2011東京モーターショー/いすゞ 【2011】
“Always Next to You”をテーマに最新技術を一挙披露
2011年12月に催された第42回東京モーターショーにおいて、いすゞ自動車は“Always Next to You〜いつもあなたの暮らしのそばに〜 ”をテーマに掲げ、いすゞの最新技術を傾注した商用車とディーゼルエンジンのフルラインアップを披露した。
注目の参考出品車は4モデル。ブースの中央に据えられたのは、デザインスタディの「T-NEXT」だ。いすゞの開発コンセプトである“See Technology”に基づき、安全技術と経済技術、環境技術の未来を表現したT-NEXTは、デザインアイデンティティに“クリーン・ソリッド・エモーショナル”を掲げ、将来の高速物流に対応した空力性能と安全性能を高次元で融合させたうえで、先進のITデバイスをインテグレートしたエクステリアを構築する。インテリアは、最先端の多機能デバイスをインパネ中心部に集約して車両運行の情報を適確かつ安全に提供できるようにアレンジしたことがトピック。また、格納式ステアリングなどの装備により、最適な運転姿勢と休息時の快適な居住性の両立を実現していた。
国産小型トラックの代表格であるエルフと大型路線バスのエルガでは、新開発のハイブリッドシステムを採用したモデルが参考出品車として披露される。エルフに組み込まれたのは、外部から直接バッテリーに充電できるプラグインハイブリッドシステム。現行のエルフ・ハイブリッドに対してバッテリー容量を19kWh、モーター出力を50kWへと引き上げたうえで、パワーステアリングポンプおよびバキュームポンプの電動補機や充電器を搭載。通常のハイブリッド走行に加え、モーターのみによる走行も実現する。また、非常時には家庭用AC100Vが供給でき、将来的なスマートグリッド(次世代送電網)を視野に入れた電源車としての活用も可能とした。
エルガの新ハイブリッドシステムはパラレル方式で、7790cc電子制御コモンレール式ディーゼルエンジン/オートクラッチ/モーター/AMT(自動変速式マニュアルトランスミッション)/リチウムイオンバッテリーでシステムを構成する。高効率のディーゼルエンジンに加え、大きなトルクを発生するモーターとAMTの組み合わせにより、効率的な省燃費走行とイージードライブの両立を実現。また、ストップ&ゴーの多い路線バスの特性に合わせた回生ブレーキ機構も導入した。
ブースの一角には、2011年9月末に9年ぶりに新型に移行した世界戦略ピックアップトラックの「D-MAX」も参考出品車として展示される。タイの工場で生産し、世界100カ国あまりに輸出される新型D-MAXは、各市場で高い評価を獲得するとともに、タイ国内ではベストセラーピックアップや最優秀省燃費ピックアップ、ベストライフスタイルピックアップに輝く実力派だ。エクステリアはピックアップとしての力強さと優れた空力性能を両立させたことが特長。新開発のプラットフォームに搭載されるパワートレインは、3L(4JJ1-TCX)と2.5L(4JK1-TCX/4JK1-TC)の電子制御コモンレール式ディーゼルエンジン、5速MTと5速ATのトランスミッション、2WDと4WDの駆動機構で構成されていた。
ショーではもう1台、来場者の視線を集めた参考出品があった。いすゞの前身のひとつである石川島自動車製作所が1929年に製造した国産初の乗合バス、「スミダM型バス」だ。いすゞが昔から日本の輸送に寄り添い、技術革新を行ってきた伝統を示す目的で展示したスミダM型は、当時ノックダウン生産による米国車がほとんどだった乗合バスの世界に風穴を開けたエポックメイキング車で、コ型断面鋼板梯子型フレームに前I型逆エリオット式+1/2リーフ/後半浮動式+1/2リーフの懸架機構、水冷式のスミダA型2720cc直列4気筒SVエンジン(40hp)、前進4速/後退1速のマニュアルトランスミッション、4×2(後輪駆動)の駆動方式でメカニズムを構成する。乗車定員は20名(座席14+立席4+乗務員2)を確保していた。出品車は国内で現存する実走可能な最古の国産バスで、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されている。
いすゞブースでは4台の参考出品車や歴史的な乗合バスのほかにも、小型トラックのエルフEカーゴや中型トラックのフォワードFカーゴ、大型トラックのギガGトラクタ、新世代ディーゼルエンジンの“D-CORE”シリーズ、大型車安全技術(視覚サポート技術の「VAT」、車両姿勢安定技術の「IESC」)、高度運行情報システム「みまもりくんオンラインサービス」などを披露。さらに、前後左右4つのカメラとカメラECU、7インチ液晶モニター(W-QVGA)などで構成する新開発の視覚サポート機構「全周囲モニタシステム」を参考出品していた。