デルタ・ワゴン 【1996,1997,1998,1999,2000,2001】

ファミリーミニバンの理想を追求したダイハツ版ノア



14年ぶりのフルチェンジで本格ミニバンに進化

 1996年11月、ダイハツの上級ミニバン、デルタワイド・ワゴンが14年ぶりのモデルチェンジを期にデルタ・ワゴンに改名し3代目に移行した。デルタ・ワゴンはダイハツの独自車種ではなかった。トヨタのライトエース・ノア&タウンエース・ノアの兄弟車で、3車の違いはフロントグリルなどの細部のみ。内外装はもちろんメカニズム関係も3車は共通だった。

 ダイハツがトヨタ傘下だった関係でデルタ・ワゴンが誕生したのである。とはいえデルタ・ワゴンの祖先となった初代ライトエースの開発にダイハツは積極的な役割りを果たしていた。元を正せばダイハツのデルタ・ワゴンが本家で、トヨタのライトエース・ノア&タウンエース・ノアが分家という見方もできた。いずれにしろデルタ・ワゴンは安全性、ユーティリティ、走りの良さなど、ファミリーカーとして急速に市民権を得ていたミニバンに対するユーザーニーズを盛り込んだ完成度の高いモデルだった。

1.5ボックス・デザインで快適性&安全性を大幅に向上

 スタイリングは短いボンネットを持つ1.5ボックス・デザインを採用する。これはミニバンとしての室内ユーティリティを高めるための選択だった。1.5ボックス化でエンジンを従来の床下配置から前方配置としたため、キャビンに邪魔な突起がなくなりフラットフロアを実現した。

 従来のワンボックス型では1列目シートと2-3列目シートの中間にエンジンを収める突起があり、それがキャビンの一体感を損ねる要因となっていた。しかし1.5ボックスの新型デルタ・ワゴンには当然ながら突起はなかった。1列目から3列目までフラットフロアのワンルーム感覚キャビンを実現していたのである。

 しかもエンジンの前方配置は静粛性の面でも大きな利点をもたらした。エンジンルームとキャビンが完全に独立構造となったためメカニカル音の室内への侵入を大幅に減らすことに成功したのである。安全性の面でもボンネット部が有効なクラッシャブルゾーンとして機能するため、信頼性が大きく向上していた。1.5ボックス・デザインは、乗用ワゴンとしての適性をすべての面で大幅に引き上げるための選択と言えた。

ユーザーニーズに応えたシンプルな車種構成

 デルタ・ワゴンのラインアップはシンプルだった。多彩なバリエーション展開を誇ったライトエース・ノア&タウンエース・ノアとは違った。2列目がキャプテンシート仕様となる定員7名のSQ、2列目がベンチシートで定員8名のSE、そしてアウトドアイメージに内外装を仕上げた定員8名のトランスフィールドの3グレードを用意する。

 SEでは標準ルーフ(全高1855mm)に加え、ハイルーフ(全高1935mm)も選べた。パワーユニットは2種で、ガソリン仕様が排気量1998ccの3S-FE型・直列4気筒DOHC16V(130ps/5600rpm)、燃費に優れたディーゼル仕様は、排気量2184ccの直列4気筒OHCターボ(91ps/4000rpm)を搭載する。トランスミッションはガソリン仕様が4速オートマチックのみ。ディーゼル仕様は4速オートマチックに加え、一部グレードでは5速マニュアルが選べた。

トヨタ車兄弟の影に隠れた存在。実力は高水準

 駆動方式はガソリン仕様は2WD(FR)だけだったが、ディーゼル仕様ではビスカスカップリング式のフルタイム4WDを選択できた。デルタ・ワゴンのボディサイズは5ナンバー規格に収まっていたが、車重は約1.5トンと重量級だった。そのためエンジンとの相性は低中速トルクが太いディーゼル仕様のほうが良かった。バリエーション展開もそれを反映してディーゼル仕様のほうがキメ細かかったわけだ。

 サルーンライクな運転感覚と、多彩なアレンジが楽しめる広い室内、そして抜群の信頼性を実現したデルタ・ワゴンは魅力的なミニバンだった。しかし実質的にライトエース・ノア&タウンエース・ノアと差がなかったため、デルタ・ワゴンを選ぶユーザーは少数派だった。そのため販売は低迷、残念ながら2001年11月を持って販売を終了した。