ミラージュⅡ 【1982,1983】

三菱初のスタイリッシュFF進化形

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1978年3月に登場した初代ミラージュは、
三菱の新販売網カープラザ店向けの最初のモデル。
FFレイアウトと実用的なHBボディーを持ち、
一世を風靡したヒット作である。
その魅力をさらに輝かせる形で、
改良を実施しデビューしたミラージュⅡ。
先進のメカニズムで大きな話題を呼んだ。
大がかりなマイチェンで誕生

「三菱ミラージュII」は、1978年3月に登場した三菱ブランドの小型車ではエントリーモデルである「三菱ミラージュ」を大規模に改良し、第二世代として発表したものだ。オリジナルモデルの大きな特徴である台形スタイルやハッチバック、FWD(前輪駆動)などは受け継がれているが、内外装をはじめ、搭載されるエンジンの仕様などは大幅に変更されている。また、新たに4ドアノッチバックセダンがシリーズに加えられて、実用性を向上させた。無駄を排したクリーンなデザインは、個性的かつ魅力あふれるものであった。

■独創のメカと進化した内外観

 この当時、ホンダやマツダなどと市場3位の地位を争っていた三菱は、この「ミラージュ」に技術面でのショーウィンドウ的な役割を担わせていたフシがある。1978年2月に発表された最初の「ミラージュ」では、三菱製の小型車としては初めて2ボックスハッチバックのスタイルが採り入れられており、駆動方式も横置きエンジンによる前輪駆動方式となっていた。「ミラージュII」では、従来からの2ボックスのハッチバックに加えて、独立したトランクを設け、3ボックススタイルの4ドアセダンの「ミラージュ4ドアサルーン」が新しく登場している。

インテリアのデザインも、オリジナルモデルの雰囲気を巧みに残しながら、居住性や操作性などに一段の進化を感じさせるものとなっていた。

メカニズム面での変わった装備では、3速オートマチックトランスミッションに加えて、高低2速の副変速機を装備した仕様もあったこと。これで実質的には8段変速が可能となるわけだ。この副変速機という発想も、1950年代に軍用4WDであるJeepのライセンス生産を始めた三菱ならではのものだ。

Jeepには、3速のマニュアルトランスミッションのほかに、ギア比の低い高低2速の副変速機があり、駆動力を飛躍的に高めることができた。「ミラージュ」の場合は、燃費向上のために高いギア比の多段化を必要としたが、限られたトランスミッションケースのサイズでは無理だったため、副変速機としたものだ。「ミラージュII」でも、この副変速機方式は受け継がれている。

■パワーユニットに新技術を投入

 搭載されるエンジンは、いずれも直列4気筒SOHCで、排気量は1200ccと1400cc、1600ccの3種がある。新しい時代に対応するため新設計の仕様が加えられ、出力向上とドライバビリティ向上のためにターボチャージャー装備のものや走行状況に応じてエンジンの4気筒のうち2気筒の吸・排気バルブを閉じることにより、実質的に排気量を小さくして燃費の向上を図ろうとする「MD(Modulated Displacement=可変容積)」エンジンが採用されていた。

 副変速機や可変容積MDエンジン、さらにターボチャージャーの装備など、そのころ世界的な傾向であった燃費の向上と絶対的なパフォーマンスの向上という、相反する目的に対して、また、トヨタ・カローラやホンダ・シビック、日産パルサーなど、最もライバル車種の多いこのクラスの中で、三菱「ミラージュ」はメーカーの期待を上回る販売台数を記録し、三菱ブランドの発展に大きく寄与したのだった。

COLUMN
国産最小排気量のターボモデル
ミラージュⅡの発売とともに、クルマ好きの関心を集めたのが、ターボ仕様である。1410ccの排気量は、国産最小ターボであった。採用した三菱重工製のTC04型ターボはタービン径47mm、重量3.5kgと、ターボチャージャーそのものもコンパクトだった。最高出力105ps/5500rpm、最大トルク15.5kg-m/3000rpmを発揮。ベースとなった1400NAユニットと比較して23ps/3.4kg-mパワフルで、これはそれぞれ28%のアップになる(0→400m加速17.3秒)。足回りも強化し、ハードサスペンションや等長ドライブシャフト、165/70SR13タイヤを装備。ターボ仕様は2ドアHBと4ドアサルーンに設定した。