日産デザイン8 【1978,1979,1980,1981】

1980年代に向けて先進スタイルに刷新された乗用車群

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初代のイメージを踏襲したうえで空力を引き上げた2代目Z

 排出ガス規制の克服に一定の目処がついた1970年代中盤の日産自動車は、次なる大きな目標として1980年代に向けた新型車の企画作りに精力を傾けるようになる。とくに重視されたのが車両デザインの刷新で、高度なエンジニアリングに基づく先進的なスタイルや優れた空力性能、さらに新鮮かつ機能的な室内空間などの実現を目指した。

 開発陣の弛まない研鑽は、1978年8月に登場した2代目フェアレディZによって花を咲かせる。外装に関しては初代で好評だったロングノーズ&ショートデッキのクーペフォルムを基本に、空力特性のいっそうの向上と洗練度のアップを図る。フロント部にはフード一体型バンパーを採用。リア部はラバー付き大型バンパーや角型テールランプなどを装着してダイナミックなスタイルを創出する。ボディ長と幅は従来型より拡大させた。肝心の空力特性は初代を大きく凌ぐCd値(空気抵抗係数)0.385を実現。ボディタイプは初代と同様、2シーターと2by2を用意した。

 開発陣は内装のリファインにも注力する。室内空間は2ボディともに拡大。同時にインパネのデザインはスポーティな中にも高級感を覚えるような造形にアレンジし、そのうえでカラーコーディネートに工夫をこらした。シートは2シーターがスポーティなハイバックタイプで、2by2が豪華なローバックタイプを装備する。

クリーンで機能的なスタイルを採用した6代目の“青い鳥”

 1979年11月には6代目となるブルーバードが市場デビューを果たす。新型を企画するに当たり、開発陣は“ブルーバード・スピリット”の原点回帰を敢行。具体的には、「クラスを代表する高性能、高品質の本格乗用車」の完成を目指した。

 外装に関しては、“シンプル&クリーン”をデザインテーマに掲げる。数多くのアイデアが提案されたが、そのなかから直線基調のシャープなウエッジシェイプが選出された。また、ボディと一体造形のスタイルドヘッドランプやハニカム形状のブラックグリル(SSS)、クリスタルカットのリアウィンドウなどを組み込んで個性を強調する。ボディ展開は2ドアハードトップと4ドアセダン、5ドアワゴンおよびバンの計4種類を用意した。

 インテリアは、“知的ドライバーズゾーン”と称したコクピットデザインを導入した点が特徴となる。パネル上面を低く設定して有効な視界を確保したインパネは、視認ゾーンと操作スイッチゾーンを明確に分離。キャビンは空間自体を拡大したうえで広いガラスエリアやクッションに厚みを持たせたシート、優れた換気性能を有する空調システムなどを取り入れる。

先進フォルムを纏った新ジャンルの高級スペシャルティ

 1980年9月になると、高級ビッグスペシャルティの「レパード」および「レパードTR-X(トライエックス)」がリリースされる。ボディタイプは2/4ドアハードトップの2種類を用意。商品コンセプトには「斬新なスタイルと先進技術に裏づけされた高性能・高品質を徹底的に追求した新しいジャンルを築くニューエージカー」と掲げた。

 外装については、柔らかい曲線とシャープな直線を融合させてダイナミックなスタイルを演出する。さらに、当時の国産車としては最大のスラント角26.5度をもつノーズやフラッシュマウント化されたモールディング、バンパー一体型のエアダムスカートなどを採用し、Cd値0.37というエアロフォルムを実現した。内装に関しては、既存モデルにはなかったスペシャルティ感の創出を目指し、世界初の電子メーターやドライブコンピュータといったハイテクを積極的に導入する。総ソフトトリムに仕上げたキャビン、サポート性を高めたシート、高性能オーディオシステムなどもクルマの上級感を盛り上げた。

FFに大変身!5代目サニーは合理的パッケージで誕生

 上級モデルの全面改良に続き、1981年10月には大衆ファミリーカーのサニーが新世代に移行する。5代目となるサニーは、駆動レイアウトをフロントエンジン&フロントドライブ(FF)に一新。ボディタイプは4ドアセダン/3ドアハッチバッククーペ/5ドアワゴン(カリフォルニア)の3種類をラインアップした。

 FF化したサニーは、車両デザインも大きく変わる。外装はウエッジを利かせた直線基調のフォルムをベースとし、セダンが飽きのこないノッチバックスタイル、クーペがおしゃれ感覚あふれる造形、ワゴンが多用途性を感じさせる低くて長いシルエットを創出する。また、全車ともに角型2灯式ヘッドランプと横桟基調の大型グリルを配して精悍な顔に仕立てた。内装についてはクラス最大級の居住スペースと広いガラスエリアを確保したうえで、視認性に優れるメーターや使い勝手のいいスイッチ類、快適な座り心地を有する大型シートなどを装備した。