レオーネ3ドアクーペ 【1985,1986,1987,1988,1989】

先進4WDメカニズムとフォルムが魅力のマルチクーペ

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3ドアクーペはセダンから1年ほど遅れて登場

 1971年に誕生したレオーネは、現在のレガシィのルーツである。1972年には4WD仕様を追加。アウディ クワトロが1980年の市販デビューだから、およそ8年も前からスバルでは乗用4WDモデルをラインアップしていた。
 いつしか「4駆のスバル」の看板商品となったレオーネは、1979年に最初のフルモデルチェンジを受け、そして1984年7月の2回目のフルチェンジで3代目へと移行した。その3代目は、都合3つのボディを持つことになるが、まずはセダンモデルのみでデビューを果たした。1.6リッターOHV(87ps)、新開発1.8リッターOHC(100ps、高圧縮比仕様は105ps)、新開発1.8リッターOHCターボ(135ps)の3つのパワーユニットを搭載しての登場だった。

 3カ月後の10月には、ツーリングワゴンとエステートバンがラインアップに加わる。ツーリングワゴンにも、ターボエンジンが設定され、1800GTターボのグレード名が与えられた。高出力エンジンによる余裕の走りと、4WDメカニズム、そして充実の装備が魅力であった。
 そしてセダン、ワゴンから1年以上が経過した1985年11月、3代目レオーネに今回の主役である3ドアクーペが登場する。3ドアクーペのグレード構成は、FFモデルが1.8リッター水平対向4気筒OHCキャブレターユニット(ネット85ps/13.8kg-m)搭載のSTグレードの1グレード。4WDモデルは同じくNAエンジンのSTグレードのほか、1.8リッター水平対向4気筒OHCターボ(ネット120ps/18.2kg-m)搭載のRXターボをラインアップした。表示がグロスからネットへと切り替わってはいるが、エンジンは先行デビューしたセダンやワゴンと基本的に共通だ。

RXは5速MT&副変速機を組み合わせる

 クーペモデルのフラッグシップはRXターボ。セダンやワゴンのGTターボに比べて、RXターボは走りを優先したモデルになっていた。カセットオーディオや集中ドアロックなどをGTターボが装備するのに対して、RXターボは未装備。代わりにRXターボではバケットタイプのスポーツシートが採用された。ハイトコントロールや電子制御エアサスペンションのエレクトロニューマチックサスもRXターボでは装備されず、代わって強化サスペンションやLSDが備わっていた。

 4WDメカは、パートタイム4WD式で、FF/4WD高速/4WD低速を切り替える副変速機を、5速MTのシフトレバーの脇に備えていた。ちなみにセダンやワゴンのGTターボは3速ATのみで、副変速機は持たず、スイッチひとつで4輪駆動に切り替え可能なオート4WDメカを採用していた。

ノッチテールの独創のスタイル

 3ドアクーペの特徴はスタイリングだった。「ニューコンセプトクーペ」と名付けられたフォルムは、リアゲート回りが個性的。リアウィンドウはサイド部分まで大きく回り込んだ大型のラップラウンドガラス。そのガラス部分の後方にはノッチテールと呼ばれたボディーパネルが伸び、ハッチゲートを装備しながらもノッチバッククーペのようにも見えるエクステリアを作り上げている。Cd値は0.32を達成。低く抑えたスラントノーズ、傾斜角のなだらかなフロントウィンドウとリアウィンドウ、さらに大型のエアダムスカートを備えたRXターボのスタイリングは斬新だった。実用性もハイレベルで大型のリアゲートは荷物の出し入れに適し、分割可倒式リアシートと合わせて、マルチな使い勝手を実現していた。

 水平対向ターボエンジン、お家芸とも言える自慢の4WDメカニズム、スポーティーなスタイリング、そして多機能なインテリアと、レオーネ・クーペRXは、マルチな個性を備えた名車の1台である。残念ながら当時は販売好調とは言えなかったが、それはコンセプトが時代に先駆けたものだったからかもしれない。

1986年、ついにフルタイム4WDモデルが登場

 1986年4月、レオーネ・クーペに、フルタイム4WDシステムを採用したRX/IIターボが登場する。クーペRXターボをベースに、ベベルギア式のセンターデフを備えた4WDシステムを搭載。前後トルク配分は50対50に設定された。パワーユニットはパートタイム4WDのRXターボと共通の1781ccの水平対向4気筒OHCターボで、最高出力はネット120ps/5200rpm、最大トルクは18.2kg-m/2400rpm。5速MTのみで、ハイ/ロー切り替えのトランスファーを備える。ボディーカラーはホワイトのみの設定で、価格は191万円でデビュー。継続生産されたパートタイム仕様と比べて12万円高のプライスだった。国産初のフルタイム4WDはマツダ ファミリアに先を越されたが、スバル初のフルタイム4WDは、レオーネセダンおよびワゴンにも採用が拡大され、以後、スバルの代名詞に。そのメカニズムの優秀さは、グローバル規模で周知のものとなっていく。