースは2535㎜で、サニーの3ドアとオーバーラップする。

パワーユニットはガソリン3種/ディーゼル1種の計4タイプ

 シリーズが搭載するエンジンはガソリン仕様が3種、ディーゼル仕様が1種の4種があり、ガソリン仕様は排気量1497㏄の直列4気筒DOHC(GA15DE型、出力105ps/6000rpm)、および排気量1596㏄(GA16DE型、出力120ps/6400rpm)、排気量1838㏄(SR18DE型、出力140ps/6400rpm)、そして排気量1973㏄のディーゼル(CD20型、出力76ps/4800rpm)であった(ディーゼルは4ドアセダンのみ)。トランスミッションは4速オートマチックと5速マニュアル。4輪駆動システムはフルタイム方式と電子制御によるアテーサ方式があった。

 サスペンションは前がストラット/コイルスプリング、後がマルチリンクビーム/コイルスプリングの組み合わせ。4輪駆動仕様の後輪懸架は前がストラット、後がパラレルリンクストラットに変更されていた。ブレーキは標準仕様では前が全車ベンチレーテッドディスク、後が1.8リッター車はディスクで、ほかはドラムとなる。

全車SRSエアバッグを標準装備

 インテリアのデザインは、スカイラインやブルーバードなどの上級車種をイメージさせるもので、大型円形の速度計とエンジン回転計が収められ、エアーコンディショナーの吹き出し口とオーディオシステムなどを配置したセンターコンソールが一体化されていた。ステアリングは変形4本スポークで、シフトレバーは比較的高い位置に置かれている。全車種に運転席側SRSエアバッグを標準装備としていた。後部座席もバックレストを立てた形にし、座面を低くすることで居住スペースの拡大を図っていた。

 1996年5月に5ドアハッチバックのスポーティーワゴン仕様であるパルサーセリエS‐RVをシリーズに加えた。流行の兆しを見せていたレジャー向けのステーションワゴンで、当初は、経済性に優れたGA15DE型ないしSR18DE型エンジンを組み合わせた。内装もセダン系とほとんど変わりなく、ルーフレールも標準装備とするなど、行き届いたアクセサリーが大きな特徴となっていた。また、少数だが高性能仕様のオーテックバージョンなども造られていた。

リッターあたり出力125.3psを誇ったVZ-R・N1

 1997年のマイナーチェンジで、1.6リッターNEO VVL(可変バルブタイミング&リフト機構)を採用したSR16VE型エンジン(通称=青ヘッド、175ps)を積むVZ-Rが登場。シリーズのフラッグシップは、オーテクジャパンが手掛けたVZ-R・N1だった。VZ-R・N1は、専用のシリンダーヘッドや吸排気系を採用。クランクシャフトとフライホイールのバランス取り、ポート研磨、燃焼室研磨、吸排気マニフォールド研磨などが施され、パワーユニットを極限までチューン。この赤ヘッドのSR16VEエンジンは、最高出力200ps/7800rpm、最大トルク18.5kg-m/7600rpmを発揮。リッターあたり出力125.3ps/1Lという驚異的なスペックを誇った。前後ストラットタワーバー、フロントビスカスLSDなど足回りの強化も実施。VZ-R・N1は、サニーのルキノHBにも用意され、合わせて200台を限定生産。翌年の1998年には、VZ-R・N1バージョンIIが登場した。

 日産の小型車シリーズとしては極めて個性的であったパルサーシリーズであったが、日産本体の深刻な経営危機とそれに伴う大幅な車種整理の波には抗しきれず、2000年8月でパルサーシリーズは生産を中止した。