シャリオ 【1991,1992,1993,1994,1995,1996,1997】

多用途性を追求した2代目三菱製ミニバン

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2代目は広く、開放的な室内を追求

 2代目シャリオは、初代モデルのウィークポイント、具体的には室内空間の狭さを解消することに注力する。基本シャシーは初代のトレディア・ベースに対し、新設計する方策を選択。ホイールベースは初代の2625mmから2720mmにまで延長した。さらに、乗員の広い視界を確保するために各ウィンドウの下端を下げ、全周視界305度のワイドビューを実現する。ウィンドウ自体も、当時としては珍しいフルオープンタイプとした。室内の装備にも工夫を凝らし、10カ所におよぶ収納スペースやシートのフルフラット化、フルカラーコーディネート、大風量ベンチレーションなどを採用した。

“フリースタイル”のキャッチを冠して登場

 メカニズムに関しては、1990年代の多用途車にふさわしい“快適な走り”を実現するためのアレンジを各所で施す。エンジンは4G63型系の1997cc直4OHCに統一。駆動方式にはFFとフルタイム4WDを設定する。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがスペース効率に優れるセミトレーリングアームを採用した。

 1990年代に向けた多用途ミニバンの2代目は、N33W/N43Wの型式を付けて1991年5月にデビューする。キャッチコピーは“フリースタイル”。「あなたのクルマは、自由ですか」というフレーズとともに、室内空間の広さや多彩なシートアレンジ、ショートノーズ&ビッグキャビンの新しいスタイルなどを声高に主張した。

 市場に放たれた2代目シャリオは、当時流行していたRV(レジャービークル)の1ジャンルとして、ユーザーの心をしっかりと捉える。とくに他社では少なかったフルタイム4WDモデルは、四駆ファンからも高い支持を獲得した。ちなみに、2代目シャリオの発売の3カ月ほど前にはシャリオ用シャシーをショートホイールベース化し、2列シートのハイトワゴンに仕立てた“RVR”も登場しているが、これもフルタイム4WDモデルを中心に高い人気を誇った。

魅力創出バリエーションの強化

 ライバルメーカーからシャリオの競合車が多数リリースされ、“ミニバン”という新カテゴリーが市場に浸透し始めると、三菱自工の開発陣はシャリオの車種強化を積極的に実施するようになる。
 1992年6月には2Lのガソリンエンジンを16バルブ化してパワーアップ(105ps→135ps)。同時に2Lディーゼルターボエンジン仕様も追加する。1993年5月には2.4Lガソリンエンジン仕様も設定し、さらに“クリスタルライトルーフ仕様車”(ハイルーフ形状で前席上がチルトアップ式ガラスルーフ、2列目上がスライド式ガラスルーフ、3列目上が固定式ガラスルーフ)と呼ぶ新モデルをラインアップに加えた。

 1994年9月になると、エクステリアとメカニズムを中心にしたマイナーチェンジを実施。外装ではフロントグリルやヘッドライト、リアコンビネーションランプ、アルミホイールなどの形状を一新。メカニズム面では2lディーゼルターボにインタークーラーを備えたほか、2.4LガソリンエンジンのATをINVECSファジィ制御の先進機構に換装した。

走りにこだわった7シーターGT誕生

「7シーターGT」を自称するスポーティ仕様が追加されたのは1995年5月。DOHC16Vヘッドとインタークーラーターボを備えた4G63型エンジン(MT230ps/AT220ps)に専用チューニングのフルタイム4WDを組み合わせ、内外装もアグレッシブに仕上げた“リゾートランナーGT”と呼ぶグレードは、それまでのミニバンの鈍重なイメージを払拭する逸品だった。

 1996年5月には廉価版の“リゾートランナーMX”や3列目シートを廃してよりスポーティに仕立てた“リゾートランナーGT-V”をリリースし、豊富なバリエーションで多様なユーザーに訴えかけた2代目シャリオ。しかし、ホンダ・オデッセイやトヨタ・エスティマ、日産エルグランドなどの強力ライバルが相次いでデビューした1990年代後半になると、次第にその存在感が薄れていく。一念発起した三菱自工の開発陣は、1997年10月にシャリオのフルモデルチェンジを実施。“グランディス”のサブネームを付けた3代目は、3ナンバー規格の大きなボディに一新されたのである。