ライフ 【1997,1998】
名車のネーミングが四半世紀の時を経て復活
およそ四半世紀という年月が経過して蘇った2代目ライフは、RVブームの中、マルチに楽しめる現代的なデザインと、優れたメカニズムを持ってカムバックした。商品テーマには「新・マルチスタイル」。「より大きなゆとりをもって乗れ、より幅広く使える、セダンとワゴン、それぞれの魅力を合わせもつ新しいクルマ」を掲げる。
スタイリングは、スズキのワゴンRが先駆けとなった、いわゆる「軽トールワゴン」。ドアは左右ともに2枚ずつの4ドアで、大型のテールゲートを持つ。ライバルであるワゴンRは1+2ドアもラインアップし、ダイハツのムーヴはテールゲートが横開きであるのに対し、ライフはオーソドックスに前ヒンジのドア4枚と、上ヒンジのテールゲートという構成を採用した。スリーサイズは全長×全幅は当時の軽自動車規格いっぱいの3295mm×1395mm。この長さと幅はワゴンRやムーヴと同値だ。一方、全高を比較してみると、ライフ。の個性が明確になる。1700mmに近い数値のワゴンRやムーヴに対してライフは1635mm(ルーフレールが装着されないBタイプの場合、全高は1575mm)。グレードによって異なるが、55〜60mmもライフは背が低いディメンションを持っていた。
フロントマスクは、高い位置にマウントした大型のマルチリフレクターヘッドライトと、大型のバンパーグリルが力強い印象を与える。リアには大型バンパーと縦長のコンビネーションランプを配置。ボンネットとバンパーの境を起点としてボディを一周するラインがアクセントとなっていた。これは前年にデビューしたS-MXにも通じるデザイン手法である。
インテリアは「マルチユーティリティ」をキーワードに、余裕たっぷりのキャビンと工夫を満載したラゲッジルームを備えていた。インパネ形状こそベースとなったトゥデイと共通イメージだが、運転席シートは、座面幅を助手席より40mm広くして快適なロングドライブをサポートする配慮を施していた。またリアシートには厚さ200mmの高密度クッションを採用するなど、軽自動車ながら小型車に匹敵する快適性を目指したことが窺える。
ラゲッジルームにも、注目すべき工夫を施していた。リアシートは6対4の分割可倒式で、ヘッドレストを外す面倒なく前方にそのまま倒せばフラットなスペースが出現。積み込む荷物に応じて、フロアの高さを2段階に変更可能な2ウェイトランクリッドも装備していた。
搭載エンジンは、やはりトゥデイと共通する。656cc直列3気筒SOHC12VのE07A型だ。最高出力は48ps/6300rpm、最大トルクは5.8kg-m/5500rpmで、5速MTと3速ATを組み合わせていた。足回りでは、ストラット式のフロントサスペンションに大径スタビライザーを、トーションビーム式のリアサスペンションに中空スタビライザーを採用。前後ともスプリングとショックアブソーバーのセッティングを最適化し、スタビライザーをボールジョイントとすることで、軽自動車トップレベルの乗り心地と安定感ある走行性能を目指していた。
走り、快適性、デザインなど基本を極めることで魅力を磨き上げた2代目ライフ。派手さはないが、「シンプル・イズ・ベスト」という表現が相応しい個性で、その後のライフの基本を作ったモデルである。
2代目ライフは翌年の1998年10月8日(10月9日発売)にフルモデルチェンジが実施され、3代目ライフがデビューを果たしている。基本コンセプトを継承してのモデルチェンジで、10月1日からの「軽自動車の新規格化=ボディサイズの拡大」に伴ってのもの。わずか1年6カ月足らずでライフは2代目から3代目へと切り替わった。