スカイラインRSターボ 【1983,1984,1985】

DOHC16Vターボを積んだ生粋スポーツ

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愛称はニューマン・スカイライン

 1957年4月にオリジナルモデルがデビューしてからすでに24年という、国産車としては異例に長いライフスパンを持った小型乗用車のスカイラインは、1981年8月にフルモデルチェンジを受けて第6世代目となった。日産自動車の中核的な存在となっていた事もあり、先鋭的なスポーティーモデルという性格は影を潜め、万人受けを狙ったモデルとなっていた。実用的な5人乗りのセダン/クーペとしての完成度は極めて高いものとなった。

 広告宣伝のイメージキャラクターには、ハリウッド映画のスターであり、自らレーシングマシンのステアリングを握ってサーキットを走るほど(1979年のル・マン24時間レースでは、ポルシェ965を駆って2位入賞)のクルマ好きで知られたポール・ニューマンを起用。そのため6代目は「ニューマン スカイライン」と呼ばれた。

DOHCエンジンがついに復活

 ニューマン・スカイラインの中で最もスカイラインらしいスポーティなモデルがRSだった。RSは、1973年に生産を中止した「ケンメリ」GT‐Rの再来と噂された高性能車で、当初は排気量1990㏄の直列4気筒DOHC(FJ20E型、出力150ps/6000rpm)を搭載。次世代スカイライン(セブンス)が登場する1985年までの間、いくつかの仕様変更を受けスポーツ度を高めた。

 変遷を整理すると、1982年10月の一部変更で、60偏平タイヤを装着。1983年2月、ターボチャージャーを持つFJ20ET型(190ps/6400rpm)を積むターボRSが登場。1983年8月にマイナーチェンジチを受け、とくにフロントマスクのデザインが変更された。薄型ヘッドランプや、ラジエーターグリルレスのデザインが採用されたこの後期型は「鉄仮面」と呼ばれた。同時に、パワーステアリングや、パワーウィンドウ、カセットオーディオを標準装備した豪華仕様のターボRS・Xが登場。1983年10月には、豪華な仕様とATを採用したRS・Xもデビューする。
 1984年2月、ターボモデルにインタークーラーを装着(205ps/6400rpm)。1984年8月には、エンジンの点火系をリファイン。同時に、高性能エンジンでのイージードライブを実現したターボインタークーラーRS・XのAT仕様がラインアップに加わった。

RSターボは足回りのチューニングも徹底

 RSの走りの性能は一級品だった。なかでもターボを装着し、当初は190ps、最終的には205psというスペックを手に入れたRSターボ(そしてターボC)は、足回りも徹底的な強化が実施された。サスペンションのスプリングバネレートはフロントがNAの1.93kg/mmから2.43kg/mmに強化。リアは2.26kg/mmのRSに対し、RSターボは2.63kg/mmに締め上げられていた。ダンパー(伸び側)の減衰力はフロントが120kgから155kgに、リアは125kgから170kgに高められた(いずれも0.3/s時)。

ブレーキディスクも当然、大型化が行われている。フロント(ベンチレーテッドディスク)の外径は250mmから274mmに、リア(ディスク)は258mmから290mmへと大径化がなされた。またマスターシリンダーの容量もアップ。ペダルストロークを短縮し、クイックで的確なブレーキシステムに仕立てている。また、ステアリング系では剛性を向上させ、応答性を向上。クラッチ外径も225mmから240mmに大型化し、その強力なパワーを受け止めるだけのチューニングを実施。超一級の調律を施した足は、スカイライン史上、最も優れた足回りに仕上がっていた。

ターボCは、ハコスカGT-Rを45psも上回る205ps獲得

 2L直6DOHC24V(S20型)ユニットを搭載のハコスカGT-Rのパワースペックは、最高出力160ps/7000rpm、最大トルク18.0kg-m/5600rpm(ケンメリGT-Rも同スペック)だった。R30型ニューマン・スカイラインRS(NA)のパワースペックは150ps/18.5kg-mであり、トルクではすでにハコスカGT-Rを上回っていた。

 NAに続き登場したRSターボは「史上最強のスカイライン」のキャッチコピーを掲げてデビュー。190ps/23.0kg-mをマークし、この時点でRS系はハコスカGT-Rのスペックを出力、トルクの両面で凌駕するに至った。
 さらにインタークーラーを装着したターボCでは、最高出力205ps、最大トルク25.0kg-mを達成。このターボCのスペックをハコスカGT-Rと比較してみると実に45ps、7.0kg-mもパワフルだった。ターボCは強烈な心臓を手に入れた生粋のスポーツ・スカイラインだった。