テリオス 【1997,1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006】
便利でタフな1.3LのコンパクトSUV
タフトの後継車として2.8Lディーゼルユニット(115ps)を搭載したヘビーデューティモデルのラガー(1984年デビュー)。そして、1.6L直4ガソリンユニットを搭載し、軽快な走りを楽しめたロッキー(1990年デビュー)。ダイハツがラインアップしていた2台のSUVモデルの後を担う形で1997年に登場したのが、テリオスである。
搭載するパワーユニットは、1295cc直列4気筒SOHCユニット。シャレード用をリファインした心臓である。最高出力は92ps/6500rom、最大トルクは11.0kg-m/5000rpmを発揮した。
1997年当時、コンパクトSUVのマーケットは三菱 パジェロジュニア(1.1L 直4SOHC、80ps)や、スズキ・ジムニー1300シエラ(1.3L 直4SOHC、70ps)に加え、ひとクラス上となるトヨタのRAV4(2L 直4DOHC、135ps)が存在していた。
なかでもトヨタのRAV4(1994年にデビュー)は、ブームと表現していいほどの好調なセールスを記録していた。トヨタと深い関係を持つダイハツは、RAV4との真向勝負は望まなかった。ラガーやロッキーの後継車としてRAV4の対抗馬を作るよりも、1.3Lにダウンサイジングして軽自動車のマーケットでライバル関係にある三菱やスズキとの勝負を選択する。その結果がテリオスだった。
パジェロジュニアやジムニーシエラは、それらの元となるモデルとして、軽自動車の車種を有していた。パジェロミニと、ジムニーがそれだ。それら軽自動車のSUVをベースにして小型車に仕立て直したのが、パジェロ ジュニアであり、ジムニー シエラである。
テリオスも弟分の生産を前提にしていて、テリオス発売の翌年となる1998年に、軽自動車のテリオス キッドがデビューを果たしている。しかし軽自動車が先のライバルに対し、ダイハツは小型車から送り出してきた。テリオスに“軽自動車の拡大版”というイメージが付くことを避けたのである、しかもテリオスは5ドアだった。ライバル各車の3ドアに対しユーティリティ面で優位に立っていた。5ドアのテリオスは、若年層のみならずファミリー層にとっても使いやすいクルマだった。なお、パジェロ ジュニアは、テリオスのデビューの翌年に、パジェロ イオと車名を変更した上でモデルチェンジ。軽自動車ベースから脱却するのと同時に5ドアモデルをラインアップに設けている。
テリオスの4WDシステムは、本格的なメカニカルセンターデフ付きのフルタイム4WD方式。センターデフは、悪路のぬかるみにはまった際にはロック可能で、優れた走破性を身に着けていた。センターデフのロック操作は、インパネに備えたスイッチでできた。ラインアップは、上級版のCXと、CLの2グレード。それぞれに5速MTと4速ATをラインアップし、計4機種というシンプルな車種構成だった。
ボディサイズは、3865×1555×1760mm(CXグレード)。3ドアのパジェロジュニアと比べて、365mm長く、10mmだけ幅広で、100mm背が高い。ジムニー シエラとの比較では、395mm長く、10mmだけワイドで、90mmトールなボディである。近似するスペックを持つライバルに対して、5ドアのスタイルとボディの長さは、存在感を示すことになる。
最小回転半径4.7mと取り回し性に優れ、さらに5ドアのコンパクトなボディは、タウンユースでの使い勝手に優れていた。もちろんアウトドアシーンでも使い勝手は良く、フロントシートの背もたれを水平近くまで倒して作るフルフラットシートや、左右分割ダブルフォールディング式リアシート、分割リアシートリクライニングなど、ひとクラス上のSUVモデルに匹敵するシートアレンジと相まって、優れた適応力を誇った。ちなみにラゲッジルームにはアンダートレイも用意し、レジャーの良い相棒として魅力を放っていた。
安全面でも抜かりはなかった。衝突安全ボディのTAF(タフ)を採用。運転席および助手席のエアバッグや衝撃感知ドアロック解除システムを全車に標準装備。ABSはオプションで用意した。