ヴィジヴ(VIZIV)コンセプト 【2013】

実現可能な技術を満載した近未来クロスオーバー



熟成の先進技術が生み出す未来像

 未来のクルマとは、現在の技術のリファインが生み出すもの。すでに120年以上の歴史を積み重ねてきたクルマは、すでに熟成の技術で構成された“完成された機械”だ。未来、なかでも近未来を想定したモデルは、パワーユニットにしても、シャシーにしても、そしてさまざまな制御技術も、すべてが実現可能なテクノロジーで構成されている。つまり夢物語ではない。

 その意味でSUBARUが2013年のジュネーブ・モーターショーで発表したヴィジヴ・コンセプト(VIZIV CONCEPT)は、近未来のクルマの代表だ。ヴィジヴ・コンセプトは、今後のSUBARU技術の方向性を示した次世代クロスオーバーモデル。車名のヴィジヴ(VIZV)は“Vision for Innovation=革新のための未来像”を意味する造語だ。ヴィジヴの場合、想定した近未来とは、3~5年後といったところ。つまり2010年代後半には、実際の路上を走るテクノロジーで構成している。

ディーゼルを用いたプラグインハイブリッド採用

 ヴィジヴ・コンセプトのパワーシステムは、2ℓ水平対向ディーゼルとリニアトロニックCVTに、駆動・発電用のフロント1モーター、駆動専用のリア2モーターの3モーターを組み合わせた「プラグインハイブリッドシステム」を採用。電池はリチウムイオンバッテリーを積む。

 発進や低速域はモーターで走り、高速走行はディーゼルエンジンとリニアトロニックCVTが担当する。各パワーユニットの効率に優れた領域を最適制御することで十分な航続距離を確保した。目標燃費は公表していないが、開発陣はフル充電のEV走行モードで、40kmほど走行できることと、ハイブリッド時の実用燃費として30km/Lオーバーを想定しているに違いない。

 2014年発表のスバルXVハイブリッド(2ℓ水平対向ガソリン+モーター)のJC08モード燃費が20km/Lだから、ハイブリッド時の燃費はその1.5倍。プリウスやアクアは既に30km/Lオーバーを実現しているから、現実的な燃費に思われる。満タン時の総航続距離は1000kmを優に超えるだろう。

ヴィジヴ・コンセプトでユニークなのは、スバル独自のアイサイトシステムからの走行状況情報をエンジンとモーター出力のコントロールに利用し、安全と環境に配慮した走りを実現する「エコクルーズ走行モード」を採用した点だ。すでにアイサイトは、全速度域対応のクルーズコントロール機能と、プリクラッシュブレーキ機能を実現している。ヴィジヴ・コンセプトは、安全面だけでなくエコ走行の面でもアイサイトシステムを活用した点が新しい。ドライバーをサポートする目としてだけでなく、エコなドライビングを行う頭脳としても利用する。さらにアイサイトシステムには車線逸脱警報&ステアリング自動補正機能なども組み込まれ、自動運転の領域にも踏み込んでいる。

操縦性抜群!後輪をモーターが駆動する新AWD

 駆動方式も新しい。「リア独立モーター駆動タイプ・シンメトリカルAWD」を採用した。走行状況に応じて4輪の駆動力を一段ときめ細かく制御する新4WDシステムである。後輪は100%モーターで駆動する。

 具体的にはコーナリング時にリアの駆動力(とくに旋回外側後輪)を増やしドライバーの意思に忠実なハンドリングを実現。直進状態では、駆動力をフロント寄りとし、安定性を高める制御を行う。すでにスバルの4WDシステムは、路面状況が悪化した場合のスタビリティだけでなく、積極的にスポーティな走りをサポートするデバイスとなっている。ヴィジヴ・コンセプトのリア独立モーター駆動タイプ・シンメトリカルAWDは、その狙いを一層明確にした。モーターを活用することで制御とチューニングの幅を広げるとともに、システム自体の軽量化も実現している。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4320×1900×1510mm。幅はワイドだが、全長はインプレッサとほぼ同等。ミディアムクラスの扱いやすいサイズでまとめている。唯一実現が難しそうなのが、跳ね上げ方式の大型ドアだろう。このドアはデザイン上のアピール力には優れているが、実用面では現在のヒンジ式ドアに対するアドバンテージが希薄だ。

ヴィジヴ・コンセプトそのものに市販化の予定はない。しかし搭載した技術とデザインエッセンスは今後のスバル各車に採用するとメーカーでは説明する。数年後の技術とデザインイメージでまとめたヴィジヴ・コンセプトは、いわば身近な未来のクルマである。