カムリ 【1982,1983,1984,1985,1986】

クリーンな造形の広々FFサルーン

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エンジン横置きFFのファーストモデル

 カムリは、2代目からセリカのサブネームが取れ独立車種に進化した。2代目は1981年の第24回東京モーターショーに、横置きエンジンによる前輪駆動車のスタディ・モデルとして展示された4ドア・ハッチバックのF120の市販版である。トヨタとしてはカローラ・クラスのターセル/コルサに次いで2番目となる前輪駆動車のシリーズで、横置きエンジンのトヨタ車のパイオニアとなった。車格としてはマークIIとコロナの中間に位置することになる。カムリの兄弟車としてビスタがあるが、これは販売網の違い(カムリはカローラ店、ビスタは現在のネッツ店の前身にあたるビスタ店)による車名の違いで、内外装の細部に若干の違いはあるものの基本的には同一のモデルとなる。

ロングホイールベースの造形で魅了

 ボディスタイリングは、全体に直線を基調とした4ドア・3ボックス・6ライト(側面の窓が片側3個ずつあるスタイルを言う)のコンベンショナルなセダンで、シャープなボディーラインを特徴としている。全体のフォルムは空力特性を磨き込んだウエッジ調で、2600mmのロングホイールベースと相まって伸びやかで安定感を重視した造型に仕上げていた。これといって個性的な部分は無いが、それだけに万人受けするスタイリングと言って良い。これは、当時の生産技術では、曲面のプレス加工が難しかったことにもよる。ボディーバリェーションは4ドアセダン一車種のみの設定となっていた(ビスタは1982年8月に合理的な設計の5ドアHBを追加)。

 フロントに横置きされ、前輪を駆動するエンジンはセリカにも使われていた新世代レーザー・シリーズの1S‐U型水冷直列4気筒SOHCで、排気量は1832㏄、圧縮比9.0と2バレル・キャブレター1基を備え、100ps/5400rpmの最高出力と15.5㎏・m/3400rpmの最大トルクを発揮する。車両重量1040㎏(1800ZX)には十分以上の性能であり、2.0リッター・クラスに匹敵する性能を持っていた。トランスミッションはマニュアルの5速で、当然望まれるはずのオートマチック・トランスミッションの設定はデビュー4ヶ月後に4速タイプがラインアップされるまで当初は無かった。横置きエンジンの前輪駆動システムに対応するオートマチックの開発に手間取っていたからだ。サスペンションは前後ともストラット/コイルスプリングの組み合わせで、ステアリングギアはラック&ピニオンだった。

クラウンを凌ぐ広い室内を実現!

 ユーザーを魅了したのは広い室内。室内の前後長は1875mmとたっぷりあり、しかもFFレイアウトの利点で床はフラット。本当の意味で5シーターサルーンと言える広さの持ち主だった。有効スペース面ではクラウンを凌ぐゆとりを感じさせた。しかもカムリは広い室内の魅力を鮮明にする入念な作り込みをしていた。空調は左右独立温度コントロールが可能で、それぞれが快適温度を設定でき、エアコンは2ステージタイプを用意。エコノモードを選ぶとコンプレッサーの稼働率が下がり経済性が向上する優れものだった。自動的に電動ファンの作動スピードが変わる2段制御機能も組み込まれ、高い効率とファン騒音の低減を図っていた。2代目カムリは、ユーザーフレンドリーな設計思想で構築された新世代モデルだった。