モビリオスパイク 【2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008】
ボクシーボディに遊び心を満載した使えるワゴン
2001年12月にデビューしたモビリオは、手頃なサイズのボディに7人乗りを可能にしたキャビンを持ち、コンパクトなミニバンとして人気を獲得する。そのモビリオから派生したモデルが、モビリオスパイクである。
モビリオスパイクのデビューは、モビリオの誕生から9カ月後の2002年9月。モビリオとの大きな違いは、インテリアだった。3列シートを用意したモビリオに対して、モビリオスパイクは2列シートの5人乗り。メーカーのニュースリリースでは、モビリオについて「コンパクトミニバン」、モビリオ スパイクは「コンパクトマルチワゴン」と表現していた。その言葉どおりのキャラクター分けがされ、モビリオ スパイクでは趣味や遊びの世界を広げてくれる個性が与えられた。
モビリオ スパイクの開発テーマは、「荷室空間(CARGO)=自分流にとことん使える空間」「スタイリング(STYLING)=愛着を感じさせるこだわりのあるカタチ」「居住空間(CABIN)=ひとりでも仲間とでも楽しく過ごせる、とっておきの場所の創造」としている。
なかでも広い荷室スペースがモビリオの特徴だった。ウルトラ(ULTRA)カーゴと呼んだこの空間は、奥行き1855mm(2名乗車時)、高さ1110mmというスペースを確保し、1045リッター(2名乗車時)のクラストップレベルの大容量を誇った。センタータンクレイアウトの採用で床は低く、しかもスクエアな空間だったから、使い勝手が実に優れていた。
シートアレンジがしやすいのもアドバンテージだった。リアシートは、座面部分の沈み込み機構により2アクションで収納が可能。ヘッドレストを外す必要もない。荷室は助手席をフルリクライニングさせると、サーフボードやスキー、釣り竿など長尺物の積載に便利な奥行き2620mmの空間が出現した。しかも、リアシートの座面部分を跳ね上げれば、高さ1390mm(有効室内高)の空間となり、背の高いハンガースタンドや観葉植物なども積載可能だった。
エクステリアでは、インゴット(金属を鋳型に流し込んで固めたもの)をイメージしたスクエアなスタイルを採用。使うほどに愛着が増す硬質なツールボックスをイメージした個性的なアピアランスに仕立てていた。なかでも極太の形状リアクォーターピラーが、存在感と重厚感を醸し出した。インテリアでは、ゆったりくつろげる可倒式大型アームレスト付きベンチシートを前席に採用。助手席に気のおけない仲間を乗せれば、最高のコミュニケーション空間となる設定である。
パワーユニットは、フィットや、ベース車のモビリオにも積むi-DSIエンジンを搭載した。1.5リッター直列4気筒SOHC16VエンジンのL15A型で、110ps/14.6kg-mのパワーと、10・15モード燃費17.2km/Lの低燃費を両立。CVT(無段変速オートマチックトランスミッション)のホンダマルチマチックSを全タイプに組み合わせた。
モビリオスパイクは、デビューから1年3カ月の2004年2月に改良を受けた。その際、小物の収納などに便利なクォーターリッド(左右)を上級グレードのWと、中核グレードのAタイプに標準装備し、カーゴサイドトレイ(左右)のラゲッジシェルフ装着部が回転してフックとなるユーティリティフックを4カ所に設定して使い勝手を向上させた。同時に、エクステリアをリファイン。質感の高い大型メッキグリルとリアバンパーガーニッシュを採用し、精悍なデザインへと変身した。
さらに、2005年1月のマイチェンでは、フロントバンパー、ヘッドライトやリアコンビランプなどのデザインを一新し、より親しみやすいエクステリアに変更。とくにフロントマスクは大型のグリルとヘッドライトで、リフレッシュされた。これら2回の改良によって、モビリオ スパイクは年式によって3つの顔を持つことになった。