エクストレイル 【2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】
アウトトドアで威力を発揮するタフな相棒
最初の日産エクストレイルが発表されたのは、2000年10月である。「4人が快適で、走りも楽しめる200万円台の実用的な4輪駆動モデル」と言ういささか欲張ったコンセプトで開発されたSUVだ。当時は、今日に続くSUV(スポーツ ユティリティ ビークル)が大流行で、「シティオフローダー」などと訳のわからぬ言葉も生まれたほどだった。SUVの力強いアピアランスとドライバーの着座位置の高さは、混雑する市街地では大いにその力を発揮することができたからだ。一度もオフロードなど走ることもないユーザーも多かったという。
日産は1997年の第32回東京モーターショーに、トレイルランナーというオフロードも走れるスペシャリティクーペのコンセプトモデルを展示した。スタイルは異なってはいるが、このトレイルランナーこそが後のエクストレイルの母体となったモデルである。2000年9月のパリ・サロンで、スペインで生産されていたミストラルの後継モデルとしてエクストレイルの量産試作モデルを発表した後、同年11月から本格的な市販が開始された。車名のエクストレイル(Ⅹ-TRAIL)とは、若者が楽しむスポーツを表す「Extreme Sport」と「足跡」とか「轍」を意味するトレイル(Trail)を掛け合わせた造語だ。
アウトランダーのテールゲートを持った4ドアボディはフルモノコック構造でシャシーフレームは持たない。したがって、基本的には4輪駆動システムを備えた乗用車であり、本格的なオフロード向け4輪駆動車ほどの悪路走破性能は持ち合わせていない。しかし、「オールモード4×4」と呼ばれるフルタイム4輪駆動システムや地上高の高さに加え、強力なエンジンのおかげもあり、場合によっては侮りがたいオフロード性能を発揮する。快適装備の充実や安全性への配慮など、日常的に乗れるクルマとしての実用性の高さを当然ながら備えており、この辺りも高い人気を持っている理由でもある。ボディサイズは全長4445×全幅1765×全高1675㎜、そしてホイールベース2625㎜となっており、トヨタRAV4よりは大きいが、ホンダCR-Vとほぼ等しい。3列シートはなく、乗車定員は5人となる。
装備されるエンジンには2種あり、いずれも直列4気筒DOHCで、メインは排気量1998㏄の自然吸気仕様QR20DE型(150ps/6000rpm)。上級バージョンとして1998㏄にターボチャージャーを装備したSR20VET型(280ps/6400rpm)を用意した。トランスミッションは電子制御4速オートマチックと5速マニュアル。サスペンションは前がストラット/コイルスプリング、後がパラレルリンクストラット/コイルスプリングとなる。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクが装備されていた。タイヤサイズは前後輪とも215/70R15サイズと215/65R16サイズをグレードによって履き分けていた。
インテリアの特徴は、大型のセンターメーターやシートや内装に水洗いも可能な合成素材を用いるなど、アウトドアスポーツ指向を強調したものとしていたこと。あえて3列シートとしなかったのは、アウトドアスポーツ向きに、嵩張るラゲッジを積み込むスペースを確保するためであった。また、アメリカの人気スポーツTV番組であったXゲームのイメージをフューチャーしたCMも話題となった。また燃料電池車(X-TRAIL FCV)のベースにも使われた。
エクストレイルのメインターゲット層は、アウトドアスポーツを思いきり楽しんでいる20代~30代だった。スノーボードやサーフィンといった“横乗り系スポーツ”を趣味とする層である。彼らのためにエクストレイルが装備したのが「ウォッシャブルラゲッジボード」だった。道具の濡れや汚れを気にすることなく、思う存分ラゲッジスペ—スが活用できることを目的に、荷室の床面に設置したアイテムである。ネーミング通りラゲッジボードを取り外して直接水洗いが可能としていた。ウォッシャブルラゲッジボードは、スポーツを楽しむユーザーだけでなく、釣りやキャンプなど、レジャーを家族で楽しむユーザーにも受け入れられた。そのほか、エクストレイルには、シートを撥水加工とし、水や汚れを簡単に拭き取れるようにするなどの工夫を満載。クルマを道具として使えるコンセプトは大いに支持を受けた。