フローリアン(中期型) 【1970,1971,1972,1973,1974,1975,1976,1977】

丸型4灯ランプで印象を変えたいすゞ製上級サルーン



4ドアサルーンの高性能化と上級化

 小牧IC〜一宮ICの開通により1965年7月に全線189.7kmに渡る日本初の本格的な高速道路が完成した名神高速道路、そして酒匂川を横断する橋梁の難工事を経て1969年5月に大井松田IC〜御殿場ICが開通して全線346.8kmが完成した東名高速道路。東京から愛知、そして大阪へとつながるハイウェイの大動脈は、当初の目的通りに物流を飛躍的に発展させる。同時に、人を運ぶ国産乗用車の性能アップも大いに助長することとなった。

 高速道路網の伸長とモータリゼーションの進捗、さらにユーザーの上級指向に対し、自動車メーカーの御三家の一角を自負するいすゞ自動車は、同社の上級4ドアサルーンである「フローリアン」(1967年11月発売)の大がかりな改良を企画する。目指したのは、高速巡航が存分に楽しめるクルマ。その条件として開発陣は、1:ゆとりあるパワー2:静粛なるエンジン3:比類なき高速安定性といった項目を掲げ実現に邁進した。

新開発1800&1600エンジンを搭載

 ゆとりあるパワーおよび静粛なるエンジンに関しては、動力源に新設定のG180型1817cc直4OHCと、G161型1584cc直4OHCを採用したのがトピックとなる。冷却効果が高く、かつ燃焼効率にも優れるアルミ合金製シリンダーヘッドを組み合わせるとともに、フラットなトルク特性で仕立てた2ユニットは、1トンを切る軽めの車体と相まって、力強い加速性能と余裕の高速巡航を実現。さらに、5ベアリング支持のクランクシャフトや新設計のバルクヘッド構造、トリプル構造のサイレンサーなどを組み込み、クルマの振動・騒音を大幅に低減させた。
 パワースペックは、G180型のツインキャブ(SU)仕様が115ps/15.5kg・m、シングルキャブ(ロチェスター)仕様が100ps/14.6kg・m、G161型のシングルキャブ(ストロンバーグ)仕様が90ps/12.7kg・mを発生する。一方、エンジンを収めるフロント部に関しては、新設計の丸型4灯ヘッドランプにロングフード(+50mm)、立体造形のグリルなどを採用し、高速サルーンとしての存在感を高めた。

キャッチフレーズは“ハイウェイ・クルージング”

 比類なき高速安定性については、フロントサスペンションにガス封入式(ド・カルボン型)のショックアブソーバーや強化タイプのスタビライザー、リアサスペンションに非対称半楕円の6枚リーフスプリングなどを装備して対応する。さらに、タイヤは高速用ロープロフィール(6.45-13-4P)を標準で、ラジアル(165SR13)をオプションで用意した。

 後にユーザーから中期型と呼ばれることになる最初の大幅マイナーチェンジ版のフローリアンは、まず1800デラックス/1800ツーリングスポーツが1970年11月に、1600デラックスが同年12月に市場に送り出される。キャッチフレーズは“ハイウェイ・クルージング”。静かに、速く、ゆとりをもって高速道路をすべるように走れる=ハイウェイ・クルージングできる高性能サルーンであることを声高に主張した。

中期型は1977年までリリース

 中期型フローリアンは、デビュー後も着実に車種強化や緻密な改良を実施していく。
 1973年11月には1800デラックスのフロントベンチシート仕様を追加(従来は1600デラックスのみに設定)。同時に昭和48年排出ガス規制を克服する。1975年10月にはシングルキャブ仕様のG180型が昭和50年排出ガス規制をクリア(G180Z型。発売は同年12月)。翌'76年9月には昭和51年排出ガス規制を満たすとともに豪華版の1800スーパーデラックスをラインアップに加えた。

 いすゞのモデルらしく、堅実かつ緻密な改良を図っていった中期型フローリアン。その寿命は、1977年10月発表の後期型(角型4灯ヘッドランプの採用やディーゼルエンジン仕様の設定などが主な特徴)の登場によって終わりを告げたのである。