プレサージュ 【2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009】

アイデア満載の広く快適な2代目上級ミニバン

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上級ミニバンの全面改良に向けて−−

 日産自動車の上級ミニバンとして、1998年6月に市場デビューを果たしたプレサージュ。同カテゴリーを牽引していたホンダ・オデッセイに刺激を受けて開発した初代モデルは、残念ながらヒット作には至らなかった。ユーザーが指摘したウイークポイントは、高床パッケージングに起因した室内高の不足と前ヒンジ式ドアによる開口部の狭さなど。このあたりは、MAV(マルチアメニティビークル)を標榜したルネッサのプラットフォームを流用し、かつフラット床を実現するためにフロア高を上げたことが原因だった。

 次期型プレサージュを真の上級ミニバンに仕立てるためには−−。開発陣は既存モデルの欠点を徹底的に解消する方針を打ち出す。具体的には新世代の“FF-Lプラットフォーム”をベースとした低床化パッケージングの構築を決定する。同時に、機能的で多彩なシートアレンジやロングツーリングでも疲れない卓越した走行性能の達成を目指した。

“簡単、らくらくシートアレンジ”の創出

 車両デザインに関しては、“インテリジェントダイナミズム”をテーマに流れるようなフォルムを実現する。各部のデザインにも工夫を凝らし、横線基調のメッキグリルやシャープなラインで構成したウィンドウグラフィック、クラス初のバックドアガラスハッチを組み込んだうえで縦長のリアコンビネーションランプを上部に配した個性的なリアビューなどで上級ミニバンらしいエレガントさを主張した。リアドアは大開口のスライド式に一新し、同時に低く平らな床と段差のないステップを確保することで乗降性の向上を図る。パッケージングについては、ボディ高を低く抑えて低重心化を成し遂げるとともに室内高を拡大して居住性をアップ。さらに、ボディ長とホイールベースを伸ばしてクラストップレベルの室内長を創出した。

 開発陣はインテリアのアレンジにもこだわる。2列目席にはキャプテンシートモードからベンチシートモードに変化する専用の横スライド機構を採用。また、ドライバーが運転席から3列目席への乗り降りをサポートできるセカンドシートリモコンウォークイン機構も設けた。3列目席には、利便性に優れるワンタッチ床下格納システムを組み込む。内装デザインに関しては、センター部分への機能集中を図ったインパネや開放感を持たせたインパネ&ドアトリムの組み合わせ、素材およびカラーリングを厳選した表地などによってリビングのような心地いい空間を創出した。

 搭載エンジンはVQ35DE型3498cc・V6DOHC24VとQR25DE型2488cc直4DOHC16Vの2機種を採用する。組み合わせるトランスミッションはVQ35DE型がエクストロニックCVTで、QR25DE型がE-ATx(4速AT)。駆動システムにはFFと4WDを設定した。懸架機構についてはフロントにマクファーソンストラット式を、リアにマルチリンク式を導入。当時の開発陣は、「とくにロングツーリングでの快適性はクラス随一」と胸を張っていた。

市場動向に合わせた改良を着実に実施

 第2世代のプレサージュは2003年6月に発表、翌7月に発売される。車種展開は標準仕様のVと上級モデルのX、そして専用パーツを装備してスポーティに仕立てたハイウェイスターという3タイプに、それぞれ2WD(FF)と4WDを設定。Xグレードに関してはVQ35DE型とQR25DE型のエンジン選択が可能だった。

 2代目プレサージュは、低床化による優れたパッケージングや多彩なシートアレンジ、クラストップレベルの快適な乗り心地などが高く評価される。一方で力を入れたスタイリングは、「上品だけど、ちょっと地味」「ライバル車と並べると、存在感がやや希薄」などと指摘された。

 日産の開発陣は入念な市場調査を行ったうえで、2006年5月には内外装を中心とした大幅なマイナーチェンジを実施する。さらにバックビュー&サイドブラインドモニターの機能向上やインテリジェントキーの携帯性アップ、パワーステの操作力軽減、グレード体系の見直しなどを実施した。

 上級ミニバンとしての魅力度を高めたマイチェン版プレサージュ。しかし、ライバル車も着実に進化の歩みを続けたことから、販売台数が大きく伸びることはなかった。また、同社の最高級ミニバンであるエルグランドにも2.5リッターモデルが用意されたため、上級指向ユーザーがそちらに流れたことも販売の鈍化につながった。最終的に2代目プレサージュは2009年8月に生産を終了。後継の第3世代が造られることはなかった。