オデッセイ 【1999,2000,2001,2002,2003】

ドライバーズミニバンに進化した2代目モデル

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初代は乗用ミニバンという新価値を創造

 ホンダは斬新なコンセプトの新型車の場合、2代目モデルを“キープコンセプト”で開発することがいわば伝統だ。シビックも、アコードも、そしてフィットもそうだった。乗用ミニバンの世界を創造したオデッセイも例外ではない。1999年12月に登場した2代目オデッセイは、初代モデルの美点を継承しながら、ドライバーズミニバンという新たな個性を身につけた、キープコンセプトモデルである。

 1994年10月に誕生した初代オデッセイは、アコードのランニングコンポーネンツを活用した乗用車派生の3列シートミニバンだった。オデッセイ以前のミニバンは、商用ライトバンをベースにした3列シートワゴンが主流。豪華な装備を誇ったものの、走行安定性は乗用車と比較して数段劣り、乗り心地や静粛性も乗用車レベルには達していなかった。だがアコードを基本に、背の低いグローバルサイズの3ナンバーボディをまとったオデッセイは、すべてが革新的だった。走りや乗り心地、静粛性はアコードよりむしろリファインされており高級サルーンに匹敵。3列シートを配置した室内は広々としていた。さらに3列目シートを床下に収納できるなど、ユーティリティにも光るものがあった。上級ステーションワゴンを連想させるスタイリングも商用車派生モデルにはない上質な雰囲気に溢れていた。

 初代オデッセイはデビューと同時にブームとも表現できる人気を獲得。トヨタ・イプサムを筆頭に、数々のライバルがデビューするきっかけを作る。販売も絶好調。2代目の登場までに国内販売累計は42万台に達した。

初代の美点を継承、リファインした2代目の魅力

 2代目のオデッセイは、初代が提示した価値観をリファイン。さらに使い勝手と快適性、そして走りを向上させることで新たな個性を提示する。
 スタイリングは、低重心&ワイドスタンスのワゴンライクな造形を継承。ラインアップは、2253ccの直列4気筒SOHC16バルブエンジン(150ps/21kg・m)を搭載した主力シリーズと、2997ccのV型6期等SOHC24バルブユニット(210ps/27.5kg・m)を積むプレステッジ系の2シリーズで構成する。

 ボディサイズは4気筒の主力の4気筒車が全長4770mm、全幅1795mm、全高1635mm(4WD車は1665mm)。V6のプレステージは全長が65mm長い4835mm、全幅は5mm広い1800mm。ちなみに旧型との比較では4気筒モデルの場合で、全長が20mm長く、全幅が25mm広く、全高は15mm低い。2830mmのホイールベースは旧型と同一で、4輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンションにも変わりはなかった。

 新型の個性は、優れた使い勝手と充実した装備にあった。ベンチ形状となる7名乗り仕様の2列目シートには380mmのロングスライド機構を導入。旧型以上の多彩な空間&シートアレンジを実現する。旧型ではサードシート横に配置していたスペアタイヤを床下に移動し、3列目シートもヘッドレストを装着したまま床下に収納できるようにしたのもユーザーフレンドリーだった。もともと広かった室内長は旧型比25mm長い2740mmに拡大した。

 装備面ではデュアルオートエアコンを標準化。2−3列目用エアアウトレットをルーフ内にビルトインする構造とし、快適性を一段とリファインする。さらに上級グレードでは、7inワイドディスプレイ採用のナビゲーションシステムを装備するなど、快適クルージングモデルとしてのオデッセイの美点を引き上げた。

ドライバーズミニバンとしてのこだわり

 しっかりとした走りも新型の美点だった。初代も走りの良さでは定評があったが、コラムタイプのシフトレバーや、ソフトでコーナリング時に大きなロールを許す足回りなど、マン・マシン・インターフェイスの面でドライバーズカーとは言いがたかった。新型ではトランスミッションにマニュアルセレクト機能を盛り込み、操作性に優れたインパネ配置とする。足回りもワインディングロードでハンドリングが楽しめる設定になっていた。フロントにストラットタワーバーを配置し、リアサスペンション取り付け部のクロスメンバーを強化することで剛性を引き上げた強靭なボディと相まって、走りの完成度はドライバーズミニバンを名乗るに相応しい高水準に達していた。

 2代目オデッセイは、デビュー直後にカローラを上回る販売台数トップの座を獲得。初代が形作った名声をさらに堅固なものにした。

2001年、スポーティな新グレードが登場

 2代目オデッセイの“ドライバーズミニバン”という性格は、2001年11月に一段と明確となる。スポーティな新グレード、アブソルートが登場したのである。アブソルートは2253ccの直4(150ps)と、2997ccのV6(210ps)の両タイプに設定され、走行時のロールを抑え車体の動きを最適化する低重心ローダウンサスペンションを採用。標準車比マイナス15mmの足回りと215/55R17サイズの大径タイヤとのコンビで爽快なフットワークを実現する。

 足回りのファインチューニングとともに、アブソルートは専用グリルやエアロパーツ、ブラック基調のインテリアカラーを標準化し独自の個性を発散。ミニバンにしっかりとした走りを求めるユーザーの共感を呼び、2003年10月にモデルチェンジした3代目モデルからは専用エンジンを搭載するシリーズへと発展した。