ランドクルーザー・シグナス 【1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】

高級車の新しいカタチを提唱した大型SUV

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海外ではレクサスLXの名で販売。最上級SUV

 ランドクルーザー・シグナスは、メーカー自ら「トップ・オブ・SUV」を開発コンセプトに掲げ、圧倒的な完成度で絶大な信頼を集めた200系シリーズの最上級グレード。標準車が登場してから約1年後の1998年12月にラインアップに加わった。

 シグナスは、標準車とは異なる独自のフロントマスクと、本革シートなどの贅沢な装備を採用。世界で最も信頼を集めるランドクルーザーの頂点らしく、すべてを上質な印象で仕上げていた。それもそのはず、シグナスはトヨタの高級車ブランド、レクサスが海外で販売していた「LX」の日本版だったのだ。レクサスLXのライバルは、英国のレンジローバーやアメリカン高級SUV。世界の富裕層をターゲットにした超高級車だった。どんな道でも走れるランドクルーザーならではの走破性はそのままに、快適性を徹底的に引き上げ、プレミアムな輝きを身につけたスペシャルSUVだったのである。日本でレクサスの販売展開がスタートするのは2005年(LXの日本国内デビューは2015年)。その関係でシグナスはトヨタ・ランドクルーザーの1グレードとして販売されたが、本来は標準車とは商品コンセプトが異なる別格の存在だった。

 シグナスのデビュー当時のカタログには「すべての装備や機能が求めたものは、上質であること、そしてジェントルであること」と記載され、過酷なオフロードの写真は1点も掲載されていない。こんなところにも、新種の高級車であることが表現されていた。ちなみにシグナス(CYGNUS)のネーミングは、夏の夜、北の空に輝く星座、白鳥座に由来している。

先進車高調整式サスペンション標準。贅沢装備を満載

 シグナスのパワーユニットは、4663ccのV8DOHC32Vの2UZ-FE型。235ps/4800rpm、43.0kg・m/3600rpmの圧倒的なパワーと滑らかな回転フィール、そして無類の静粛性を実現した極上の心臓だった。組み合わせるトランスミッションは電子制御式4速AT。足回りはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがトレーリングリンク式。路面と走行状況に応じて車高を調節するアクティブハイトコントロール機能と、ダンパーの減衰特性を自在に変化させるスカイフックTEMSにより、乗り心地と操縦性をリファインしていた。シグナスのサスペンションは、乗員乗降時に車高を50mm下げることでアクセスしやすくしたり、オフロードではフロント40mm、リアは50mm車高を上げることが出来た。駆動方式は、もちろんセンターデフ式フルタイム4WDである。

 室内は前席電動調節機構付き本革シート、ウォールナット製本木目パネル、メモリー機能付き電動チルト&テレスコピック機構、プッシュ式ヒーターコントロールなどの専用装備を満載。メーターは視認性に優れたオプティトロンタイプ、オーディオは7スピーカー方式スーパーライブサウンド・システムが標準で装着され。オプションでGPSナビゲーション一体EMV(エレクトロマルチビジョン)が選べた。シートは3列構成。乗車定員は8名。3列目シートは折り畳み&取り外し可能で、ラゲッジスペースの使い勝手に貢献していた。

セダンユーザーも魅了。世界に誇る最上級SUV

 シグナスのボディカラーはブラック、ベージュメタリック、グリーンマイカ、ホワイトパールマイカの4色。どれも上品なカラーリングだったこともありエクステリアから受ける印象は上質そのもの。高級車らしい強い存在感を放った。クラウンやセルシオなどの上級サルーンから乗り換えるユーザーも目立ったという。ちなみにボディサイズは全長×全幅×全高4890×1940×1890mm。大柄なものの、高いアイポイントからの絶好の視界と最小回転半径5.9mという、意外によく切れるステアリングにより混雑した街中でも持て余す心配はなかった。

 シグナスは1999年8月、走りの安定性を高めるVSCとアクティブTRCを装備。2002年8月にはマイナーチェンジを実施し、内外装のリファインとエンジン&トランスミッションを改良。2005年4月にも小改良を行い完成度を高める。その圧倒的な信頼感と、滑らかな走りで、独自の高級車像を切り開いてみせたシグナスは、ランドクルーザーの歴史の中では個性派に位置する。しかし世界を代表する高級SUVという尺度ではまさに王道をいく本格派だった。