ブルーバード 【1976,1977,1978,1979】

安全性を重視したフレンドリーな5代目



ラインアップ増加によるポジショニングの変化

 1959年に日本初の本格オーナーカーとして誕生し、絶大な人気を誇ったブルーバードは日産車を代表するモデルだった。海外でも評価は高く、技術的にもブルーバードが日本車を牽引する。しかし今回の主役である5代目モデルが登場する1976年7月には、ブルーバードを取り巻く状況は大きく変化していた。

 1960年代前半にはブルーバードとセドリックしかなかった日産の乗用車ラインアップは、サニーからプレジデントまでのフルラインアップに変化を遂げていた。かつてブルーバードが担っていた大衆車としての性格はサニーが受け持ち、一方ハイオーナーカーとしてはローレルやスカイライン2000GTが主役となった。日産のサファリラリーへの挑戦はまだ続いていたが、そのマシンもブルーバードからバイオレットに変わっていた。幅広いニーズに応えるファミリーカーというブルーバード本来のキャラクターは不変だった。しかしブルーバードはもはや日産の代表モデルではなく、日産の数多いラインアップのなかの1台に位置づけが変わっていた。

5代目の基本テーマは“安全”

 5代目ブルーバードのラインアップは4気筒シリーズと、従来の2000GT系の後継となるG6を名乗る6気筒シリーズの2系統で、それぞれにセダンとハードトップを設定した。このうち“This is BLUEBIRD”と言うべきモデルは4気筒シリーズだった。

 スタイリングはあえて個性を抑えた造形だった。曲線を主体に構成した先代のブルーバードUが造形面で賛否を呼んだため、あえてオーソドックスに仕上げたのだ。個性よりも安全性を重視したのが特長で、セダン、ハードトップともにウィンドーを大きく採り良好な視界を確保。ハードトップではCピラーにもエクストラウィンドーを設け死角をなくしていた。また全車に先進の衝撃吸収ボディや大型バンパーを採用し、万が一のときにパッセンジャーを守る設計が施されていた。

 装備面でも安全に対する配慮はきめ細かかった。前席の3点式シートベルトはベルトに掛かる加速度と車体の加速度をそれぞれのセンサーが感知し、緊急時にベルトをロックして乗員を守る2重感知ELR式を全車に標準装備。後席にも2点式シートベルトを設定すると同時に、一部グレードではランプ状態、液量、半ドアなどの車両状況がひと目で分かるセーフティモニターも装備した。ステアリングコラムも全車がクラッシュ時に収縮する衝撃吸収タイプである。

リアサスペンションの変更に賛否が集中

 エンジンは昭和51年排出ガス規制をクリアーした低公害ユニットで、4気筒シリーズは排気量1595ccのL16型と、1770ccのL18型をグレードにより積み分けていた。

 主力となるL18型はキャブレター仕様と電子制御インジェクション仕様から選べ、スペックはキャブレター仕様が105ps/6000rpm、15.0kg・m/3600rpm、電子制御インジェクション仕様は115ps/6200rpm、15.5kg・m/3600rpmを誇った。トランスミッションはL16型搭載モデルが4速マニュアルのみ。L18型搭載モデルは、4速と5速マニュアルに加え3速オートマチックの3種から選べた。ただしスポーティな性格の1800SSS-E・Sグレードは5速マニュアルのみの設定だった。

 残念だったのは足回りだった。SSS系グレードは前ストラット式、後セミトレーリングアーム式の4輪独立システムを組み込んでいたが、デラックスやGLなどの通常グレードのリアサスペンションは旧式のリーフリジッド式にグレードダウンしたのだ。ブルーバードにとって4輪独立サスペンションは、先進さの象徴だった。それを捨ててしまったのである。

 リーフリジッド式でも実際の乗り味はけっして悪くなかった。しかしユーザーにはコストダウンに映った。モデルチェンジを“進歩”と捉えていたユーザーにとって、ブルーバードの“退化”は許せないものだった。登場から1年3ヵ月後にデラックス、GL系のリアサスペンションは4リンク式に進化する。しかしそれでもユーザーの評価は好転しなかった。

昭和53年排出ガス規制を、ツインプラグのNAPS-Zでクリアー

 5代目ブルーバードのエンジンは当初は昭和51年排出ガス規制対応だったが、1977年10月に一部車種が昭和53年排出ガス規制対応となり、翌年の8月には全車が昭和53年排出ガス規制をクリアーした。

 昭和53年排出ガス規制は、エンジン無公害化の最終ゴールと位置づけられた規制で、CO、HCとともにNoxを大幅に低減することが求められていた。日産は昭和53年排出ガス規制クリアーのため複数の浄化システムを開発したが、ブルーバードの4気筒モデルが採用したのは“NAPS-Z”と呼ばれる方式である。NAPS-ZはEGR(排出ガス再循環)とツインプラグによる急速燃焼を基本としながら、エンジン全体を総合的にリファインする方式。クリーンな排出ガスとともに燃焼効率のアップで、走りのパフォーマンスまで向上したのがポイントだった。