カローラ 【1974,1975,1976,1977,1978,1979】

多彩なラインアップを設定した実力モデル

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3代目は豊富なバリエーションで登場

 3代目となるTE30/KE30型のトヨタ・カローラは、1974年4月に発表、発売された。一見するとスタイリングなどは大幅に近代化されているものの、1.2~1.6リッター・クラスの小型実用車としての基本的な部分はほとんど変わっておらず、コンセプト面ではトヨタらしく見事なまでのキープコンセプトが貫かれていた。

 乗用車系の車種は2&4ドアセダン、2ドアハードトップ、3ドアLB(1976年1月登場)、2ドア・クーペ(当初は兄弟車のスプリンターのみに設定。カローラには1977年1月追加)の5種で、エンジンは全モデル水冷直列4気筒で排気量は1166㏄を最小に1407㏄および1588㏄の3種、トランスミッションは4速と5速のマニュアル、2&3速オートマチックの4種があった。

 シャシー寸法やボディ外形の拡大はごく僅かなものであり、ホイールベースで35㎜、トレッドは40㎜大きくしているのみで、一部車種を除いて全長は3995㎜とされ、4m枠の中に収まるサイズとなっている。スタイルは変わっても、基本的なサイズを変えないというのは、特に都市部で厳しさを増す住宅事情により、ガレージの幅を簡単には変えられないからでもあった。

最高性能バージョンは1.6ℓDOHC搭載!

 エンジンは4種でいずれも直列4気筒となっていたが、排気量は1166㏄、1407㏄、1588㏄で、1588㏄仕様にはDOHCヘッドを備えたスポーツ仕様の2T-G型があった。エンジンは、搭載する車種によって細かなチューニングの違いがあり、その総数は7種に及ぶ。トランスミッションは標準仕様となる4&5速マニュアル、2&3速オートマチックがあり、2T-G型を除きスポーティーモデルにも3速オートマチックが用意される。ユーザーの好みの多様化に対処したものである。ちなみに、3速オートマチックは、上級車種であるセリカ系と共通だった。

 ボディスタイルはエンジンやトランスミッションよりもさらにバラエティに富むものとなった。基本的な車形は前述のように5種だが、エンジンや装備の違いなどにより、そのバリエーション総数は数十種に達するという。細部で言えば、ステアリングのスタイルやシート地、インスツルメンツ・パネルの仕様など、また、ラジエターグリルのデザインやテールランプの形状までもが、各々のグレードによって違っているのだ。トヨタの中核車種だけにコロナやセリカ以上のワイドセレクションと言える。

見事な差別化。様々なニーズに応えた3代目

 前述のように通称30型の3代目カローラは、兄弟車のスプリンターとともにさまざまなボディタイプをラインアップしていた。それもカローラとスプリンターでイメージを大きく変えていたのが特徴だった。なかでも伸びやかな造形でまとめたスプリンターのクーペは印象的で、とてもカローラと共通のホイールベース2370mmの共通シャシーの持ち主とは思えなかった。

 1976年1月にはスプリンター・クーペをベースに大型リアゲートをプラスしたリフトバックをカローラ&スプリンターに設定、翌1977年1月にはカローラにもクーペ版がラインアップされるが、カローラ・リフトバック&クーペのフロントマスク回りはスプリンター版とは完全に別イメージに仕上げており、フレッシュな印象を携えていた。

 しかし、個性たっぷりだったのは外観のみ。インスツルメントパネルにカローラとスプリンターの別はなく、さらに全ボディタイプで共通イメージだった。しかし30型カローラ&スプリンターの室内は上級車を凌駕するほどの高い質感の持ち主。ユーザーにとっては全ボディともにハイグレードな室内が楽しめることはむしろメリットに映った。

メカニズムの基本は全車共通

 メカニズム面では、マクファーソンストラット式のフロント・サスペンション、半楕円リーフスプリングを使ったオーソドックスな固定軸のリア・サスペンション、フロントがディスク(一部の廉価版はツーリーディング)とリアがリーディングトレーリングのブレーキ、リサーキュレーティング・ボール式のステアリングギアなどは全車種共通したものとなっている。

 基本メカニズムをなるべく統一するのは、大量生産車にとって重要な生産性向上のための手法である。車重は785kgから930kgまでだが、上級車種となるハードトップ1600SRなどは、100psのパワーを誇り、トップスピードも180km/hに達するなど性能的にはスポーティーモデルとして文句無いレベルに在る。価格は最も安価な2ドアセダンの1200スタンダード(4速MT)で58万1000円。スポーツ仕様のハードトップ1600SR(5速MT)でも86万1000円と内容の割に手頃な価格に設定されていた。そのお買い得感は圧倒的と言えた。

 親しみを込めて「サンマル・カローラ」などと呼ばれた第三世代のカローラは、ほとんど市場を独占するほどの販売台数を記録し、トヨタ大発展の原動力となったのだった。