ハイエース 【2004~】

日本が世界に誇る傑作ワンボックスバン

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ボクシーなデザイン、ワンボックスの代表

 2004年8月、トヨタはキャブオーバー型のワンボックスバンとして高い人気を持つハイエースの第5世代を発売した。車名の「ハイエース(Hi Ace)」とは、高級なものとかより優れていることを意味する英語のハイ(High)と第一人者であることを意味するエース(Ace)を組み合わせた造語である。

 第5世代のボディサイズは、最大級となる15人乗りのコミューター仕様では全長5380㎜、全幅1880㎜、全高2285㎜、ホイールベースは3110㎜に達する。スタイリングは僅かに傾斜したフロントウィンドウ部分を除いて、直線的なラインで構成され、無駄な部分を極力排したきわめてビジネスライクなものとなっている。しかしフロント部分のクラッシャブルゾーンの拡大や側面衝突への対処など、安全性の確保には十分な対策が採り入れられている。

2007年、新世代クリーンディーゼルを設定

 搭載エンジンは、ガソリン仕様が2種、ディーゼル仕様が1種の計3種類と比較的少ない。ガソリン仕様は排気量1998㏄の直列4気筒DOHC(1TR-FE型、133ps/5600rpm)および2693㏄直列4気筒DOHC(2TR—FE型、151ps/4800rpm)。ディーゼル仕様はデビュー当初が2494ccの直噴ターボ(2KD-FTV型、109ps/3400rpm)だったが、2007年のマイナーチェンジでクリーン性能を磨いた2982㏄の新世代直噴ターボ(1KD-FTV型、136ps/3400rpm)に進化した。

 1KD-FTV型2982ccディーゼルターボは、インジェクターの手前に蓄圧室を設置。燃料を高圧にすることで微粒化し燃焼効率を向上させたコモンレール式燃料噴射システムやクールドEGR、高性能触媒DPR、可変ノズル式ターボチャージャーなどにより、平成17年(新長期)低排出ガス規制に適合するクリーン性能と、胸のすくパワーを実現。パワースペックは136ps/3400rpm、30.6kg・m/1200-2400rpm。2.7Lガソリン・ユニットを凌ぐビッグトルクが優れた走りを約束。2010年には触媒などの改良で、さらにクリーン性能がアップし平成21年(ポスト新長期)低排出ガス規制に適合した。

5代目は迫力のワイドボディをラインアップ

 デビュー当初のトランスミッションは4速オートマチックと5速マニュアルの2種。シフトレバーはインスツルメンツパネルのセンターコンソール部分に置かれている。駆動方式はフロント縦置きエンジンによる後2輪駆動およびフルタイム4輪駆動仕様。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン/トーションバー・スプリング、後が重量物の積荷に対応してリジッド・アクスル/半楕円リーフ・スプリングの組み合わせとなっている。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後はドラムでいずれもサーボ機構を持つ。タイヤサイズは最も標準的な2輪駆動仕様のロングバンでは195/80R15サイズとなる。

 5代目は小型車規格に収まる全幅1695mmの通常ボディに加え、全幅1880mmのワイドボディ車が登場した。ワイドボディ車はバン(5/6名乗り)、ワゴン(10名乗り)、コミューター(15名乗り)の3タイプで選べるが、主流は多人数乗車を想定したワゴンとコミューター。定員10名のワゴンは3ナンバー乗用車登録、定員15名のコミューターは2ナンバー・マイクロバス登録となる。ワゴンは普通免許で運転可能だが、コミューターは大型免許が必要だ。

 全幅1880mmのワイドボディ車のメリットは自在なシートレイアウトに現れている。シート間の間隔をたっぷりと確保できるため定員乗車時でもウォークスルー可能なのだ。さらに全長も5380mmと長いため、ワゴンで4列、コミューターで5列のシート配置を実現した。アルファードなどの大型ミニバンと比較してもハイエース・ワイドボディ車の室内はゆとりたっぷり。ホテルの送迎用などプロユースで利用されるケースがほとんどだが、スタイリッシュなエクステリアに惹かれ個人で購入するマニアも多い。ちなみに高規格救急車のハイメディックは、ワイドボディ車がベースになっている。

レジャーユースモデルとしても圧倒的な人気を獲得

 ハイエースは日本だけでなく世界を代表するモデル。それだけに荷物を積み、走る機能について高い完成度を誇る。広く使い勝手のいい荷室と、高速道路のスタビリティ、そして圧倒的な耐久性はライバルの追随を許さない。プロユースに徹した道具に共通する“本物の味わい”が満喫できる逸材である。

 ユーザーの圧倒的多数はビジネスユースで購入しているが、高い機能性に魅力を感じ、レジャーユースの相棒として購入する個人ユーザーも少なくない。とくに最上級グレードのスーパーGLはワゴンとして使用しても十分な快適装備を持ち、個人ユーザーを想定した専用カタログまで製作している。カタログではマウンテンバイク、モトクロッサー、カヌー、サーフィンなどのアウトドアスポーツ・グッズを積むシーンを掲載し、同時にフルフラットシートやオプティトロンメーターなどの快適機能を紹介。スーパーGLのRVとしての魅力を語りかける。アクティブなライフスタイルを持つユーザーにとってハイエース、なかでもスーパーGLは最高の選択と言える。