スバルデザイン7 【1998,1999】

個性を明確にしたレガシィと新規格軽自動車の開発

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


ワゴンオリジナル設計とした第3世代レガシィTW

 小粒だが存在感のある企業、他社とはひと味違った魅力ある企業を目指すという「TQF(Total Quality Fuji)21」を推進していた1990年代終盤の富士重工業。その具体策として、開発現場ではニューモデルの企画に懸命の汗を流していた。

 1998年6月には、ワゴンオリジナル設計を実施した第3世代のレガシィ・ツーリングワゴンとランカスターが市場デビューを果たす。開発テーマは“新世紀レガシィ”。ワゴン専用車としたパッケージングは、スバル独自の縦置水平対向エンジン+左右シンメトリー4WDによる低重心かつ最適な重量バランスに専用セッティングのリアマルチリンク式サスペンション、運転視界をより向上させたドライビングポジションおよびアイポイント、扱いやすい5ナンバーサイズのディメンションで構築。スタイリングはスポーティさや機能美を表現したうえで、空力性能の引き上げ(TSタイプRのCd値で0.34→0.31)や見た目品質の向上を図った。ランカスターでは最低地上高200mmを確保しながら全高を1550mmに抑え、同時に樹脂製サイドクラッディングパネルや大型バンパーを装着するなどしてSUVらしい力強さを実現した。

 内装デザインに関しては、逆L字型を基本としたインパネにドライバー側に傾けたセンターパネル、体圧分布を徹底研究して仕立てたフロントシート、バックレスト全面が倒れるリクライニング機構付リアシートなどで構成。また、肝心のカーゴルームはスペース自体を従来比で拡大するとともに、キャビン部との一体感を持たせて上質なムードを演出した。

専用ネーミングでプレミアムスポーツセダンを標榜

 1998年12月には、サッシュレス4ドアセダンの新型レガシィが「B4」の専用サブネームを付けて発売される。基本骨格には高剛性の新環状力骨構造セダンボディを採用。スタイリングは伝統の6ライトウィンドウを踏襲しながら、流れるようなトップラインや斬新なハイデッキスタイルを取り入れて機能的かつスポーティなプロポーションに仕立てる。また、エアダム形状のバンパーや翼断面形状のルーフ、フィン状のトランクリッドなどによって優れたエアロダイナミックフォルムを実現した。

 インテリアについては、インパネおよびセンター部の基本造形をワゴンと共通化しながら、ブラック基調の内装カラーおよび木目調パネルやホールド性を高めたフロントバケットシートなどを装着してスポーティ感を強調する。また、RSKグレードには専用のブラックフェイスメーターとスポーツシフトを組み込んでいた。

新規格への移行を機に新しい軽ワゴンスタイルを創出

 軽自動車は1998年10月になると、衝突安全性の向上を図る目的の規格改定が実施される。この変更に合わせて富士重工業の開発陣は、「軽自動車の概念を超える、新コンパクトワゴン」の創出を計画。1998年10月に新型軽ワゴンの「プレオ」を市場に放った。

 パッケージングに関しては、規格改定によるボディサイズの変更を活かして室内寸法の拡大や衝突安全性の向上を図りながら、同時に街中での取り回しがしやすいベストな造形に仕立てる。また、ヒップポイントをヴィヴィオ比で約100mm高く設定し、安心感の高い視界を確保した。エクステリアについては独立したボンネットとキャビンを持つ、乗用ワゴンテイストのフォルムを構築。また、連続感をもたせた6ライトのグリーンハウスを有するボディ上部と固まり感のあるボディ下部を、彫りの深いキャラクターラインによって上下に分ける2層構造デザインを採用した。。

 1999年1月になると、新規格のサンバー・シリーズが発表される(発売は2月)。基本骨格には高い衝突安全性能と広いキャビンおよびカーゴ&荷台を実現したシャシーフレーム付新環状力骨構造の新フルキャブボディを採用。同時に、RRレイアウトやフローティング構造などにより、優れた静粛性を確保した。キャビン自体は運転席まわりおよび足元スペースの拡大やステアリング角度の最適化が実施され、より自然なドライビングポジションとスムーズな乗降性を獲得する。インパネの質感向上や収納スペースの増強なども、新型サンバーの特長だった。

 スタイリングに関しては、短いノーズにやや吊り目のヘッドランプ、バンパーと位置を合わせたサイドのキャラクターラインなどによって、精悍かつ高品質な印象を創出する。また、1999年10月にリリースした「ディアスワゴン・クラシック」では、クロームメッキのグリルや大型ドアミラー、丸型ヘッドランプ、ベージュ系シート&ドアトリム、クラシック調メーターパネルなどを装着して個性を際立たせた。