オデッセイ 【2003,2004,2005,2006,2007,2008】

背の低いローシルエットを纏った革新ミニバン

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


全高1550mm、革新ミニバン誕生

 2003年10月に登場した3代目オデッセイは“革新のミニバン”だった。3列シート構造を持つ、定員7名のパッケージングながら、大胆な設計手法で全高1550mm(FF、4WDは1570mm)のローシルエットを実現。一般的なタワーパーキングへの駐車を可能にしていたのだ。ミニバン=背高プロポーションという既成概念を打ち破る存在だったのである。

 一般的にホンダ車は、3代目で大変身を遂げるケースが多い。シビックもアコードも、そしてフィットもそうだった。オデッセイも例外ではない。乗用車派生の3列シートミニバンという新ジャンルを創造したオデッセイは、2代目でそのコンセプトを磨き上げ、ドライバーズカーとしてのキャラクターを盛り込んだ。しかしスタイリングイメージやパッケージング手法などは、2代目は初代を意識的に踏襲していた。

 3代目は、そうではなかった。ネーミングこそオデッセイを名乗るが、すべてを一新する。大胆な変身を印象づけたのは、スタイリングである。ボディサイズは全長4765mm×全幅1800mm×全高1550mm(FF)。ワイドな印象を強調したフロントグリルにはじまるロングキャビン造形は、ミニバンから想像されるファミリー指向のイメージはまったくない。まるでコンセプトカーのような新しさを感じさせた。新しさの要因は、前述の低さだった。タワーパーキングにも収納できる1550mmの全高は旧型よりも80mm低くなっていたのだ。

低床フロアを実現した3つの技術

 新型の新しさは、全高を低くしたにも関わらず室内高を旧型より5mmも高い1220mmを確保していたことだった。これにはミニバン作りに長けたホンダ独自の低床設計が生かされていた。具体的には偏平樹脂製燃料タンク、専用リア・ダブルウィッシュボーン式サスペンション、薄型設計エグゾーストシステムの3点が圧倒的な低床フロアを実現した技術要素だった。

 3代目の室内設計は見事だった。低床のため前後席ともに乗降性に優れ、室内長は2790mmと広大。フロアが完全フラットなこともあり、1列目から3列目まで、どの席に座っても同等の快適さが味わえた。しかも3列目は床下に電動格納できるとともに、2列目にはダブルフォールダウン機能を搭載。2−3列目シートを格納すると広々としたラゲッジスペースが生まれた。ミニバンは、さまざまなライフシーンに応じて、室内を最適にアレンジ出来ることが大きな魅力だが、まさにオデッセイがそうだった。快適な多人数乗車はもちろん、大きな荷物を積み込むにも最適なクルマだった。しかも先進的なスタイリングは、フォーマルな場所に乗り付けるにも気後れしない雰囲気を備えていた。

スポーティな走りに感動

 低全高の低床設計は、走りの面でも大きなメリットを生む。ラインアップは、2354ccの直列4気筒DOHC16V(160ps)と7速マニュアルモード付きCVTを組み合わせた標準タイプと、スポーティ指向の2354cc直列4気筒DOHC16V(200ps)と5速ATを搭載したアブソルートの2シリーズ構成。駆動方式はFFとホンダ独自のリアルタイム4WDを用意する。

 走りは、フルエアロパーツを装着し、17inタイヤを備えたアブソルートはもちろん、標準タイプでもスポーティな感覚に溢れていた。低床設計が低重心を生んだからである。ミニバンながら横風の影響はほとんど受けず直進安定性はクラストップ級。広いトレッドによりコーナリング性能もハイレベルだった。

 3代目は安全性でもライバルを圧倒した。アブソルートに車両挙動安定化装置(VSA)を標準装備。プリクラッシュブレーキシステムや、ステアリング舵角に応じてヘッドライトが向きを変え進行方向を明るく照らすAFSを上級グレードに設定する。
 3代目オデッセイのデビューは大きな話題を呼んだ。しかし販売はさほど好調とはいえなかった。ミニバンにモダンさとスポーティな味わいを求めるユーザーからは熱烈な支持を集めたが、あまりに洗練されすぎていたのかもしれない。だがホンダの高い技術力と革新性を証明した名車であることは間違いない。

自動運転の第一歩、インテリジェントクルーズコントロールを設定

 3代目オデッセイは数々の先進技術を導入していた。中でも自動運転の第一歩と言えたのがオプション設定されたインテリジェントハイウェイクルーズコントロール(IHCC)だった。高速道路などで定速走行を制御するクルーズコントロールに、雨や雪の日にも効果を発揮するミリ波レーダーを組み合わせた機構である。

 フロントグリル中央に配置したミリ波レーダーが前走車の状況を検出、適切なアクセル/ブレーキ制御を自動的に行い、走行速度に応じた車間距離を自動的に保持。ドライバーの負担を大幅に軽減した。作動時、ドライバーはハンドル操作に専念するだけでよかった。IHCCには前走車の急ブレーキを掛けた場合など、システムの制御限界を超えたとコンピューターが判断した場合には、すみやかに警報を発し、ドライバーに危険回避を促す機構も組み込まれていた。