スプリンター 【1983,1984,1985,1986,1987】

専用のボディデザインを採用したFF意欲作

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カローラとは一線を画した上級車として企画

 1983年5月、カローラとともに、スプリンターはモデルチェンジを受けた。カローラの派生モデルとしてファストバックのスタイルで1968年に誕生した初代カローラ・スプリンターから数えて5代目となる(スプリンターの単独ネーミングは2代目移行)。カローラ&スプリンターは4代目からこの5代目に移行する際、大きな転換期を迎えた。それは、従来のFR駆動レイアウトを捨て、新たにFFモデルとして歴史を刻んでいくことになったのだ。その一方で、2ドアクーペおよび3ドアクーペのレビン&トレノはFRレイアウトを踏襲した。

 しかし、ほかにも5代目カローラ&スプリンターには大きな話題があった。それはスタイリングだ。初代スプリンターはカローラとボディースタイルが異なるファストバックスタイルを採用したが、それ以降、フロントマスク(とくにヘッドライト周辺)のデザインに差別化はあったものの、両者は同様のボディーラインを持っていた。しかし、この5代目では、スプリンターはカローラと異なるボディーデザインを手に入れ、カローラより上級なイメージを発散したのだ。

欧州車テーストの流麗スタイリング採用

 5代目スプリンターのエクステリアデザインを見ていこう。まずフロントマスク。ヘッドライトは横長デザインでサイドにまで回り込む形状となる。さらにヘッドライトを繋ぐように、車名を入れたガーニッシュを装着。このガーニッシュの採用で5代目スプリンターはより上質なモデルとしてのイメージを見る者に与えた。これはセダンモデルであっても、5ドアモデルでもあっても共通のデザイン処理だ。そして、サイドビューではセダンのCピラー回りが目を引く。切り立った角度のカローラセダンのCピラーに対し、スプリンターはなだらかな角度のピラーを備えていた。

 カローラがオーソドックスなサイドウィンドウを持つのに対して、スプリンターセダンは6ライトのウィンドウ構成を採用。上級セダンとしての印象を決定づけた。テールランプ周辺のデザインもカローラとは異なる。リアバンパーとテールランプの間の間隔を大きく取り、テールランプ自体を横長デザインにすることで、カローラに比べて一段高い位置にテールランプが配置されている印象を抱かせる。スプリンタはボディー全体に曲面が多く、ラウンディッシュなイメージを与えるエクステリアに仕上げられたのだ。

当初のエンジンは4種。その後4A-Gを追加

 5ドアのリアセクションは、バンパーのすぐ上にテールランプをレイアウト。フロントマスク同様、こちらにも車名入りのガーニッシュが与えられている。このリア回りの形状は、スプリンターとカローラでは共通のデザインとなっていた。ちなみに5ドアは大型リアゲートを備えた実用的なモデルで、日本以上に欧州のマーケットを意識したボディタイプであった。

 デビュー当初のエンジン ラインアップは83ps/12.0kg-mを発生する1.5リッターの3A-LU型4気筒SOHCが主力エンジン。そのほか、1.3リッターの2A-LU型と、EFIを組み込む1.6リッターの4A-ELU型をラインアップした。この3つのガソリンエンジンに加えて、1.8リッターのディーゼルユニット(1C-L型)も用意された。

 1984年10月、2ボックスモデルであるカローラFXが登場する。FXにはレビン&トレノと共通となる1.6リッターの直4DOHC16Vユニット4A-G型を搭載するなど、軽快な走りが話題となった。このとき、同時にスプリンターのセダンモデルにも、4A-Gモデルが加わった。4A-Gユニットは最高出力130ps/5600rpm、最大トルク15.2kg-m/5200rpmのスポーツ心臓。コンパクトなスポーツセダンとして、カローラ&スプリンターの1600GTはファンを大いに楽しませた。