マークIIブリット 【2002,2003,2004,2005,2006,2007】

個性明快、プレミアムな上級スポーティワゴン

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最上級グレードは280psの2.5ℓ直6ターボ搭載

 マークIIブリットは、2002年1月に、マークIIクオリスの後継モデルとして発売された。先代のクオリスは、マークIIを名乗るものの、FFプラットフォームを持つカムリ・グラシアのBROS車だった。ブリットは9代目マークIIであるX110系セダンをベースにした正統派。プラットフォームはもちろんFR車用である。

 ラインアップはスポーティイメージのiR系のみ。パワーユニットは自然吸気が1988ccの1G-FE型・直6DOHC24V(160ps)、2491ccの1JZ-GE型・直6DOHC24V(196ps)、そしてその直噴仕様1JZ-FSE型・直6DOHC24V(200ps)の3種。トップグレードの2.5iR-V用は、2491ccの1JZ-GTE型・直6DOHC24Vターボ(280ps)を搭載した。駆動方式はFRと4WDの2種。トランスミッションは全車電子制御AT仕様で、ベーシックモデルが4速、上級グレードは5速を組み合わせていた。サスペンションは全車4輪ダブルウィッシュボーン式。上級車にはラゲッジルームに大量の荷物を積んでも、一定の車高を維持するようリアには新開発セルフレベリングショックアブソーバーを組み込む。

個性的な造形。欧州製ワゴンもライバル車に想定

 ブリットの個性はスタイリングにあった。基本プロポーションは、ボディ前半がセダンとほぼ共通。キャビン後方をストレートに伸ばし躍動的なワゴン・フォルムにまとめる。だが、セダンとほぼ共通であるボディ前半もヘッドランプを含むフロントマスク形状を独自形状で仕上げ、精悍なイメージを発散した。

 ヘッドランプはウインカーを内蔵したプロジェクター形式ロービームと、別体式ハイビームを独立配置した変形4灯式。マークIIというとハイオーナーカーとしてジェントルなイメージが定着していたが、ブリットには躍動的なイメージが漂った。2000年代前半は、ワゴンには実用性とともに、自由なライフスタイルを楽しむためのクルマ、というパーソナルな印象が定着していた。ブリットはそのイメージ通りのワゴンだった。セダン以上にフレッシュで若々しく、しかもスポーティだったのだ。ボディサイズは全長×全幅×全高4775×1760×1470mm(FR)と伸びやかな3ナンバーサイズ。ライバルは国産車では日産ステージア、価格面では差があったが輸入車のメルセデスCクラス・ワゴンやBMW3シリーズ・ツーリングも競合車に想定していた。

装備充実。ラゲッジ空間はアイデア満載

 インテリアも独自のイメージでまとめられた。室内基調色は精悍なブラック。インパネ形状そのものはマークIIセダンと共通だったが、3本スポークの本革巻きステアリングや、カーボン調インテリア加飾がブリットらしさを訴求した。装備は充実。上級グレードの2.5iR-Vは、17㌅タイヤ&アルミ、スポーツペダル、ドアスカッフプレート、運転席電動調節機構、天井ビルトイン式空気清浄器、スイングレジスター付きオートACを標準装備。オプションで本革シートやDVDボイスナビゲーションを設定する。

 ワゴンの機能を高めるラゲッジスペースにも工夫が凝らされていた。後席は6対4の分割可倒式。シートバックを倒すと広大なフラットスペースが出現するとともに、後席使用時の使い勝手にもこだわる。トノカバーに270mmスライド機能を持たせ、リアゲート側からはもちろん、後席側からも荷物が積めるようにしたり、折りたたみ式ラゲッジボックスを装備することで荷物の整理を用意にしていた。ラゲッジ下側のサブトランクも大容量だった。

 マークIIブリットは、スポーティな味わいを持ち、セダン以上に贅沢なハイグレードワゴンとして高い人気を博す。絶対的な販売台数こそそれほど多くはなかったが、ユーザーの満足度が高いクルマの筆頭だった。セダンは、2004年11月にモデルチェンジし“マークX“へと名称を変更。ブリットはそのまま販売を継続した。その後は2004年12月にヘッドランプやフロントグリルの意匠の小変更と、リアランプのLED化を実施。2006年5月に、排気ガス対策の影響でターボエンジン車の生産を終了。翌2007年6月には全車の販売を終了した。