トゥデイ・アソシエ 【1993,1994,1995,1996】

遊びゴコロを詰め込んだ4ドアK-CAR



ホンダMM思想に遊びゴコロをトッピング!

 ホンダのクルマ作りの基本はMM(マンマキシマム・メカミニマム)思想だが、こと軽自動車に限っては、MM思想のなかに遊びゴコロを盛り込んでいた。その代表が2代目のトゥデイの4ドア版、アソシエである。アソシエは、1993年1月に登場した2ドアの2代目トゥデイに遅れること5ヵ月の1993年5月にデビューする。

 正式名称トゥデイ・アソシエで、アソシエ(ASSOCIE)は「仲間、交際する」という意味の英単語「associate」から名付けていた。2ドアモデルはJラインの個性的なウィンドーグラフィックと独立したトランクで個性を主張したが、アソシエは2ドアと比較するとやや大人しい印象でまとめていた。水平基調の大きなグラスエリアを持つスタイリングはクリーンで、親しみやすかった。

独立したトランクで使い勝手と個性を主張

 アソシエの遊び心は、2ドアと同様の独立したトランクにあった。ライバルのスズキ・アルト、ダイハツ・ミラが実用性を重視して大型リアゲートを採用するなか、アソシエは敢えてリアゲートではなく、ウィンドー下から開口するトランクリッドを装備する。しかもそのトランクリッドは、クラシック・ミニのような下ヒンジタイプだった。アソシエがわざわざ独立したトランクを採用した背景には、綿密なユーザー調査があった。

 ホンダによると、軽自動車のほとんどのユーザーは買い物袋や身の回りの荷物をラゲッジスペースではなく、後席や助手席に置いていたのだ。軽自動車のメインユーザーにとってわざわざ後ろに回って大きなリアゲートを開けるよりも、室内に放り込むほうが便利だったのだ。それならばリアゲートよりも大型サイズの後席用ドアを設けたほうがユーザーは喜ぶと開発陣は考えた。より日常生活に優しく寄り添うクルマになると判断したのである。しかもトランクは外から見られたくない貴重品などを置くスペースにしようと考えた。だから独立タイプとしたのだ。

女性ユーザーに寄り添った空間設計

 アソシエのトランクは限られた軽自動車の寸法枠内で確保したものだからけっして広くはなかった。しかし狭いながらも独立したトランクがある意味は大きかった。日常的に使うリアドアと、特別な荷物を載せるときのトランクという使い分けを可能にしたからだ。

 トランクは女性のハンドバッグで言えば隠しポケット。どう使うかはユーザーのアイデアしだいの楽しいスペースと言えた。しかも長尺物を積み込む必要がある場合は後席シートバックが倒せ、ライバルのハッチゲート付きと遜色がないユーティリティを実現していたから便利だった。

ドライバー優先パッケージングで広さを計算

 アソシエのメカニズムは2ドアモデルと基本的に共通だった。パワーユニットは排気量656ccの直列3気筒OHC12Vで、標準仕様(48ps/5.8kg・m)と、ビート用MTRECユニットをデチューンしたハイパワー仕様(58ps/6.1kg・m)から選べた。トランスミッションは5速マニュアルと3速ATの2種で、駆動方式はFFを基本に4WDも設定していた。走りは軽量ボディの利点が生きて軽快で、実用燃費もライバルと比較して優れていた。生活のパートナーとして最適なパフォーマンスの持ち主と言えた。

 室内空間は、個性的なドライバー優先設計によって、上級モデルから乗り替えても狭さを感じなかった。前席幅を運転席側500mm、助手席側460mmに設定し、シフトレバーやパーキングブレーキの位置も車両センターではなく、やや助手席側にオフセット配置したのだ。ステアリングやペダルの配置をドライバーに対し正対するようにレイアウトした効果もあって、アソシエのドライバーズスペースは広々とした印象があった。

 お洒落ゴコロとセンスを感じる内外装と、必要十分なパフォーマンス、そしてユーザーの側に立ったさまざまなアイデアを盛り込んだトゥデイ・アソシエはホンダらしさ溢れるキュートな軽自動車だった。ライバルよりも個性的なクルマを作りたい、という開発陣の熱意が魅力を生んでいた。