レオーネ・ハードトップ 【1973,1974,1975,1976,1977】

ネオクラシック造形のドレッシーパーソナル

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ほとんど新設計だったハードトップのボディ!

 1971年10月にデビューしたレオーネは、まず2ドアクーペが登場。次いで1972年2月に4ドアセダンが、そして1972年8月には4輪駆動システムを搭載したレオーネ4WDバン、さらに1973年6月にはハードトップをシリーズに加え、着実にモデルレンジの拡大を図っていった。中でも、レオーネ・ハードトップは、2ドアクーペからの派生モデルではあったのだが、ほとんど新設計と言えるほどのものとなっていた。車名のレオーネ(Leone)とは、雄のライオンを意味するイタリア語である。

 ハードトップ・モデルは高級バージョンというキャラクターが与えられていた。基本的なプロポーションはクーペのままだが、ルーフラインを変更してリアウィンドウの傾斜を見直し、左右側面の後ろ側ウィンドウも巻き上げ式とするなど後部座席の居住性を高めていた。“ネオクラシック”を標榜したキャビンは4〜5人の大人が無理なく乗れるようになった。また、フロント部分のスタイルは大きく変えられ、ヘッドライトが丸型4灯となり、ラジエターグリルのデザインも新しくなっている。

キャッチコピーは“心ときめく夜のハードトップ”

 レオーネ・ハードトップは、躍動的なクーペに対し大人の味わいを訴求していた。キャッチコピーは“心ときめく夜のハードトップ”。CMキャラクターに女優の鰐淵晴子を起用し、人気歌手の尾崎紀世彦が担当したクーペとははっきりと異なる個性を主張した。1973年当時は走りの良さを声高に謳うCMが一般的だったなかで、レオーネ・ハードトップの手法は明らかに異色だった。上級車を彷彿させる4灯式ヘッドランプや、ちょっぴりスクエアな“ネオクラシック”を名乗ったウインドーラインなどを強調し、ドレッシーさを印象づけたのだ。

 レオーネ・ハードトップは、高い技術イメージは浸透していたものの、デザインや質感という面でユーザーアピールが万全でなかったスバルとしては異色の存在、それが広告手法も現れていた。

2種の水平対向ボクサーユニットを設定

 エンジンをはじめとするメカニズム系は、スバル1000からの発展型で、エンジンは排気量を1306ccに拡大した水平対向4気筒のボクサーユニット。仕様は2種あり、グレードによって使い分けられる。最強のGFT用は圧縮比10と2バレル・キャブレター2基を装備して93ps/6800rpmの最高出力と11.0kg・m/4800rpmの最大トルクを持つ。標準仕様では圧縮比は9.0、2バレル・キャブレター1基で80ps/6400rpm、10.5kg・m/4000rpmとなっていた。

 トランスミッションはフロアシフトのマニュアル4速型のみで、デビュー当初オートマチックの設定は無かった(レオーネ・シリーズにオートマチック仕様が加わるのは1975年1月から)。駆動方式は今日に続くスバルの伝統である前輪駆動方式。ちなみに、フロントエンジン(前置きエンジン)、フロントドライブ(前輪駆動)を言い表す「FF」の言葉は、1960年代半ばころにスバルが最初に用いたものである。

大人の味わいで独自の地位構築

 スタイルの良さとFFレイアウトによる安定したハンドリングで、レオーネの名はスポーティーカーの代名詞的存在だったが、ハードトップは走りの良さとともに大人びた存在感で独自の個性を発揮した。2リッタークラスのモデルと並んでも位負けしないキャラクターの持ち主だった。
 当時としては希有な性格を持つレオーネ・シリーズはグレードアップとモデルチェンジを繰り返しながら、1989年1月のレガシィ・シリーズが登場するまでスバルのフラッグシップの座を堅持する。