プレリュード 【1987,1988,1989,1990,1991】

4WS機構を採用した先進スペシャルティ



“前奏曲”の名前を持つクーペ

 1987年4月に第3世代となるプレリュードが登場する。プレリュードの名は、当時ホンダが好んで使った音楽用語の一つで「前奏曲(Prelude)」を意味していた。ちなみに、プレリュード(初代は1978年11月デビュー)には、その後に続々と登場したクイント、バラードなど新型車群の前奏曲の意味も込められていた。

 3代目のプレリュードは、先進的な自動車技術の導入と最初から考えられ得る快適装備の標準化を実現し、しかも価格を比較的低く抑えていた。装備やスタイルなどクルマとしての内容を充実させ、主要なメカニカルコンポーネンツをアコードから流用してコストダウンを図っていた。しかし、バブル経済の途上に在ったこの時代では、国産車としては抜群のスタイルの良さと装備の豊富なこと、性能の良さでたちまち高い人気を獲得した。

3代目は先進4WSを設定

 3代目のメカニズム上の注目点は4WS。当時、ドライビング・スタビリティ(操縦安定性)向上の手段として、前輪の操舵角に応じて、後輪も積極的にステアリングする4輪操舵(Four wheel Steering=4WS)が各社で真剣に考えられていた。比較的簡単なメカニズムで、走行時の安定性を飛躍的に高めることができるシステムとして開発されたのが4WS。第三世代のプレリュードは、国産車として初めて4WSを採用したモデルとなった。ホンダが独自開発した機械式の4輪操舵システムは8万円のオプション装備だったが、当時ユーザーの半数以上は4WS装備を注文したという。

 ホンダの4WSは、ステアリングの切れ角の少ない高速域では前後輪が同じ方向に切れる同位相に、また、切れ角の大きくなる低速域では逆位相に切れ小回りが利くようになっていた。無論、後輪の切れ角は、最大でも5.3度に過ぎない。基本的なシャシーコンポーネンツを同クラスのセダンであるアコードと共用するという手法は旧型と同様。ボディサイズは5ナンバー・サイズ内に抑えられた。

パワーユニットは2種ラインアップ

 フロントに横置きで搭載され前2輪を駆動するエンジンには2種の仕様があるが、排気量はいずれも1958ccの直列4気筒で、SOHC12バルブ仕様は110ps/5800rpm、コッグドベルト駆動による2本のカムシャフトを持つDOHC16バルブ仕様では145ps/6000rpmの最高出力を発揮する。さらにDOHC仕様ではエンジンの回転数によって、高速時と低速時で吸気ダクトの長さを変え、トルク特性を均一化するシステムを持っていた。トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックが選べる。シフトレバーの位置はもちろんフロアフトとなっていた。

ラウンディッシュな2+2室内

 インテリアのデザインはスペシャルティカーらしく、高級感とスポーティーさを併せ持ったもので、旧型の直線を基調としたシャープな感覚から一転して全ての部分で角を落とした丸みを帯びたデザインとされていた。これはその後のホンダ・ブランドのスポーティー・カーの定番的なデザインとなるものであった。価格は5速マニュアル・トランスミッション付きXL仕様の148万5千円からSi仕様の214万5千円、オートマチック・トランスミッションが9万9千円、ABSは15万円のオプション設定となっていた。
 日本のモータリゼーションに、スペシャルティカーを根付かせることになったプレリュードは、国産名車の1台と言えるだろう。