館長日記10 ボルボV60・B5・Rデザイン 【2021】

マイルドハイブリッドに進化。ワゴンはやっぱりボルボです!

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名車文化研究所の館長は、もちろん無類のクルマ好き。
得意なのは「ちょっと古いクルマ」だけではありません。最新モデルも興味シンシン。現在でも自動車専門誌「CAR and DRIVER」の編集委員としてバリバリ取材をこなしています。
その日常を「館長日記」としてご紹介します。今日は北欧の名車、ボルボのスポーティワゴンです。
名車文化研究所・館長 横田宏近/写真 小久保昭彦
パワーユニットを電動化。Rデザインはスポーティです!

 ボルボの主力ワゴン、V60のパワーユニットが全車“電動化”。同時に待望のRデザイン・グレードが登場しました。
 電動化といっても、ピュアEVではありません。純エンジン車から、モーターを使ったパワーユニットに進化したという意味です。スポーティ仕様のRデザインが搭載するのは、2ℓ直4ターボ(250ps)とモーター(スタータージェネレーター/10kW)の組み合わせ。「B5」を名乗る48Vマイルドハイブリッド仕様です。

 Rデザインの魅力はスポーティな内外装。専用造形のフロントマスクと前後バンパー、アルミホイールを装着したRデザインは。走り重視モデルらしい引き締まった印象を与えます。試乗車はオプションの19㌅アルミが装着され、精悍さに一段と磨きがかかっていました。ちなみにメカニズム面は、スポーツサスペンションを標準装備する以外、他のB5モデルと共通です。

パワフル、そして静か。パフォーマンスは大満足!

 走りは洗練されています。250ps/350Nmを発揮するB5用2ℓターボは、軽負荷領域で2気筒を休止する可変シリンダーシステムが組み込まれ、従来モデル比でターボチャージャーや排気系を改良したリファイン版。全体のフリクションが低減されています。48Vハイブリッド仕様とはいえ、モーター出力が控えめなこともあり、いわゆる“電動車”イメージは希薄です。しかし全域でパワフルかつスムーズな走りが実感できるのは確か。同一ユニットを搭載したSUVのXC60と比較して車重が120kgほど軽量なこともあり、パフォーマンスは鮮烈という表現が適当です。スポーティなルックスに相応しい速さを披露してくれました。

 速さとともに好印象を盛り上げるのは静粛性です。従来のモデルはエンジン回転が上昇すると4気筒を意識させるノイズが耳に届きました。しかし最新型は高回転域でも静粛性をキープします。一段と上級ワゴンらしい印象になりました。

ユーティリティ高水準。こいつは長く乗れそうです!

 フットワークは自然な味わい。19㌅タイヤを装着した試乗車でも足回りに固い印象はありません。荒れた路面でも乗り心地は良好。アップテンポな走りをスムーズにこなします。驚いたのはボディのしっかり感。リアに大きな開口部を持つワゴンながら、実にしっかりとしています。これなら長く乗れそうだ、と感じました。

 ワゴンに長い経験を持つボルボだけにユーティリティは高水準。後席を立てた状態でのラゲッジ容量は529L。旧型を約90L上回るだけではありません。アウディA4(495L)、メルセデスCクラス(460L)、BMW3シリーズ(500L)などのライバル各車より明確に広い荷室の持ち主です。リア回りを比較的スクエア形状に仕上げたことで、かさ張る荷物の積み込みに対応した点もポイントになりまます。

 Rデザイン専用の本革スポーツシートに身を落ち着けてのドライビングは至福のひとときでした。低いスタンスによる自在なドライビング感覚と、多彩なライフシーンに対応するユーティリティは実に魅力的。V60はSUVとはひと味違う、ドライバーオリエンテッドな世界が拡がります。なかでもB5・Rデザインは、走りが楽しめるワゴンの代表。高価ですが、それだけの価値があります。