ランサー・セディアWGN 【2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】

“アクティブ・ツーリングワゴン"を謳った第6世代

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2000年代に向けた新コンパクトワゴンを企画

 2000年にダイムラー・クライスラーと提携に関する契約を締結し、出資を受けることで業績の回復を目指した三菱自動車工業。開発現場では気持ちも新たに新型車の企画に邁進することとなり、その中心プロジェクトのひとつとして量産コンパクトセダンのランサーの全面改良、さらにはリベロの後継を担うコンパクトワゴンの創出に鋭意力を注いだ。

 単独ネームとしては6代目となる新型ランサーは、セディアのサブネームを付けて2000年5月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“新世代コンパクトセダン”。ダイムラー・クライスラーの傘下に入った新体制のもと、すべてを新基準で構築した新しい5ナンバーセダンであることを主張していた。そして、このランサーセディアをベースとしたワゴンモデルの「ランサーセディア ワゴン」を2000年11月に発売。キャッチフレーズには“アクティブ・ツーリングワゴン”を掲げていた。

スタイリッシュなデザインと機能的なラゲッジルームを融合

 ランサーセディア ワゴンのパッケージングは、セダンのプラットフォームを基本にリアオーバーハングを55mm延長し、同時に全高を10mm拡大。ホイールベースはセダンと共通の2600mmに設定し、コンパクトボディ&ビッグキャビンと機能的なラゲッジスペースの融合を実現する。また最小回転半径を4.9mとし、同時にフロントの左右コーナー部をダイヤモンド状にカットすることで、取り回し性に優れるディメンションを達成した。エクステリアについては、端正かつスタイリッシュな外装デザインで構成する。サイドビューは直線的なルーフラインとシンプルで張りのある面構成などで精悍かつ上質なムードを創出。リアセクションはルーフラインを大胆にカットした平面的なリアゲートに縦長のリアコンビネーションランプの組み合わせで、高い機能美と質感を表現した。

インテリアは、前後席のヒップポイントを高めに設定することで優れた視界と乗降性を確保。また、センターパネルを一体化した水平基調のインパネや視認性および操作性に配慮したスイッチデザインの導入によって機能的なキャビンルームを構築する。ラゲッジルームは、6対4分割可倒式リアシートやスライド式トノカバー、35Lの容量を誇る大型ラゲッジフロアボックスなどを設定して高い利便性を確保。また、フロアからサイドウォールにいたる面をカーペットで覆い、上質な荷室空間を演出した。

 パワートレインは三菱独自のGDI+CVTでまとめる。搭載エンジンには4G93型1834cc直列4気筒DOHC16V(130ps/18.0kg・m)のGDIユニットを採用。組み合わせるトランスミッションには最適制御と学習制御を盛り込んだCVTを採用し、最上級グレードのTouringには6速スポーツモードを組み込む。駆動機構にはFFとVCU方式フルタイム4WDを設定。懸架機構にはワゴン専用に最適チューニングを施した前マクファーソンストラット/後マルチリンクをセットした。

高性能なGDIターボエンジンを追加設定

 Touring/EXCEED/TSという3グレードに、それぞれFFと4WDの駆動方式を設定するというシンプルな車種構成でスタートしたランサーセディア ワゴンは、スタイリッシュな内外装デザインや使い勝手に優れるラゲッジルーム、そしてコストパフォーマンスの高さ(車両価格149万8000円〜209万8000円)などが好評を博し、発売から2週間で月販目標の1.5倍となる約3000台の受注を記録する。この好成績を維持しようと、開発陣は精力的に車種設定の拡大や機能面の向上などを図っていった。

 2001年6月には、4G93ターボエンジン(165ps/22.4kg・m)を搭載するT-Touringグレードを追加。さらに、カスタマイズ類別として「ラリーアートエディション」を設定する。2003年2月にはマイナーチェンジを実施し、車名を「ランサーワゴン」に変更。また、新アイデンティティフェイスの採用や足回りのセッティング変更などを実施する。グリルを二分したうえでボンネット先端へとつながる大きな三角形の台座を配した新しいフロントマスクは、2001年より三菱自動車のデザイン部門トップに就任していたオリビエ・ブーレイが手がけたことから、通称“ブーレイ顔”と呼ばれた。2004年1月になると、内外装をスポーティに演出した「ラリーアート」グレードを設定。2005年1月には一部改良を行い、4G15型1468cc直列4気筒OHC16Vエンジン(90ps/13.6kg・m)の追加やフロントフェイスの刷新などを実施した。

 マイナーチェンジを重ねて魅力度を高めていったランサーワゴンだったが、一方で三菱自体のリコール隠しやヤミ改修などが発覚し、販売台数は大きく落ち込む。2005年にはダイムラー・クライスラーとの提携も解消された。最終的にランサーワゴンは2007年6月に生産を終了(輸出仕様は2008年まで生産)。直接的な後継車の設定はなく、商用モデルのランサーカーゴのみ日産AD/ADエキスパートをベースとするOEM車(2008年12月発表)に切り替わったのである。