ワゴンR 【1998,1999,2000,2001,2002,2003】

便利で広く上質、しかも経済的。ユーザーフレンドリーな傑作

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軽自動車の可能性を広げたワゴンR

 ワゴンRは、全高を高めに設定した独自のパッケージングによって、寸法に制約のある軽自動車の可能性を一気に広げたエポックモデル。1993年9月に発売された初代モデルは、従来の軽自動車のイメージを刷新する広く使い勝手に優れた室内空間と、チャーミングで個性的なボディ、軽自動車ならではの優れた経済性が幅広いユーザーにアピールし、スズキの主力車に瞬く間に成長する。

販売拡大とともに、当初1+2ドアの変形ボディと直列3気筒の自然吸気エンジンの組み合わせのみだったシンプルなラインアップは、人気の高まりとともにボディ&エンジンタイプ、グレード構成が大幅に充実。1998年10月に、軽自動車の新規格化に対応して2代目モデルが登場する頃には、まさに“ワゴンRワールド”とも言うべき、多彩で独自の世界を構築するまでに発展していた。

2代目は初代の魅力を継承し磨いた熟成モデル

 今回の主役である2代目モデルは、大好評を博した初代のコンセプトをストレートに踏襲した発展モデル。ワゴンRの美点である使い勝の良さに磨きをかけるとともに、ボディサイズの拡大で得た余裕を安全性と走りの向上に振り分け、内外装の質感を大幅に引き上げることで商品力を大幅にアップする。トールデザインのスタイリングは、あえて先代のイメージを守った。

 ボディサイズは軽自動車の新規格に合わせた全長×全幅×全高3395×1475×1475mm(RX)。旧型と比較しての特徴はホイールベースが25mm伸びて2360mmになり、トレッドが前75mm、後ろで80mmほどワイド化された点。これによりフットワークの基本ポテンシャルが大幅に高まり、高めの全高ながら安定した走りを身につけた。ボディ自体も完全新設計の衝撃吸収構造となり、ドアには強靭なビームを配置。各種の厳しい基準に適合し、不幸な事故に遭遇した場合でも、パッセンジャーを守る構造とした。一方、スズキならではの工夫は各部の軽量化。新規格化に伴うボディサイズの拡大や、安全性の充実など重量面で不利な対応を施しながら、ビス一本まで重量を削り走りと燃費に直結する重量の増加を極力抑えていた。

 2代目のラインアップは多彩。標準シリーズとスポーティなRRシリーズで構成され、ボディタイプは、個性的な1+2ドアと、より利便性を高めた5ドアの2種。ともに大型リアゲート付きだった。グレードは標準シリーズが1+2ドアのRC、RX、RX-T、5ドアのFG、FX、FX-Tの6グレード構成。RRシリーズは1+2ドアのRRと5ドアのRR-Fの2種で構成する。エンジンは標準シリーズが排気量657ccの直3OHC(52ps)と同ターボ(60ps)、そして658ccの直3DOHC12V(55ps)、同VVT(可変バルブタイミング/55ps)の4種。RRシリーズは658ccの直3DOHC12Vターボ(64ps)の1種。トランスミッションは、5速マニュアル、3速AT、4速AT、CVTをグレードに応じて使い分けていた。ユニークなのはATのシフトセレクター位置をフロアとコラムから選べた点。駆動方式もほとんどのグレードでFFと4WDを設定していたから、2代目ワゴンRのラインアップ数は膨大。ユーザーの細かなニーズに応える体制が構築されていた。

2代目の実力はリッターカーを凌駕。リーダーカーの地位を鮮明化

 2代目ワゴンRは、コンパクトサイズの実用車としてほぼオールマイティな存在だった。広々とした印象の室内は、多彩なシートアレンジで様々なライフシーンに対応。前後席をフルフラットにすれば室内がもうひとつの部屋になり、後席を畳むと、自転車2台がそのまま積めるフリースペースが出現した。走りも逞しくなっており、どのパワーユニットを選んでも走りは及第点。ターボ仕様なら高速道路でも鋭い加速と、ハイスピードでの巡航が楽しめた。燃費もよく、その総合力はリッターカーを大きく凌駕していた。

 ワゴンRは1998年11月には、販売累計台数100万台を達成。その後も好調な販売セールスを持続し、2000年3月には月間販売台数が3万台を超える。2003年9月に3代目に移行するまでに、エンジンラインアップの刷新や、装備の充実、グレード設定の見直し、お買い得な特別仕様車の設定を積極的に行い、クラスリーダーカーの座を堅持した。