ランドクルーザー・プラド 【1996,1997,1998,1999,2000,2001,2002】

タフさと日常性を高度にバランスさせた世界の勇者

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3シリーズで構成する世界に誇るランクル・シリーズ

 ランドクルーザーは、世界で圧倒的な支持を獲得しているヘビーデューティ4WDブランドである。トヨタの高い信頼性を象徴する存在であり、その圧倒的な走破性はライバルの追従を許さない。
 ランドクルーザーの活躍領域は、道なき道を含めた地球上のすべて。ランドクルーザーほどワールドワイドな世界観を持ったクルマは珍しい。たださすがのランドクルーザーとはいえ、1台で世界中のユーザーのニーズを満足させることは難しい。ランドクルーザーには3種のシリーズがある。

 主役はトヨタ・ジープをルーツとするワークホースモデル。アフリカやオーストラリアで主に活躍する“Theランクル”だ。もう1台は、アメリカや中東市場をターゲットに収めた大型ラグジュアリーワゴン。そして今1台が、タフさと日常性を高度にバランスさせた“プラド”である。
 プラドは、卓越した悪路走破性とともに、高速安定性や、通常の使い勝手に配慮したオールラウンドモデル。欧州と日本で販売の主力となっているランドクルーザーである。

2代目は「ニュートラディショナル4WD」をコンセプトに開発

 プラドのオールラウンダーとしてのキャラクターは、1996年にデビューした2代目90シリーズで本格的に開花した。というのも初代プラドは、ワークホースモデルの70シリーズに改良を加えたモデルだったからだ。2代目は「ニュートラディショナル4WD」をコンセプトに掲げ、ゼロから開発。理想のプラドに仕上げられていた。

 2代目は、フルタイム4WD機構などで走行性能を高めながら、乗用車としての走りを一挙に高めたのが特徴だった。ボディに衝突安全GOA構造を取り入れ、サスペンションには前輪ダブルウィッシュボーン、後輪4リンク式のコイルばね形式を採用。オフロードからオンロードまで守備範囲の広いオールラウンダーを目指していた。ライバルは三菱パジェロやランドローバー・ディスカバリーなど。都会でも荒野でもしたたかな走りが味わえる本格派だった。

 ボディタイプは全長4240mm/ホイールベース2370mmの3ドアと、全長4675mm/ホイールベース2675mmの5ドアの2タイプ。両ボディタイプともに全幅を広めに設定した3ナンバー規格で、ベースグレードを除き樹脂製オーバーフェンダーを装着しワイルドな印象を訴求した。
 フロントマスクは3ドアが丸型ヘッドランプとブラックの縦桟グリル、5ドアは角型ヘッドランプとメッキ仕上げ横桟グリルと差別化が図られた。室内は快適性と豪華さを追求した上質なデザイン。ドライバー正面に大型速度計とタコメーターを配置し、上級グレードではインパネ中央にフィールドモニターと名付けた方位形/傾斜計/高度計をまとめた計器を装備していた。乗車定員は全車2列シート仕様の3ドアが5名。5ドアは3列シート仕様が8名、一部グレードに設定された2列シート仕様は5名だった。

道を選ばない卓越の走り、2代目は日本の主力モデルに成長

 パワーユニットは、排気量3378ccのV6DOHC24Vガソリン(185ps/30kg・m)と、排気量2982ccの直4OHCディーゼルターボ(140ps/34kg・m)の2種。トランスミッションは電子制御4速ATを主体に一部グレードには5速MTを設定。駆動方式は前述のようにセンターデフ方式のフルタイム4WD。路面状況に応じてH(通常モード)/HL(センターデフロックHiモード)/LL(センターでフロックLoモード)が選べる副変速機を備えていた。

 たっぷりとしたストロークを確保したサスペンションや、4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、ダイレクトな操舵感を見せるラック&ピニオン式ステアリングなどと相まって、プラドの走りはオフロードはもちろん、高速道路やワインディングロードでもしっかりとしており、ライバルを圧倒した。

 衝突安全ボディGOAの採用だけでなく、全車にデュアルエアバッグやABSなど、先進の安全デバイスを標準したのも特徴だった。プラドは見晴らしのいい良好な視界と相まって、運転しやすく、しかも万が一のときはパッセンジャーをしっかり守る頼もしい4WDだった。
 ランドクルーザーに憧れを抱いていたものの、あまりに本格派すぎて手に入れるのを躊躇していたユーザーにとって、プラドはバランスの取れた存在に映った。2代目プラドの販売は好調に推移する。とくに1997年4月に排気量2693ccの直4DOHC16V(150ps)ユニットがラインアップに加わってからは、多くのユーザーの支持を集めた。

快適性への真摯なこだわり。プラドの先進シートと空調

 2代目プラドは、その卓越した走行性能をユーザーがリラックスして享受出来るよう、快適性に徹底的に配慮していた。その代表はシートと空調だった。上級グレードの運転席には5種のアジャスタブル機構でドライバーにベストな姿勢を提供するスポーツシートを標準装備。さらにオプションでヒーター機構付き電動本革シートを用意する。

 空調は、環境に優しい新冷媒HFC134aを採用したフルオートAC。きめ細かな温度調節でオールシーズン爽やかな室内空間を演出した。上級グレードではリアキャビンの快適性を引き上げるデュアルオートAC(リアはクーラー機能のみ)を標準装備していた。