サニー 【1994,1995,1996,1997,1998】

高効率パッケージと好燃費の“12miles SUNNY”

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「クラスを超えた機能の実現」を目指して−−

 バブル景気崩壊からの業績回復を目指す日産自動車の開発現場では、創意工夫を凝らして新型車を企画していく。そのなかで定番の小型サルーンに位置するサニーに関しては、「クラスを超えた機能の実現」をコンセプトに開発。ユーザー層の若返り策も盛り込んだ。
“クラスを超えた”に関しては、室内の広さや乗り心地、そして燃費と多方面での追求がなされる。根幹となったのがパッケージングからの刷新で、真に必要な性能を理想的かつ合理的に基本骨格に反映し、具現化することを目標に掲げていた。

“12miles SUNNY”を謳って市場デビュー

 8代目となる新しいサニーは、B14の型式をつけて1993年12月に発表、翌1994年1月に発売される。ボディタイプは4ドアセダンの1タイプで、キャッチフレーズには燃費性能を強調して“12miles SUNNY”を謳う。12milesは10・15モード走行燃費が19.6km/L(1500スーパーサルーン・5速MT車)の好数値であることを意味していた。

 車両レイアウトについては、従来のB13型とほぼ同じ全長をキープしたうえで、ホイールベースを従来比で105mm長く(2535mm)、全幅を20mm広く(1690mm)とってクラストップレベルの広い室内空間を確保したことが訴求点となる。ボディは車体前後にクラッシャブル構造を有する衝撃吸収構造を採用した。懸架機構はフロントに改良版のマクファーソンストラット式を、リアに新開発のマルチリンクビーム式(2WD)または改良版のパラレルリンクストラット式(4WD)をセット。マルチリンクビームはラテラルリンクとコントロールロッドで構成する複合リンクにトーションビームを組み合わせた新機構で、乗り心地を重視した柔らかめのチューニングでも後輪の安定性を確保でき、同時に優れたコンパクト設計によって広いトランクルームと後席居住空間を実現できることが特長だった。

パワフルなエンジンと新感覚デザインの融合

 搭載エンジンはSR18DE型1838cc直列4気筒DOHC16V(140ps/17.0kg・m)、GA16DE型1596cc直列4気筒DOHC16V(120ps/14.8kg・m)、GA15DE型1497cc直列4気筒DOHC16V(105ps/13.8kg・m)。GA13DE型1295cc直列4気筒DOHC16V(85ps/11.1kg・m)という4機種のツインカムガソリンユニットとCD20型1973cc直列4気筒OHCディーゼル(76ps/13.5kg・m)を採用する。トランスミッションは全エンジンに5速MTと4速ATを用意。駆動機構には2WD(FF)とフルタイム4WDを設定した。

 エクステリアはニューパッケージングフォルムをベースに、ラウンディッシュまとめた端正かつ上品なスタイリングに仕立てる。また、スポーティモデルのタイプSにはフロントエアロバンパーやリア&シルスポイラーなどのエアロパーツを装備した。インテリアは、拡大したキャビンスペースに質感を向上させたインパネ、面圧分布を最適化したシートなどによって快適な移動空間を創出する。安全性も重視し、運転席&助手席SRSエアバッグや前後席ELR付3点式シートベルト、サイドドアビーム、ハイマウントストップランプ、ABS、フロントビスカスLSDなどを設定した。

バリエーション充実。実質機能も向上

 1994年5月になると、NXクーペの実質的な後継モデルとなるB14型サニー・ルキノが登場する。セダンボディをベースに2ドアノッチバッククーペのスタイルに仕立てたルキノは、スタイリッシュなルックスにセダン譲りの広い室内空間を有する実用クーペとして注目を集めた。ちなみに、ルキノ・シリーズは1995年1月に3ドアハッチバックを、1996年5月にRV志向の5ドアハッチバックとなるS-RVを設定するが、これらはサニーではなくN15型パルサー・セリエをベースとするモデル群だった。

 セダン版のサニーは1995年1月に一部改良が行われ、上位グレードにメッキグリルを組み込むなどの変更を施す。1995年9月になるとマイナーチェンジを敢行。フェイスリフトやリアコンビネーションランプの大型化、内装表地の見直しなどによって見た目の豪華さが増した。さらに1997年5月にもマイナーチェンジを行い、内外装の意匠変更や運転席&助手席SRSエアバッグおよびABSの全車標準装備化、ブレーキアシストの設定などを実施する。そして1998年10月にはフルモデルチェンジを遂げ、“コンパクトセダンのグローバルスタンダード”を謳う第9世代のB15型系に移行したのである。