マツダデザイン12 【1998,1999,2000,2001,2002,2003】

新しいブランド戦略に基づき車両デザインを大幅刷新

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


固定式ヘッドランプを取り入れた2代目ロードスター

 マツダは、1990年代終盤フォードによる出資比率の引き上げによって経営基盤を安定させ、さらに楕円とMを組み合わせた新CIにより、ブランドの再建を図った。同社の積極姿勢は、新型車の車両デザインにも明確に反映された。

 1998年1月に、第2世代となるロードスターが市場デビュー。NBの型式をつけた2代目ロードスターは開発コンセプトに、スポーティ感を高めたエクステリアとインテリア、“ファン・トゥ・ドライブ”、卓越した安全性、日常ユースの機能性を掲げる。パッケージングについては全長3955×全幅1680×全高1235mm、ホイールベース2265mmとコンパクトなサイズに収めたうえで、優れたヨー慣性モーメントと重量配分を実現。軽量化も果たした。エクステリアに関しては3次元フォルムを取り入れて見た目の美しさと空力特性の向上を達成し、インテリアでは適度なタイト感の演出や操作性の引き上げを図る。シャシーについては4輪ダブルウィッシュボーンのサス形式を継承しながら主要部位の剛性アップや構造変更を実施し、ひと際高いコントロール性能や路面追従性を実現した。

“アスレティック”をデザインテーマに据えたアテンザ

 2002年5月には、カペラの後継を担うミドルクラス車のアテンザが登場する。ボディタイプは4ドアセダンと5ドアハッチバック(スポーツ)、ステーションワゴン(スポーツワゴン。6月発売)の3種類を設定。車台についてはセダンとハッチバックにGGプラットフォームを、ワゴンにGYプラットフォームを採用した。

 車両デザインについては、“アスレティック=五感に訴える洗練された動き”をテーマに、リズム感やスピード感、緊張感、流れるような連続性など、動的なバランスを表現する。フロントビューでは、マツダの新シンボルである5ポイントグリルからボンネットへと続く立体的な造形と4眼ヘッドランプで印象的な顔を演出。サイド部は足もとに程よいボリュームを与えた安定感のある構えや明確化したショルダーライン、引き締まった前後コーナーによって躍動感を表現する。リアセクションではヘッドランプと同イメージの4眼コンビネーションランプや厚みのあるバンパーを採用。立体的かつ存在感の高いデザインを創出した。インテリアは、外観からの想像を超える広々とした室内空間を確保したことが訴求点。同時に、マツダ伝統のT型ダッシュボードやスポーティな3本スポークステアリング、丸をモチーフとしたメーターおよびスイッチ類で、高品質なドライビング空間を具現化した。

3タイプのキャラクターを設定した2代目デミオ

 2002年8月になると人気コンパクトカーのデミオがフルモデルチェンジを実施し、2代目へと移行する。車台には新世代のDYプラットフォームを採用。ボディは高さ方向に余裕を持たせた5ドアコンパクトワゴンに仕立て、ライフスタイルに合わせたCozy/SPORT/Casualという3タイプのキャラクターをラインアップした。

 Cozyは“解放感”をテーマに、3層ラミネート構造のホワイトキャンバストップやミモザイレロー/ミントグリーン/ローズピンクのインテリアカラーを採用。また、レザーシートやホワイトウッド調&本革巻きステアリングを組み込んだ上級仕様のSuper Cozyを設定する。“躍動感”を主張するSPORTは、外装に3眼ヘッドランプ/フロントエアロバンパー/サイド&リアアンダースポイラー/リアルーフスポイラー/15インチアルミホイールを、内装にダークブルーのシート表地/ドアトリム/ステアリングを装備してスポーティに演出。Casualはシンプルモダンな外装にライトグレーのシックなインテリア、使い勝手のいい装備群などを採用して“充実感”を謳った。3タイプに共通していたのは、5ポイントグリルと抑揚のあるボンネットを組み合わせたフロントマスクの演出。これにより、ひと目で新世代のマツダ車であることを主張していた。

“五感に響くクオリティ”を体現したアクセラ

 2003年10月には、ファミリアの実質的な後継モデルとなるアクセラがデビューする。車台はフォード・フォーカスやボルボS40と共用化。ボディタイプは5ドアハッチバック(スポーツ)と4ドアセダンの2タイプを設定した。

 車両デザインは、躍動感と力強さをテーマに“五感に響くクオリティ”を体現する。5ドアは立体感を強調したフロントグリルからボンネットへと続く骨太のラインや三角形のリアピラー、ソリッドで量感のあるテールゲートまわり、張り出したフェンダーでキビキビ感あふれるフォルムを強調。4ドアはコンパクトに見えるキャビンにより、スポーティでダイナミックなスタイリングを実現した。内装については、ドアを開けた瞬間に心がときめき、運転するたびに歓びが沸き上がるエキサイトメントと、乗るたびに実感できる快適性および機能性を追求。モダンで適度な開放感のある空間を基本として、精悍な3眼メーターや随所に配したメタル調パーツなどでスポーティかつ精緻な個性を表現していた。