タフト 【1974,1975,1976,1977,1978,1979,1980,1981,1982,1983,1984】

コンパクトながらパワフルな本格4WD



ジープやジムニーなどオフロードを走る多目的車が、
マニアのハートを捉えた1970年代半ば。
扱いやすい1リッターエンジンを
搭載してデビューしたタフトは、
ダイナミックは走りを小柄なボディに凝縮。
レジャーカーとしての魅力に溢れ、注目を集めた。
国産4WDモデルの幕開け

 第二次世界大戦終結後の1953年に中日本重工業(現・三菱自動車)が、アメリカのカイザー・フレーザー社からJeepの生産ライセンスを購入し、やがて創設されることになる警察予備隊(現・自衛隊)の装備車両や公・官庁向け公用車として使うことを計画したのが日本でのオフロード向け4WDの始まりである。

 それ以前にも、1934年に「くろがね4起」と呼ばれる小型4WDが軍用車として造られたが、一般には市販されず、戦後も復活することはなかった。

 以後、4WDといえば「Jeep」というのが一般的となり、他のメーカーの4WDも大抵は「Jeep」と呼ばれるまでになった。

■コンパクトでパワフル

 しかし、軍用車として設計されていた「Jeep」は、一般路上では決して扱いやすい車ではなかった。1970年には軽自動車規格の「スズキ・ジムニー」も登場したが、今度はエンジンが小さ過ぎて、オフロードでは断然強かったが、オンロードでは速度が上がらず、むしろ危険なほどであった。大型のJeepと軽自動車のジムニーの中間的なオフロード向け4WDとして考えられたのが、1974年に登場した「ダイハツ・タフト」である。

「タフト(TAFT)」の名は、Tough & Almighty Four-wheel Touring Vehicleのイニシャルを並べた造語である。スタイリングは、基本的にはJeepイメージで、ルーフもドアもない小型ピックアップ。平面ガラスのフロントウインドゥは、頑丈なフレームと共に前方のエンジンフード上へ倒すことができた。ドライバーと助手席の後にボディーと同色のロールバーが装備されているのは、時代が安全性を求めた結果だ。ドアの代わりは2本の開閉可能なバーがセットされている。必要なら、キャンバス製のソフトトップとドアを取り付けることも可能だが、幌骨の組み立てを含めて45分を要するので、とても緊急時には間に合わない。

■6名乗りロングボディーも用意

 フレームは強固なラダータイプで、搭載されるエンジンはコンパーノなどにも使われていた水冷直列4気筒OHVの排気量958ccで、58ps/5500rpmの最高出力と8.0kg-m/4000rpmの最大トルクを持つ。駆動方式は4速MTに2速トランスファーギアを組み合わせ、前後4輪を駆動する。サスペンションは戦後ともリーフスプリングに固定軸の組み合わせだ。ブレーキはサーボ付きの4輪ドラム。この辺りはJeepの忠実な縮小版である。車重は975kg、後部荷室の積載量は250kg。4名仕様と6名仕様があった。

 ジムニーよりパワフルで、Jeepよりは扱いやすいという、狙い目としては決して間違っていなかった「ダイハツ・タフト」だったのだが、デビューする時期が少し早すぎた。当時はSUVなどという概念はなかったし、4WDを積極的に自家用車として使おうというアイデアも生まれていなかった。オフロード向け4WDをマイカーで使うのは、よほど酔狂なファンと見られていたのだ。初代のタフトは、決して大きなヒットにはならなかったが、このジャンルのモデルの可能性を知らしめたことで、大きな存在理由があったといってよいだろう。

COLUMN
2つのボディを用意してのデビュー
タフトのラインアップは、1エンジン/1グレードが基本だが、4人乗りの標準ボディと6人乗りのロングボディを用意した。前者は「F10」という呼称で、後者は「F10L」と名乗った。どちらもリアシートは簡易なもので、左右が向かい合う形で横向きに座る。2名乗車時(後席を畳んだ状態)の積載量は250kg。F10とF10Lの外観の差異は、リアオーバーハングの長さ。F10Lでは、リアオーバーハングを伸ばすことで、6人乗りとしたのだ(全長はF10の3320mmに対し、F10Lは3485mm)。リアゲートは、後席への乗降性を高めた観音開き式。6人乗りのF10Lには、後席用ステップを装備している。