パトロール 【1960,1961,1962,1963,1964,1965,1966,1967,1968,1969,1970,1971,1972,1973,1974,1975,1976,1977,1978,1979】

パワフルエンジンの最強4WD

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三菱Jeep、トヨタ・ランドクルーザー、そして日産パトロール。
3台は1950年の警察予備隊(現在の自衛隊)の創設と密接に関係している。
警察予備隊の制式車両を目指して開発されたからだ。
制式車両には三菱Jeepが就任するが、
ランドクルーザーとパトロールは民生用として活躍。
パトロールはパワフルさを生かし海外で大きな反響を呼んだ。
当初は「日産ジープ」として開発

 1950年の警察予備隊(自衛隊の前身)創設にともない、小型汎用トラックの競合試作を各自動車メーカーに打診した。試作には日産、トヨタ、いすゞ、日野、中日本重工(後の三菱自動車)、池貝重工などが応じ、翌1951年7月には日産、トヨタ、中日本の3社に絞った比較試験が行われるまでになっていた。結局、アメリカのウィリス社と技術提携して、ノックダウン生産されていた中日本重工製のCJ3A型Jeepが正式採用されることになる。一方、不採用となったトヨタと日産は試作した小型4輪駆動車を量産モデルとして一般向けに、トヨタは「トヨタ・ランドクルーザー」、日産は「日産パトロール」と名付けて販売を開始する。実は、トヨタも日産も当初“ジープ”という名を使用したかったのだが、それが商標権に触れることが分かり、急遽それぞれに新しい名前を決めるという紆余曲折があった。

セールスポイントはパワフルエンジン

 1950年に造られた最初の「パトロール」である4W65型は、第二次世界大戦前の1937年に完成した水冷直列6気筒SV、排気量3670㏄エンジン(最高出力75ps)を搭載、組み合わされる4WDシステムはパートタイム式で、トランスファーは1速となっていた。スタイルは前倒しが可能なフロント ウィンドウを採用、ドアはないなどJeepに近いものだった。だが、軍用仕様から離れ、一般向けの市販型オフロード4WDとなったことから、1960年に大幅なモデルチェンジを実施、L60型へと進化する。

 L60型では、エンジンは排気量3956㏄の水冷直列6気筒OHVとなり、最高出力は130ps/3600rpm、最大トルクは30.0kg-m/1600rpmへと大幅に向上、パワフルさに磨きをかけた。ボディスタイルも直線を基調にすっきりしたものとされた。ヘッドライトは矩形のラジエターグリルの左右端に置かれ、英国のランドローバー ディフェンダーを思わせるものとなった。サイドドアが設けられ、後部荷室には向かい合わせに4人分のシートを装備することもできた。

海外で抜群の信頼性を獲得

 パトロールは、ホイールベースが2500㎜と比較的長かったため、消防車や救急車など特装車のベースとしても使いやすかった。シャシーは強固な箱型断面のスチール製ラダーフレームにリーフスプリングを用いた前後のリジッドアクスルを持ち、ショックアブソーバーともども大幅に強化。ちなみにパトロールには、最後までディーゼルエンジンはなかった。当時、日産に適当なディーゼルエンジンが存在しなかったことにが主因だが、パワフルなガソリンのみの設定は、明確な個性となった。4WDとしての完成度はすこぶる高く、日本より海外市場で絶大な支持を受けた。

COLUMN
元祖ワールド4WD。世界の悪路を走破!
 大排気量ガソリン・ユニットを搭載したパトロールは、ライバルを凌駕する走りが魅力だった。パトロールの価値を正当に評価したのは海外市場である。生産したほとんどが南米や中東、インド、オーストラリア、アメリカに輸出された。とくにインドでは“ジョンガ”のネーミングでノックダウン生産も行われた。トルクフルなエンジンとタフなメカニズム、路面を選ばない走行性能は使用条件が過酷になるほど真価を発揮。いわばプロ用ツールのような輝きをもった逸材だった。