サニー・カリフォルニア 【1979,1980,1981】

スタイリッシュなユーティリティワゴンの先駆け



アウトドアレジャーの本格的な高まり

 アウトドアレジャーが本格的に浸透し始めた1970年代後半の日本。その結果、都会と郊外を行き来するクルマに対して、ユーザーの要求は贅沢になっていく。「荷物がたくさん積めるだけでは駄目、アウトドアドライブに使う足にふさわしい、お洒落で、快適で、所有欲を満たすクルマがほしい」。その背景には、若者文化の発信基地であるアメリカの西海岸でステーションワゴンやバンをドレスアップすることが流行し、日本でもそのムーブメントに影響を受けた高感度ユーザーが増加したという事情があった。

 市場動向を敏感に察知したのが、輸出に力を入れ、アメリカの文化や流行を把握していた日産自動車である。1970年代中盤に入ると、日産のスタッフは、本格的なステーションワゴンの企画・開発に乗り出す。そしてB310型サニーをベースとする、スタイリッシュなステーションワゴンを造り上げた。当初はこのモデルは輸出専用とし、北米市場をメインに販売していた。その後、日本での本格ステーションワゴンに対する需要が高まり始めると、サニー・ワゴンの日本発売を決定する。

ネーミングは憧れと自由な雰囲気を投影

 サニー・ベースの本格ステーションワゴンは、1979年1月に日本の市場に送り出される。車名は「サニー・カリフォルニア」(WHB310型)。当時のプレスリリースには、車名の由来を「若々しく、自由で、明るいカリフォルニア。アメリカの最も新しい文化と風俗を生み出すこの地のイメージを託して命名した」と記載された。車種展開はエントリーグレードのDX、標準モデルのGL、上級仕様のSGLという3タイプで構成する。

 サニー・カリフォルニアは、全長をセダン比で165mm延長(4160mm)、全高をクーペ並みに低く(1345mm)設定し、同時にリアピラーおよびリアゲートの傾斜角を大きくとって、スタイリッシュなワゴンボディを構築する。サスペンションはセダンと同様に前マクファーソンストラット、後4リンクで構成し、大容量の荷物の積載を考慮した専用セッティングを施した。制動システムについては、セダンのGX系と同じN-Pバルブを備えた前6インチマスターバック付ディスク/後オートアジャスト機構付きリーディングトレーリングを採用。ワゴン化に伴う重量増に対処する。タイヤには13インチタイプ(6.15-13-4PR)を装着して操縦安定性を高めた。

スタイリッシュさと機能性を高次元で融合

 パワーユニットには、熟成のA14型1397cc直列4気筒OHVエンジンを搭載する。最高出力は80ps/6000rpm、最大トルクは11.5kg・m/3600rpmを発生。改良型酸化触媒方式の採用により昭和53年排出ガス規制に適合させ、かつ排気系のリファインによって昭和54年騒音規制もクリアした。駆動レイアウトはFR。組み合わせるトランスミッションはデラックスが4速MTのみの設定で、それ以外のグレードは4速MT/5速MT/3速AT(ニッサンマチック・フロアタイプ)の3種から選択できた。

 新しいジャンルのクルマということで、開発陣はサニー・カリフォルニアの内外装に可能な限りの工夫を凝らす。具体的には、既存のバンとは違う乗用車的なイメージ、そして遊びのアイテムを満載するレジャーカーとしての印象を鮮明にした。
 外装は、大きな傾斜角を持たせたリアゲートに後方にいくに従ってすぼまっていくサイドのガラスライン、メッキタイプのアメリカバンパー(ショックアブソーバー付衝撃吸収バンパーはオプション設定)を採用し、ボディ色もイメージカラーのイエローを筆頭に新色のブルーメタリックなど明るいカラーをラインアップする。注文装備として用意したウッディサイドパネルも、アメリカナイズされたアイテムとして脚光を浴びた。

機能性を快適さを追求した室内空間

 内装に関しては分割可倒機構を組み込んだリアシート、ファスナー付きのトノカバー、コンソールボックスが特徴で、多用途性を大いにアピールする。荷室スペースは、長さが最大で1700mm、幅が1305〜1270mm、高さは820mmを確保。同時にゲート開口部を広く、荷室地上高を低く設定して荷物の積み下ろし性を向上する。また、室内のパーツ類をトータルでカラーコーディネートし、かつ荷室サイドにまで伸ばした広いガラスエリアによって、上質で開放的なキャビンルームを創出した。AM/FMマルチラジオや水晶発振式デジタル時計、透過照明クリアライトメーター、電動リモコン式フェンダーミラー、高級モケット織りシート表地といった上級乗用車と同様のアイテムを備えたことも、ユーザーの注目を集めた。

マイナーチェンジで魅力をアップ

 当時は乗用タイプのワゴンというとバンの派生モデルで商用車のイメージが強かったことから、“5ドアスポーツセダン”と称したサニー・カリフォルニアは、徐々にだが確実に市場に浸透していく。とくに釣りやサーフィンなどのアウトドアスポーツを楽しむ、当時の表現でいうと“趣味人”のあいだで高い人気を獲得した。また、セダン比で約6〜8万円高に抑えた買い得感のある車両価格(東京標準で91万6000円〜110万円)も好評を博した。

 新ジャンルのレジャーカーの販売をさらに増加させようと、日産はサニー・カリフォルニアにさまざまな改良を施していく。
 1979年10月に行ったマイナーチェンジでは、フロントノーズのスラント化および角型ヘッドランプの採用やサイドマーカーデザインの変更、インパネ造形の刷新などを実施。また、165/70SR13タイヤやリアスタビライザー、スケルトンタイプワイパー、革巻風3本スポークステアリングなどを装備したスポーティ志向のGXグレードを追加設定した。
 1980年11月になると再度のマイナーチェンジを実施し、内外装デザインや装備類の一部変更を行うとともに、搭載エンジンをA15型1487cc直列4気筒OHVユニットへと換装。最高出力はキャブレター仕様が83ps、EGI仕様(A15E)が92psに向上する。また、最上級グレードとしてA15Eエンジンを採用するSGX-Eをラインアップに加えた。