ブリザード 【1980,1981,1983,1984】
タフな走行性を持つランクルの弟分
1970年代末ころから世界的に急速な広がりを見せ始めていたSUV(スポーツ・ユティリティ・ヴィークル)は、日本にも波及した。当初は三菱ジープやトヨタ・ランドクルーザー、日産パトロール、そして軽自動車サイズのスズキ・ジムニーなどが主力となっていたのだが、一方は4.0リッター近い大排気量エンジンを搭載するモデルであり、他方は軽自動車規格の360㏄エンジン搭載のモデルしか存在せず、ユーザーの多くは「帯に短しタスキに長し」のことわざ通りの状況に在った。
この隙間に巧くハマり込んだのが、1974年に登場した1000㏄の中間排気量エンジンを搭載するダイハツ・タフトだ。2速トランスファーを持つパートタイム4WDシステムを持つ本格的なオフロード性能と小排気量エンジンによる経済性、小型車のサイズでの取り回しの容易さなどを巧くバランスさせていた。タフトは、予想外に好調な売れ行きを見せ、SUVの市場拡大に貢献することになる。
トヨタは1967年11月にダイハツと業務提携しダイハツを傘下に収めた。タフトの発売は業務提携後のことだが、トヨタがSUV市場の拡大に際し、小型4WDの可能性を探るため、ダイハツにモデル開発を促したと見るのが正解だろう。1980年になると、タフトは「ブリザード」の名でトヨタへOEM供給(相手方ブランドによる販売)されることになる。トヨタはランドクルーザーの弟分と位置付け、トヨタ・ビスタ店の専売車種として売り出した。ブリザードの販売台数が本家のタフトよりも断然多かったのは、トヨタの販売網が強力だったことによる。ブリザードはボディー・バリェーションやエンジン・ラインアップを拡充し、小型4WDとして独自のマーケットを築くことに成功した。
初代のブリザード(LD10系)は、シャシーフレームやサスペンション、ボディスタイルなどはタフトと同じだが、エンジンはトヨタ製直列4気筒2200㏄ディーゼル仕様(最高出力72ps/4200rpm、最大トルク14.5㎏・m/2400rpm)を搭載していた。ボディサイズは3485×1450×1855mm(幌タイプ)とコンパクトで、最小回転半径は5.1m。215mmと余裕あるロードクリアランスを確保しサスペンションは4輪リーフリジッドを採用している。ボディタイプは幌タイプと固定ルーフのバンの2種だったが、1981年にはサンルーフ付きのFRP製トップを装備したニューグレードも追加している。