スクラム・ワゴン 【1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005】

使い勝手に優れたOEM軽ミニバン



スズキとの提携が生んだマツダの軽

 1980年代終盤のマツダは、1975年末から退いていた軽自動車市場に再び参入する方策を鋭意検討する。最終的に決定したプランは、他社との生産協力。当時のマツダにとって、一から軽乗用車を開発するのにはコストや時間などの面で無理があった。

 マツダが提携先として選んだのは、直接のライバル関係にはない、つまり国内ナンバー3の座を競う自動車メーカーではないスズキだった。スズキ側にとっても、自社製品の販売量が無理なく増えるというメリットが生まれる。結果的に両社は、1987年12月に軽自動車生産の協力体制を発表した。

 クルマそのもの、すなわちOEM供給車については、軽商用車のカテゴリーで実施される。スズキ・エブリイ(バン)/キャリー(トラック)をベースに専用エンブレムなどを装着した「スクラム」が、1989年6月にマツダのオートザム・ブランドを冠して発売されたのだ。以後、スクラムはマツダの定番軽バン/トラックとしての地位を確立していった。

“セミキャブオーバー”タイプで市場デビュー

 スクラムは1991年10月に第2世代が、1999年1月には第3世代が市場デビューを果たす。そして1999年12月になって、シリーズ初の乗用車登録となる「スクラム・ワゴン」が発売された。

 軽ハイトワゴンの人気が急上昇する最中に登場したスクラム・ワゴンは、バンをベースとしたセミキャブオーバータイプのボディに専用チューニングの足回り、バン比で90mm後方に設置したうえでスライドおよびリクライニング機構を備えたセンターアームレスト付きリアシート、ゆとりのある動力性能を発揮するK6A型657cc直3OHCインタークーラーターボエンジン(64ps/10.2kg・m)などをアピールポイントに据える。

 装備面では抗菌仕様のステアリングやシフトレバー、UVカットのフロントガラス、ダークティンテッドタイプのリアドアウィンドウ&バックドアウィンドウガラス、フルロジックのカセットデッキ、キーレスエントリー、運転席&助手席SRSエアバッグ、4W-ABSといった豊富なアイテムを組み込んだ。

 グレード展開はエアロパーツを装備したスタンドオフ・エアロターボSと標準外装のスタンドオフ・ターボの2タイプを設定する。ボディはハイルーフ仕様で、駆動機構は2WD(MR)とフルタイム4WDの選択が可能だった。

車種設定の強化と安全性・機能性の向上

スクラム・ワゴンは、優れたスペースユーティリティと快適な走り、取り回しの良さ、充実した装備によって好評を博す。同時に、商用車の設定しかなかった従来型に比べてユーザー層も広がった。その勢いを維持しようと、マツダは矢継ぎ早にスクラム・ワゴンの車種強化と中身の改良を実施していく。

 2000年5月には、存在感をいっそう強調するためにフロントグリルやボンネット、バンパーなどのデザイン変更を実施。同時にリアスライドレールのメッキ化やマルチリフレクターヘッドライトの装着などを行う。エンジンに関しては、ノックセンサーおよび過給圧制御装置の追加、インタークーラー取付位置の見直しにより、主に高速域での性能を向上させた。

 2001年9月になると、エンジンの換装や新機種の追加などをメインメニューとしたマイナーチェンジが敢行される。エンジンについてはオールアルミ製DOHCに切り替わり、ターボ仕様の最大トルクは10.8kg・mへと向上。また、49ps/6.3kg・mのパワー&トルクを発生するNA仕様(658cc直3DOHC)を新設定した。ほかにも、ロールーフのスタンドオフ・ターボや最上級グレードのスタンドオフ・エアロターボPZの追加、インパネデザインの刷新、シート形状およびシート&ドアトリム表地の変更なども実施し、乗用ワゴンとしての商品価値をいっそう高めた。

 ワゴンモデルの設定によって乗用ユースの顧客層も惹きつけた3代目スクラム。より幅広いユーザーにアピールする商品展開は、2005年9月に生まれ変わる第4世代にも引き継がれることとなった。