ローレル 【1977,1978,1979,1980】

ハイオーナーカーらしいエレガントな3代目

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ハイオーナーカーらしさ溢れる3代目の登場

 1977年1月に登場した3代目は“ハイオーナーカー”を標榜するローレルらしさ溢れる存在だった。日産のアッパークラスに属する1台で、社用車として使われる機会も多かったセドリック/グロリアより格段にオーナードライバー向けに作られ、スカイラインと比較すると落ち着いたイメージを持っていた。

 ボディタイプは従来からの2ドアハードトップ、4ドアセダンにプラスして新たに4ドアハードトップが加わり、3タイプを設定する。ボディサイズは全長4525mm、全幅1685mm、全高1395mm(4ドアハードトップ)と旧型とほぼ共通。ライバルのトヨタ・マークⅡとオーバーラップする伸びやかなサイズ設定だった。

魅力はエレガントなスタイリング

 3代目のセールスポイントは、そのスタイリングにあった。とくにハードトップ系の造形はエレガントだった。端正な印象の4灯ヘッドランプを配したフロントマスクと、ルーフエンドをゆるやかにファストバック形状としリアに収斂する造形のコンビネーションは高級サルーンらしい上質さを見る者に与えた。リアウィンドーを通常のスクエア形状ではなく、独特の楕円形状に仕上げていたのが特徴で、メーカーでは“ロマネスクウィンドー”と命名していた。このウィンドーは逆反りにカーブした面と、凸状に盛り上がったガラス面が組み合わされており、見た目の美しさとともに、クリアーな後方視界を得るための工夫を盛り込んでいた。さらに上級グレードには湿度を感知するセンサーが内蔵され、自動的にくもりを除去する熱線式リアデフォッガーを標準装備するなど話題豊富だった。

 室内も豪華で、ハードトップ系はドライバー正面に丸型4連、セダンは角形4連メーターを配置。中央部に時計とオーディオ&空調コントロール部を配置していた。どことなくアメリカの高級車を思わせるしつらえで、パワーウィンドー、カセットステレオ、リモコン調節式フェンダーミラー、本革ウッドコンビステアリング、後席センターアームレストなど快適装備も満載していた。

入念な騒音対策。エンジンは直列6気筒が主役

 ハイオーナーカーらしさは入念な騒音対策に現れていた。ダッシュパネルは遮音材を3重に敷き詰めた構造で、さらに下部にはインストアンダートリムを装着。一体成形構造の天井にも3重の分厚いパッドを敷き詰めていた。エンジンなど発生源の騒音対策を徹底したうえで、さらに騒音を室内に入れないように工夫した3代目は、低速から高速域まで全域で静かなクルージングを約束した。

 メカニズムは基本的にスカイラインと共通。エンジンは主力となる排気量1998ccのL20型・直列6気筒ユニットが、電子燃料噴射装置仕様(130ps)と、キャブレター仕様(115ps)の2タイプ。このほか上級版として排気量2753ccのL28型・直列6気筒(140ps)と、ベーシック版の排気量1770ccのL18型・直列4気筒(105ps)を設定していた。このうちL28型はスカイラインには未設定のパワフルユニットだった。トランスミッションはエンジンタイプに応じて4速&5速マニュアル、3速オートマチックを組み合わせた。

 足回りはハードトップ系の6気筒車が前ストラット式、後セミトレーリングアーム式の4輪独立。ハードトップ系の4気筒車と、セダン全車は前ストラット式、後4リンク式だった。足回りの設定は、スカイラインと比較して快適性を重視したややソフトな設定となっており、入念な騒音対策を相まって上質なフィーリングに仕上げられていた。

 3代目ローレルは1978年11月のマイナーチェンジで、ヘッドランプを丸型4灯から角形4灯タイプに変更し、スタイリングをさらに洗練。同時に経済的なディーゼルエンジンをセダンに設定するなどバリエーションを充実。魅力を高めていく。販売成績ではライバルのマークⅡに先行を許したが、独自のファンを獲得し大人が楽しむクルマとして高い評価を得た。日産の優れた技術力と、美意識の高いデザイナーの技が融合した名車の1台である。