スバルデザイン4 【1984,1985,1986】

シャープなフォルムで機能を追求した1980年中盤

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


“オールニュー”を謳った3代目レオーネ

 富士重工業は1980年代の半ばに、既存モデルの刷新と車種ラインアップの拡大を積極的に画策するようになる。既存モデルでは軽自動車のレックスから中核車のレオーネまでを全面改良。車種ラインアップではイメージリーダーとなるスペシャルティカーの設定を行った。

 1984年7月には、“オールニュー”を謳った第3世代のレオーネを市場に放つ。当初のボディタイプは4ドアセダンのみの設定で、3カ月後の10月にツーリングワゴンも新型に切り替えた。セダンの車両デザインに関しては、スラントノーズからリアエンドのキュービックテールへとつながるシャープなウエッジシェイプで基本フォルムを構成。同時に徹底した空力処理を施し、空気抵抗係数(Cd値)はクラストップレベルの0.35を実現する。一方、大きなカーゴスペースを備えるツーリングワゴンでは、セダンと同様の空力スタイルを採用しながら、個性的な2段式ルーフや広くて開放的なガラスエリアを組み込んで機能性とワゴンらしい遊びゴコロを演出した。

 インテリアについては、高機能のコクピットデザインを導入する。インパネにはサテライト式のスイッチを配するとともに、全面カラー液晶表示メーターやトリップコンピュータといった先進機構を設定。フロントシートには平面バネとコイルスプリングを組み合わせた新デザインのバケットタイプを装備する。さらに、コンピュータ制御のフルオートエアコンや国際規格の絵表示と文字でディスプレーしたセーフティモニター、エンジン回転感応・油圧制御方式のパワーステアリング、指1本で快適に操作できるクルーズコントロールなども組み込んだ。

前衛スペシャルティカーのデビュー

 1985年1月になると、富士重工業はアメリカで自社初の上級スペシャルティカーを発表する。XT1800と名づけられた2ドアボディのクーペは、エンジン天地寸法の短い水平対向エンジンを強調するようなスラントした低いノーズとリトラクタブル式のヘッドライト、極端なウエッジシェイプ、横長のコンビネーションランプを組み込んだリア回りなどで構成。斬新な車両デザインで人々を驚かせた。このスタイルは、エアロダイナミズムを駆使して構築された造形だった。Cd値はFFモデルで0.29。当時としては世界トップレベルの数値をマークする。

 アメリカでの発表から4カ月後、日本でもスバル初のスペシャルティカーがデビューする。車名はXTではなく、アルシオーネを名乗った。
 アルシオーネのシャシーは、基本的に同社のレオーネのコンポーネントを使用する。ただし、主要機構には最新技術をふんだんに盛り込んだ。足回りは電子制御のエアスプリングを装着したエレクトロ・ニューマチックサスペンションを採用。2段設定のハイトコントロールと4輪オートレベリング機構に加え、マルチアジャスト式のステアリングシステムも組み込む。

 駆動方式はパートタイム4WDとFFの2タイプを設定。エンジンは専用チューニングのEA82型1781cc水平対向4気筒OHCターボ(135ps)を搭載した。インテリアのデザインも斬新だった。ステアリングはL字型のスポークを持つ新タイプ。その左右にはサテライトスイッチを整然と並べる。デジタル表示のメーターやガングリップタイプのシフトノブ、斜めに傾斜を持たせて囲まれ感を演出したインパネとドアパネルのコンビネーションなども人目を引いた。クルマというより航空機のコクピットを思わせる造形−−そんな表現がピタリと当てはまるアレンジだった。

“これからのミニの基本”を目指した3代目レックス

 1986年10月には軽自動車のレックス・シリーズが3代目に切り替わる。“これからのミニの基本”を目指した第3世代は、「新感覚のストリーム&トールデザインと豊かな機能が両立した新しいカースタイリング」を提案。ホイールベースを40mm、ボディ高を50mm高めて居住空間を拡大したうえで、シックで飽きのこないエクステリアデザインを創出した。ボディタイプは5ドアハッチバック(メーカーは5ドアセダンと呼称)のレックスと3ドアハッチバックで商用車登録のレックス・コンビを設定する。

 内装デザインについては、クラストップの室内長を確保するとともに、ホールド性に優れたフロントローバックシートや機能性を重視したインパネ、高効率な空調システムなどを配して快適なキャビンスペースを演出。また、一部上級グレードにはリフター&回転ドライバーズシートを装備した。