クラウン 【1995,1996,1997,1998,1999,2000,2001】

先進技術と丹念な作り込みを誇る上質サルーン

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広いガラスエリアとキャビン

 10代目クラウンの開発のコンセプトは、「40年の歴史を歩んできた高級車にふさわしい伝統と品格を磨き、堂々たる個性を一層高める」ことだった。ラインアップは、先代同様、ロイヤルシリーズとマジェスタの2系統である。
 まず主力のロイヤルシリーズから見ていこう。基本構造は、それまでのフレームを備えたボディが、フルモノコックボディへと進化した。マジェスタは先代ですでにモノコック構造を持っていたが、10代目でロイヤルシリーズもモノコックボディを採用。ロイヤルシリーズとマジェスタで、基本プラットホームを共用するに至った。

 搭載エンジンは、3種のガソリンエンジンと1種のディーゼルユニットの計4タイプ。筆頭は、3リッター直列6気筒DOHC24Vエンジン。従来の2JZ-GE型ユニットに、VVT-i(連続可変バルブタイミング機構)を組み込む。2リッター並みの低燃費と、4リッター並みのパワーを実現した新世代ユニットで、最高出力は220ps/5600rpm、最大トルクは30.0kg-m/4000rpm。最大190kgにも及ぶ大幅な軽量化も手伝い、10・15モード燃費はクラストップの9.8km/hをマークした。そのほかガソリンエンジンは、2.5リッターの直列6気筒DOHC24Vの1JZ-GE型(180ps/24.0kg-m)、2リッター直列6気筒DOHC24Vの1G-FE型(135ps/18.0kg-m)。ディーゼルユニットは、2.4リッター直列4気筒SOHCディーゼルターボの2L-TE型(97ps/22.5kg-m)である。

端正な造形。おもてなしの性能をさらにアップ

 ロイヤルシリーズのスリーサイズは、全長4820mm×全幅1760mm×全高1425mmで、先代と比較して全長が10mm長く、ホイールベースは2780mmで先代比50mmの延長だ。ホイールベースを伸ばしながらボディの延長は最小限に抑えている。エクテリアのテーマは、「端正の造形のなかに華やかさを表現する」こと。先代ではキャビンの小さなスポーティーなエクステリアが特徴だったが、10代目ではガラス面積をたっぷり取り、快適なキャビンの追求を入念に行っている。

 インテリアでは、メーターフードが助手席側まで連続したラインを描くインパネデザインを持つ。ドアトリムの上質な設えや、扱い易い角度を追求したインパネセンター部の操作性など至るところに気配りがあふれている。また、リアシートのニークリアランスは50mmの拡大。インテリアの開発テーマに掲げた「もてなしの感動」が見事に具現化されたキャビンとなっていた。

ステイタスと優雅さを追求したマジェスタ

 上級版のマジェスタは、いちだんと上質な仕様に仕立てられた。搭載エンジンは、セルシオ譲りの4リッターV型8気筒DOHC32Vの1UZ-FE型(265ps/37.0kg-m)。そのほか、ロイヤルシリーズと共通するVVT-iを持つ3リッター直列6気筒DOHC24Vエンジン(2JZ-GE型)を搭載した。マジェスタは「ステイタスイメージのなかに優雅さを表現する」ことがエクステリアのコンセプトだ。大型グリルを外板で囲み、押し出しの効いたフロントマスク。テールランプは縦型デザインで、フォーマルな装いを身に付けている。

 ボディサイズは4900mm×1795mm×1430mm。先代マジェスタとほぼオーバーラップし、ホイールベースも2780mmで先代同様だ。インテリアは、ロイヤルシリーズのインパネ形状と基本的に共通デザインながら、デジタルメーターにはウィンドウに速度を表示するホログラムヘッドアップディスプレイを標準で装備していた。マジェスタには4WD仕様も設定。このCタイプi-Fourには、VSC(ビークル スタビリティ コントロール)を装備した。
 次代(21世紀)を見据えたクルマづくりを行い、魅力あふれる高級サルーンへと進化した10代目クラウン。「王冠」のエンブレムにふさわしい国産車の頂点と呼べるクルマだった。