パジェロ 【1991,1992,1993,1994,1995,1996,1997,1999】

国産SUVの代表。2代目は洗練された魅力を満載

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


乗用車ライクな新しいRVの誕生

 1991年1月に三菱自動車は第2世代目となるパジェロをデビューさせた。初代の登場以来9年目となるフルモデルチェンジでありパジェロは日本を代表するRVとしてのポジションを確実なものとした。

 第二次世界大戦の遺産のひとつが、小型4輪駆動車のJeepである。戦争終結後、直接的な戦場となった各国で、復興の有用な足としてJeepは引っ張り凧となった。その後、多くの国の自動車メーカーはJeepの生産ライセンスを獲得したり、徹底的に研究。国情に合わせた改良を加えて生産化した。英国のランドローバー、イタリアのアルファロメオやフィアット、フランスのオチキスやドライエなどがある。

 日本では、戦後の財閥解体で細分化された三菱重工業系の中日本重工業がJeepの生産ライセンスを購入し、今日の自衛隊の前身である警察予備隊向けの車両として生産を開始した。やがて、一般向けにも市販されるようになる。
 その後、三菱製Jeepはパートタイム4輪駆動システムなど基本的なスタイルを変えることなく1998年まで生産が続けられた。ライフスパンは長期に及び、VWビートルやシトローエン2CVなどと並んで、世界でも稀な長寿車であった。

世界に通ずるブランドになった初代

「継続は力なり」ということわざの通り、日本では小型4輪駆動車をすべてジープJeepと言ってしまうほど、その名は社会に深く浸透していた。だが、基本設計から50年以上の時間を経て、さすがに時代に追い付かなくなったことから、三菱自動車は全く新しいRV(レジャーヴィークル)モデルを登場させた。それが、1982年5月にデビューした三菱パジェロなのだ。車名のパジェロ(Pajero)とは、南アメリカの山岳地域に生息するヤマネコの名に由来する。

 初代のパジェロは、スタイルこそ硬派なオフロードモデルだったが、完全なスチール製キャビンと乗用車的な内装を備えた豪華車となっていた(オープントップ仕様もある)。他にライバルとなるモデルもなく、価格的にも比較的安価だったことから、当時のRVブームに乗ってたちまち人気車種となり、エンジンやボディーのバリエーションを拡大。パリ ダカール ラリーなどのイベントでの活躍もあり、その存在は世界的なものとなった。

2代目は国際車として大ヒット

 1991年にデビューした第2世代のボディバリエーションは、ホイールベース2420㎜のショート仕様と2725㎜のロング仕様があった。搭載されるエンジンは、旧型のそれを改良した排気量2972㏄のV型6気筒SOHC(6G72型、出力155ps/5000rpm)、および排気量2476㏄の直列4気筒SOHCインタークーラー付きターボチャージャー付きディーゼル(4D56型、出力105ps/4200rpm)があった。

 ボディスタイルは多彩で4人乗りソフトトップから7人乗りワゴンまで4種。駆動方式はフロント縦置きエンジンによる4輪駆動で、新開発のスーパーセレクト4WDシステムを備える。トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチック。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン/トーションバー、後ろが3リンク/コイルスプリングで吊った固定軸(車種によってリーフスプリング)となる。
 第2世代になって日本市場だけではなく、海外市場でも高い評価を獲得したパジェロは、4輪駆動RVのトップセラーの地位を確実なものとしていた。1900年代を代表する名車のひとつと言って良い。

究極のポテンシャルを身に付けたパジェロエボ

 2代目デビューから6年半以上が経過した1997年9月、ホモロゲモデルであるパジェロ・エボリューションが誕生した。パジェロは、パリダカをはじめラリーフィールドで得た技術を順次、市販車にフィードバックしてきたが、パジェロ・エボリューションはその技術を集約。優れた基本性能と長距離ドライブをこなせる快適性を備えたモデルとして発売した。

 搭載エンジンは可変バルブタイミングリフト機構、可変吸気システムを備えた3.5リッターV6 DOHC24V MIVECエンジンで、最高出力280ps/6500rpm、最大トルク35.5kg-m/3000rpmを発揮。エクステリアには、フォグランプをビルトインした大型フロント&リアバンパー、オーバーフェンダー、アルミボンネットフード、アルミスキッドプレートを装備し、エンジンの冷却効率を向上させるため、大型ラジエーターグリル、ボンネット上のエアインテーク、オーバーフェンダー部のエアアウトレットも採用した。この他サスペンションやブレーキの強化、レカロ社製フロントシートの採用など、エボリューションの名に相応しい徹底したチューンを実施。ショートボディに設定し、価格は5速MTが374万円、INVECS-IIスポーツモード5速ATが390万8000円となっていた。