キャパ 【1998,1999,2000,2001,2002】

多彩な機能を詰め込んだ使える5ドア



キャパはトールデザインで広さを創造!

 キャパは、実用車に多様なユーティリティを求めるユーザーニーズに対応して開発されたコンパクトモデルである。デビューは1998年4月で、基本的なメカニズムは1996年10月に先行デビューしていたロゴと共用している。つまりブランニューカーではなく、ロゴをベースにした派生モデルだった。とはいえ、スタイリングはもちろん、そのコンセプトを含めオリジナリティが高い逸材だった。ちなみにキャパは、1997年の東京モーターショーでホンダが提唱した21世紀のクルマ作り「Small is Smart」、Jムーバー(楽しさ創造車)の第1弾に位置づけられていた。

 キャパの特徴はロゴと比較して160mmも高い1650mmの全高にあった。取り回しに関係する全長を3775mmとコンパクトにしたまま、高さ方向に余裕を持たせることで開放的なキャビンスペースを実現したのである。室内寸法は長1750mm×幅1335mm×1240mmで、数字的にもミニバン並みの室内高が目立った。余裕ある室内高を生かしてシート設定はアップポジションになっており、足元のゆとりも十分。クッション性に優れた大型サイズのシートを採用したこともあって、キャパの室内は実に居心地がよかった。しかも単に居住性に優れるだけでなく後席の250mmロングスライド機構、後席分割可倒システムなど、用途に応じて自由に室内空間を変えられたのが魅力だった。後席にゲストを招いたときは広々とした室内、荷物が多いときには簡単にワゴンに変身したのだ。生活シーンに応じて1台でマルチに使える頼りになる存在と言えた。

2重フロア構造が抜群の安全性を実現

 頼りになると言えば、高い安全性もキャパの特徴だった。キャパはロゴのプラットフォームの上に、もう1枚のキャビンフロアを配置した2重構造フロアを採用していた。2重構造フロアは、高くなった全高に合わせてフロアを最適設計した結果である。開発陣はこの2重フロアを安全性向上に活用する。2枚のフロアの中間に衝突時に有効に衝撃を吸収するエクストラフレームとクロスメンバーを配置したのだ。

 これにより正面衝突はもちろん、オフセット&側面衝突でも高い安全性を実現する。日本だけでなくヨーロッパの安全基準も上回る世界レベルの安全性を確保したのだ。運転席&助手席SRSエアバッグ、ABS、ロードリミッター付きプリテンショナーELRシートベルトなどと相まって、キャパは最も安全なコンパクトカーと言えた。ちなみに2重構造フロアを安全性の向上に役立てる考え方は、メルセデス・ベンツAクラスと同様である。

優れた走りの実力。良心的な設計が光った

 キャパのパワーユニットはトルクフルな1493ccの直列4気筒OHC16V(98ps/13.6kg・m)の1種で、トランスミッションはホンダマルチマチックと呼ぶCVTを組み合わせていた。ロゴに対し大幅に増加した車重に対応して排気量の大きなエンジンを積んだのだ。
 スタイリングはボクシーな印象で、ウインカーユニットを一体化した大型ヘッドランプが独特の表情を形作っていた。個性という面では控えめだが、いかにも使い勝手がよさそうな造形だった。インスツルメントパネルはロゴと似た印象のシンプルなもので、全車ともタコメーターは設定されていない。

 キャパの走りはよかった。パワーは必要にして十分なレベルに止まっていたが、2重フロアの利点で路面からのノイズ侵入が低く静粛だったのだ。良好な視界や、しなやかな乗り心地と相まって長距離クルーズでも疲れの少ないクルマだった。キャパは販売成績という面では目覚ましい結果は残せなかったが、ホンダの良心的なクルマ作りが実感できるクルマだった。あまりにまじめな設計で、遊びゴコロが希薄だったのが販売低迷の要因だったのかもしれない。

キャパの魅力を高めた3種のオプションキット

 キャパには3つのメーカー・オプションキットが用意されていた。ほとんどのユーザーがチョイスしたのは「ユースフルキット」。電動格納ミラー、助手席シートバックテーブル、シートアンダーボックス、キーレスエントリー、運転席ハイトアジャスターの5アイテムをセットにしたもので7万円の価格設定には割安感があった。

 外観を気にするユーザーに好まれたのが「スタイルキット」。専用デザインのアルミホイールとリア回りのプライバシーガラスの組み合わせで価格は8万円。スポーティな雰囲気を演出するアイテムとして好まれた。そして3つめが「ナビゲーション」。自立航法とGPSを併用した高精度タイプでポップアップ式モニターを装備していた。価格が14〜15万円と高価だったため、装着するオーナーは少なかったが、信頼性の高いユニットだった。