エクリプス 【1990,1991,1992,1993,1994,1995】

スタイリッシュなアメリカン帰国子女



すべてはクライスラーとの提携から始まる

 1990年2月、三菱自動車はエクリプスと名付けられた4人乗りの2ドアハッチバックのスポーツクーペの日本市場での発売を開始した。この三菱エクリプスは、いわば「帰国子女」であり、アメリカ市場でほぼ1年前の1998年1月から発売されていたモデルだった。

 当時、アメリカの自動車メーカーのビッグスリーと言われたGM、フォード、クライスラーのうちで、クライスラーだけは深刻な経営危機に喘いでいた。そこで日本の三菱自動車との資本提携を締結し、相互補完をすることで経営の安定化を図る。エクリプスは100%三菱側の設計によるモデルであり、三菱がアメリカのイリノイ州に新設した工場で生産し、アメリカでまずクライスラーブランド(プリムス レーザーおよびイーグル タロン)としての販売を開始し、続いて日本で三菱エクリプスとして販売も始めた。車名のエクリプス(Eclipse)とは、18世紀の英国競馬で26戦して不敗を誇った競走馬の名に由来する。

ギャラン譲りの先進メカニズム

 直接的なベースとなったのは、三菱ギャランであり、ボディ以外の主要なコンポーネンツはエンジンやトランスミッションをはじめ多くの部分を共用している。スタイルはハッチバックの3ドアクーペのみだったが、モデルバリエーションは前2輪駆動仕様と4輪駆動仕様があった。日本で販売されたエクリプスでは、搭載されるエンジンは2種あり、いずれも排気量1997㏄の直列4気筒DOHC16Vで、自然吸気仕様(4G63型、出力140ps/6000rpm)およびターボチャージャー仕様(4G63+ターボ型、200ps/6000rpm)があった。

 トランスミッションは2輪駆動仕様には4速オートマチックと5速マニュアルが、4輪駆動仕様には5速マニュアルのみが設定されていた。サスペンションは2輪駆動仕様が前マクファーソンストラット/コイルスプリング、後3リンクトーションアクスル/コイルスプリングで4輪駆動仕様では後がダブルウィッシュボーン/コイルスプリングと2方式を使い分けていた。

スタイリッシュなスタイルにマニアが注目

 外観上の特徴は、事実上グリルレスのフロントエンドと電気モーターによるリトラクタブルヘッドライト、バンパー一体型のフロントスポイラー、ガラス面積の大きいことによる開放感のあるキャビン部分、大きく張り出したテールスポイラーなどだ。インテリアは同じ時代のシボレー コルベットに倣ったスタイルで、アメリカ市場に適応したものとなっており、仕上げはかなり荒っぽい部分もあるが、デザイン的には優れたものとなっていた。

 走りはパワフルだった。特にターボチャージャー付きエンジン搭載車は、その圧倒的な高性能によりアメリカ市場では大きな人気を集めた。とはいえ、日本市場では左ハンドルだったことや交通事情などにより本来の高性能を発揮することが難しかった。価格も327万円と輸入車だけにやや割高だった。その結果、一部に熱狂的なファンを生んだものの、日本では少数派の地位に甘んじる。エクリプスは1994年10月に第2世代へとチェンジされるが販売は低迷し、1999年からの第3世代は一部のスパイダーモデルを除き、輸入されることはなかった。
 同じモデルを日本の工場で生産していたならば、もう少し事情は異なっていたかもしれないが、アメリカ製のスポーティクーペというだけではマーケットは維持できなかったわけだ。ダイナミックなスタイリングが魅力の個性派スペシャルティである。