クラウン 【2008,2009,2010,2011,2012】

日本を代表する13代目の高品質・高級サルーン



頂点を指すネーミングで登場

 第二次世界大戦後の日本で、本格的な乗用車生産の先達となった初代トヨペット クラウンは、排気量1453ccの直列4気筒OHVエンジン(R型、出力48ps/4000rpm)を搭載して1955年1月に登場した。いわゆる“観音開きのクラウン”である。価格は99万5000円。車名のクラウン(Crown)とは、王冠を意味する英語で、自動車メーカーのトヨタの頂点に位置するモデルをイメージしたものと言う。また、トヨペットというブランドネーミングは、1947年8月にクラウンよりも先に登場した小型乗用意車のSA型のデビューに際して、愛称を一般に公募して決められたものであった。

 クラウンはトヨタのトップブランドとして、その後50年以上にわたって君臨し続けることになる。「いつかはクラウン」というよく知られたキャッチフレーズに代表されるように、トヨタのみならず、日本のモータリゼーションの牽引役としての存在感も大きなものがあった。

13代目はハイブリッドモデルを本格ラインアップ

 きわめて閉鎖性の強いと言える日本市場の中でのみ存続が可能なクラウンというブランドに、大きな変化が起こったのは、中国市場の拡大が始まった2000年代に入ってからであった。2003年12月に「ゼロクラウン」のキャッチフレーズでデビューした12代目のS180系クラウンが、クラウンの革命的な変化の第一号である。シャシー構造やスタイリング、装備に至るまで、日本国内専用モデルと言う枠組みを取り払い、国際的な基準で設計を見直したモデルであった。「かつてゴールであったクルマが、いま、スタートになる……」という宣伝コピーが、その辺の事情を端的に物語っている。
 スタイリングは一新され、グローバルなスタイルの中にも日本的な和のテイストを盛り込んだものとなった。この手法は、現行クラウンと同様のもので、海外への輸出を前提にしたデザインとなっていた。S180系から、中国の工場での生産が開始されたことも注目していい。
 S180系クラウンのボディサイズは、全長4840mm、全幅1780mm、全高1470mmで、ほぼ伝統的なクラウンのサイズに収められていたが、ホイールベースは旧型に比べて70mm延長されて2850mmとなり、室内スペースの拡大と乗り心地の向上を図っている。基本的なシャシーはマークXやクラウン マジェスタ、レクサスGS(S190系)などと共用している。

S180系クラウンは、2008年2月にS200系へと進化した。S200系の基本的なコンセプトはS180系と大きくは変わらないが、各部はさらに熟成が進められ、技術的レベルは大きく向上していた。クラウンにハイブリッドシステムを搭載したモデルが登場するのは、2001年8月にS170系クラウンのマイナーチェンジ時に加えられたロイヤルサルーンに装備されたマイルドハイブリッドが最初だが、このS200系クラウンにも2008年5月からハイブリッドシステム搭載車が販売開始となった。ハイブリッドシステム搭載車の比率は高く、1カ月の販売台数5500台のうち、ハイブリッド車は800台と言われる。生産工程が難しくなるハイブリッド車の生産は、日本国内のみで行われていた。

ロイヤルとアスリートは全車V6搭載

 13代目となったクラウンは、「ロイヤルシリーズ」、「アスリートシリーズ」、「ハイブリッドシリーズ」の3系統をラインアップした。中心モデルとなるロイヤルシリーズは2.5L(215ps)と3.0L(256ps)があり、2.5Lはロイヤルサルーンと4WDのロイヤルサルーンi-Fourの2仕様を基本にそれぞれにナビパッケージを設定。シンプルな4グレードの構成でデビューした。3.0Lでは、ロイヤルサルーンとi-Fourのほか、豪華仕様のロイヤルサルーンGをラインアップ。3.0Lの各モデルはナビシステムを標準装備するため、ナビパッケージの設定はなく、ロイヤルサルーンGではオットマンパッケージを、i-FourではリアオートACやリアパワーシートなど後席の装備を充実させたUパッケージをラインアップした。
 搭載されるエンジンはV型6気筒が3種あり、すべてDOHC24バルブとなる。3456cc(2GR-FSE型、出力315ps/6400rpm)を筆頭に、2994cc(3GR-FSE型、出力256cc/6200rpm)、2499cc(4GR-FSE型、出力215cc/6400rpm)を設定。ハイブリッドシステム搭載車は専用チューンの2GR-FSE型に147Kwの出力を持つ交流型同期電動機(モーター)を組み合わせたもの。高性能エンジンと電動モーターが生み出す圧倒的なパフォーマンスは、下手なスポーツカー顔負けで、とてもジェントルな高級車とは信じられないほどだった。

最高の技術と総合力を内包

 先進的な快適装備や最新の安全装備などは各グレードに振り分ける形で装備されるわけだが、その数は膨大であり、トヨタの先進技術の実験室と言えるものだ。主なものでは、雨滴感応式ワイパー、プリクラッシュセーフティシステム、レーダークルーズコントロール、HDDナビゲーションシステムなどがある。その多くは、トヨタが独自に開発したものだ。トヨタ自身が持っている、生産や開発に伴う自動車技術のレンジの広さと層の厚さには驚かされる。

 レクサスなどの新しい高級車ブランドが出現しても、クラウンと言うブランドの持つ存在感と重さにはいささかの揺るぎも感じられない。それは、クラウンが、他に比較し得ない歴史と伝統を持っているからに他ならない。常にトヨタが時代の要求と流れに合わせて、最高の技術力とバランス感覚でクラウンというブランドを守り育てて来たからでもある。国産車としては特異な存在、クラウンは日本の宝と言って良いだろう。